第21話 頑丈でよかった
時は、さかのぼり数ヶ月前“厄災の日”。
大地震によって多くの家屋が倒壊した。
「ぶはーーーーーっ! 死ぬかと思った!!」
自分の上に覆いかぶさった瓦礫をどけながら、怪我が無いか確認していた。
「特に怪我は無いな。ガチャのおかげで体が頑丈になってるし、ガチャ様様だ」
周りを見渡すと、至る所で家屋が倒壊している。
「地震か‥‥‥寝てたから気づかなかったけど、そうとう大きな震度だったんだろうな‥‥‥」
とりあえず、瓦礫の中から服を取り出し周りの状況を見て回ることにした。大騒ぎになって家を飛び出す人もいれば、瓦礫に埋まって助けを求める人などがいる。
“空間探知”で生存者を探す。どこに何人いるかはすぐに分かった。
「よっこいしょ!」
“筋力増強”や“剛力無双”があるので、瓦礫をどけるのはそんなに苦労はしなかった。
「大丈夫ですか?」
お隣さんだ。名前は知らないが何度も見かけたことはある。
「ああ、ありがとう‥‥‥助かったよ」
その後、数人を助けて一緒に避難所へ向かうことにした。このあたりでは小学校が避難場所になるはずだ。避難所に助けた人を連れて行き、他にも助けを求めている人がいないか探すことにした。
しばらく歩いていると異変に気づく。
スキル“敵意感知”が反応する。それも複数だ。周りを見ると、まるでゾンビのような人間がゆっくりとこちらに近づいてきた。
「なんだアレ? 人間‥‥‥‥なのか!?」
敵意感知が激しく鳴り響く!
「人間じゃなさそうだな! だったら遠慮はいらないだろう!!」
俺はその化物たちに手をかざした。
「重力圧殺!」
化物達は簡単に潰れて動かなくなった。もともと体がもろいのか重力圧殺は効果絶大だった。
なんだかよく分からなかったが何かおかしいと感じたので“隠密”で気配を消してから空を飛んで町の様子を見て回った。
至る所で家が倒壊し、火災も起きている。道路はひび割れ陥没している所もあるが、それ以上に異様な光景だったのは‥‥‥。
「あれ‥‥‥なんだ?」
青黒い大地が所々に盛り上がっていた。その近くから、さっき倒したゾンビみたいな奴らが這い出してきている。
ゆっくり地上に降り、立ち向かってくるゾンビたちを重力圧殺で潰していく。
“魔法”も使ってみた。数体の魔物に向かって“風魔法”を放つと一斉に吹き飛び空中でバラバラになった。
ただ周りにあった電柱や家の壁なども一緒に切り裂いてしまう。
“火魔法”で攻撃すると相手は一気に燃え上がり絶命したが、火の勢いが強すぎて辺り一面に燃え広がった。
慌てて“水魔法”で消火したが、今度は水の勢いが強すぎて地面のコンクリートごと破壊してしまう、魔法は威力はあるがとにかく扱いづらい印象だ。
それに比べて“重力操作”は力の強弱をコントロールできるので、とても扱いやすい‥‥‥今の所、重力圧殺が最も効果的だったのでバンバン使っていった。
しばらくすると体に異変を感じた。
「なんだ‥‥‥この違和感?」
俺は自分のステータスを“鑑定”で見た。
無職 Lv99
「あっ! レベルが上がってる。しかも99? “成長加速”の影響か? それとも無職だから上がりやすいのか?」
とにかくレベルがカンストしている‥‥‥‥と、いうことは、あの化物を倒したことでレベルが上がるのは間違いない。
「だとすれば‥‥‥」
俺はアイテム・ボックスとして使っている空間を開き中から“職業ボード”を取り出した。
「これが使えるってことだな」




