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私は、いじめられっ子ですが、更に強大な、いじめっ子の登場で、震えています

作者: オル

わかる人には、わかります。

私は某ファンタジー世界の、魔法学園に通う。末端貴族の、しがない令嬢です。いえ、ここでは、ただの庶民です。

名だたる貴族の集う。この学園に置いて、序列は絶対で、私のような下級貴族は、ただただ、虐げられるのみ。魔力も大した事なくて、学園カーストの、底辺を、ひた走る毎日です。

最下級生だったのも、手伝って、去年は、何故か目を付けられて、いじめられっ子に陥落。

日々、その屈辱に耐える毎日でした・・

やっと一年が過ぎ。

学年が、一つ上がると言う、昨今。

今、学園では、ある噂で、持ち切りになっている。

公爵家の令嬢が、この学園に、入学すると言う事で、この話題で、おしゃべりが尽きる事が無い。

この日記が、露見した時に備えて、その方の名を、6164021と言う、暗号名で、書き記すことに、する。

その6164021様は、風聞の、絶えない方で、すでに幼少期に、その名を轟かせていた。

まだ愛らし少女の時代であったのにも関わらず。6164021様は、ほんの些細な傷を盾に、王子に婚約を迫ると言う暴挙に出たのでした。

 子供にとって、小さな傷など、日常茶飯事にもかかわらず、それを盾に、婚約を迫るなんて、なんて恥知らずで、なんて傲慢なのでしょう。

きっと、その傷も、小指の節を、バラの棘で、ちょっとだけ怪我した程度の事に違いないわ。公爵令嬢なんだから、額にザックリと、傷を、負って、あとが残るなんて怪我を、するはずが無いんだから、悪辣極まりない事に、違いない。ああ、愛らしき王子様が、意に添わぬ、相手に、婚約を、強要されるなんて。なんてお可哀想なのかしら。でも、一国の王子を、服従させるなんて、いったい、どんな手を使ったの。これって、公爵家の圧力、公爵家は、王の権力すらしのぐのかしら。ああ、恐ろしいことだわ。

 それに、幼少期からの婚約は、いまだに解かれていない。

きっと、今でも、屈辱と、苦渋と、憤怒に、耐えて、いらっしゃるのだわ。

その上に、眉すら揺らめかせずに、君臨している6164021様の、その傲慢さ、尊大さ、無神経に、ただ圧倒されるわ。

ああ、私だったら、3日と開けずに、申し訳なくて、自ら辞退しているに違いないわ。

本来なら、同時に、入学する王子よりも、公爵令嬢が、話題に成るなんて事は無いはずなのに。その、剛腕と言いえる振舞に、皆が注目せざるを得ない。

 こんな人が、今年、入学してくるなんて、何てことでしょう。


 だけど、かの人である、6164021様には、さらなる悪名が続く。

王子の婚約者に成りあがった後に、その出来事が、連なるのである。

王子様との、騒動のすぐ後に、6164021様の所に、養子として、一人の男の子が、やって来たらしい。

ただ、その子は、普通の子供ではなかった。

引き取られた家の兄弟たちに大けがを負わせたという狂犬と言われる恐ろしい子だった。

躊躇なく、そんな事をやるなんて、きっと、小っちゃな頃から悪ガキで、不良と呼ばれていたに違いないわ。しかも、有り余るほどの魔力の保持者。おっ、恐ろしすぎる。公爵家に、招かれるほどの魔力て、どんな物よ。しかも、兄弟たちを、恐ろしい目に、合わせた力は、無意識に出たもので、本人にしたら、軽く撫でた程度だったらしい。本気出したら、私なんて、ひとたまりもないに違いない。

 でも、その狂犬を、あの人、6164021様は、服従させたというのだ、それは、もう、牙を抜かれたオオカミのように、キチガイじみた忠誠心を、始終、年がら年中、捧げ続けているらしい。

いったい、どうやったのだろう。狂犬から、忠犬への、転身なんて、普通あり得ない。いや、もしかしたら既に、駄犬へと成り下がっているかもしれない。どうしたら、そんな事が出来るの。いったい、どんな手練手管を使ったというの。ああ、そうだ、きっと最初は、猫なで声で相手を油断させて、その油断した所に、相手の意に沿わないことを、強要したんだわ。あっちこっち連れまわしたり、段ボールに入れて、橋の下に捨てたり、不意を衝いて、木の上から飛び蹴りで、倒したり。そして、有りもしない傷を、でっち上げて、両親に告げ口して、叱られて、居場所が無くなった所で、助け舟を出して、こんなことを繰り返して、だんだん心を、弱くしていったに違いないわ。狂犬と呼ばれた少年も、悪辣なる6164021様の、計略の前には、成す術も無く。本人も気が付かないまま、いつの間にか忠誠を、誓うまでに、されたのね。番犬にまで、その身を落とした魔力の使い手は、主人の言うがままに、狂犬となって襲ってくるに違いない。なんて恐ろしい。なんて狂気じみてるの。ああ、狂気というものは、媒介し、広がって行くものなのだろうか。狂気が、にじみ。縞となって、辺りを染め上げていく。

 

その後、まるで当然であるかのように、6164021様は、その触手を、新たな生贄に向かって伸ばし始める。

なんと、侯爵家の、ご令嬢が、狙われたらしい。

御令嬢が、お母様が無くなった傷心に、付け入られ、その魔手の中に、取り込まれたらしい。

その方法たるや、指で、愛らしい小さな乙女の、あごを、しゃくり上げて。

「あなた、なんて美しいのかしら、お友達に成ってくださらない」

 そう言って、口説いたらしいのだ。

これは、王族の中の、誰かからの情報らしく。まず間違いないらしい。

ああ、目に浮かぶ。少女の、唇を、指先で引き寄せて、なんて美しいなんて、飴細工のような、きらびやかな言葉を、透き通るような、滑らかな声で、囁いたに違いないわ。指先で小さな自由を奪いながら、その瞳で、惑わしながら、囁くように、耳さきを虜にする。まるで老獪な、悪魔のような。まだ少女であったに違いないのに。でも、それだけでは無いはず。狂犬と呼ばれた少年を、篭絡したことを考えれば、まだ、これは、ほんの端先に、過ぎないのじゃないのかしら。いったい何をしたのかしら、6164021様は。そう、例えば、心のに弱さや、人に知られたくない秘密とか。ひだまりの、庭園に、使用人すらも気が付かないような、小さな秘密を、隠していたのかもしれない。それを言葉巧みに、本人から聞き出したのかもしれない。はじめ、それを、驚いたようなフリをしながら。その後に、「私も同じよ」などと、ありもしない嘘で、同調して、言葉巧みに、自らに、引き寄せたに違いない。ほんの小さな秘密。可愛らしくて、ささやかなもの。決して暴君が、金と、権力を、湯水のように使い、泥水を作るような事に、使用人を酷使して、国を、王族たちを巻き込んで、さらに、母親が、卒倒するような悪事では、無いのに、そこに付け込んだに違いないわ。他愛ない事象を、さも誇大に、吹込み。あまつさえ、有りもしない愛情を、信じ込ませるために、大胆に、かつ精細に、愛情あふれるような仕草で、演じて、その瞳を独り占めしたに違いない。もう、振り返ることすら許さず、俯く事を否定され。その瞳が、その他の事が、見えなくなるまで、手を取り。見つめ。抱き寄せたに違いない。日に日に増していく。己が愛情を、疑う事も無く。ああ、なんて悪辣な。こんな事では、年端もゆかぬ愛らしい少女では、逃れようもないわ。


 でも、・・・・

でも、6164021様の恐ろしさは、ここに留まらない。

そう、たぶん、6164021様は、気が付いていたのだわ。

その愛らしい彼女が、王子と婚約する事を。

彼女と知り合てすぐ間を開けず、少女と王子の、婚約が決まったのだ。

知っていたのだろうか、知りようなど、無かったはずなのに。

もし知っていたとしたら、なんという推眼だろう。

いっそ怜悧であると言っていい。

権謀に長ける6164021様は、悦に入るように、微笑んだに違いない。

だが、その手管の、傲慢さ、無謀さ、荒ぶりようと言ったら、茫然とならざるを得ない。なんと、侯爵令嬢の、婚約者である王子を、自分の邸宅に呼びつけたと言うのだから、もう、開いた口が塞がらない。まるで臣下を入れ替えたような。いえ、あえて、序列を無視するようなふるまい。それは、今までの行いを見れば、むしろ自然なことにすら見える。6164021様は、自らの婚約者である王子に、屈辱と、苦渋と、憤怒を、強いて、なおかつ自らの義弟を、その足下に踏みにじるように、服従させ、まだ、小さき乙女であった侯爵令嬢の、純情を、奪い取ったのだ。どれを取っても、小さいと言うには、あまりにも大それた大罪であるのに、すでに、三つの罪を重ねたとしたら、もう一つ、罪を重ねるなど、唇に、微笑みを乗せる程度の事でしか無いのかもしれない。そして、もう、どのように愛らしき乙女の婚約者を、慇懃無礼に、呼び寄せたかなど。もう、口の端に乗せるのも、むなしい気の事のごとき所業に、違いないのだ。その方法は、もう判ってしまう。ここまでの、如何ばかりかの乱行を、聞き及べば、誰何するなど、眉を顰めるほどの、微力もいらない。6164021様は、小さき乙女を、篭絡に、及んだ時に、あらかたの、差配は、終わっていたのだ。あの小さき乙女である侯爵令嬢を、操る必要も無い。彼女自身を、誰の物であるか、判らせればよいのだ。その件の王子に、自分は、誰の物であるかを、乙女の口から、伝えれば良いだけの話である。そのもう一人である王子様にとって、初めての、事柄だったでしょうに。最初の、小さな婚約者に、熱に浮かされたような瞳で、熱く6164021様の事を語られた時の気持ちと言ったら、その心痛を、問うにも、はばかられる様な、痛々しい事態だったに違いない。その瞳は、一瞬、魂を抜かれたようになっただろうか、あるいは、嫉妬の炎に、その身を焦がしたか、それとも、怒りに身を振りわせたのか。その少年の、まだ片言の、恋微を、逆なでするように、安い文句で、誘ったのかもしれない。どんな安っぽい言葉で、挑発したのかしら。さも相手のことなど気にしてはいないかのような、素っ気なさそうな言葉。 「今度、私の可愛い人と、お茶会をしますの。私の可愛い人の、婚約者様。もし良かったら、誘って差し上げてもよろしくてよ」なんて・・・・・、なんて言ったかもしれない。王子様は、何と思ってだろう。わからない。この辺は、噂話にも、出てこなかった。男の子同士であったのなら、殴り合いの喧嘩でもしていたかもしれない。それとも、低俗な、罵りあいかしら。馬の競争。剣術でも勝負。ああ、相手は、公爵令嬢なのだから、そんな事、許されるはずもない。双六、おはじき。ダメだ。子供っぽすぎる。駆けっこ。有りえない。縄跳び、ゴム飛び。私の発想は、貧困すぎる。それに、6164021様は、王子に、勝っているのだ。こんな、ナマナカな、方法では無いはず。6164021様は、ご自分の婚約者にしたように、公爵家の権力を使ったのかしら。でも、義弟に、施し篭絡した手合いを、見れば、あながち、そればかりでも無いような気がする。公爵家。そう、公爵家だわ。6164021様には、お手付きの、メイドぐらい居るはずだわ。義弟の、篭絡ぶりから見たら、公爵令嬢だけで、成し遂げたのでは無いのかも知れないわ。まず、鉄面皮の、メイドが、挨拶を王子にする。王子を、奥に通して、その後ろを、付き従うような振りをして、王子の目が届かないのを良い事に、ニヤリと微笑む。それから、メイドの、策略が始まるのね。でも、判らない。何、どうなったの。いったい、どんな悪辣な手段で、王子を、はめていったの。そうね。まずは、王子のオモテナシから始まったはず。館に招き寄せて、客間に通す、それからお茶を入れて、歓談するのが、筋に成るわね。狙い目は、どの瞬間か。それならば、客間に通された瞬間かしら。まずは、乙女とのイチャイチャから、始まったのかもしれない。それを見せつけられた王子は、憮然としたに違いないわ。でも、これが最初の策略だったに違いないわ。そして、お茶を運んで来たメイドに目配せをする。鉄面皮のメイドが、邪悪に、顔を、歪ませる。そして、完璧に作法に則った所作で、自然に、かつ故意に、お茶を、王子にぶちまける。主人の忠実な駒として、微塵も後ろめたさを、感じずに、やったに違いない。それは王子の嫉妬心を、巧妙に、操る罠だった。王子は、あまりの無礼に、怒りを、ぶちまけたに違いない。嫉妬心を、絡められた八つ当たりであったのは、違いないだろうが、少年に在りがちな、まっすぐな気持ちで有ったろう。でも、それは、彼女の手管に絡め取るには、十分な失態だった。そして、6164021様は、こんな事を言ったのだろう。「まあ、なんて狭量な王子様。あなた様のような心の狭い方に、付き従う方々は、さぞやお困りでしょうね」逆なでするように、あえて言い放つ。その挑発に、誘われ、自らの悪手に、踊らされる王子さま。さらに、挑発され勢い余ったあたりで、6164021様は、乙女に助けを求める。きっと、乙女は、騙されてるんだわ。縋りつかれた乙女は、思わず、6164021様を、庇ってしまう。必死に助命を乞う乙女の後ろで、王子に見せつけるように、悠然と笑う6164021様。それは、明確に嬲るような、侮蔑の表情。その振る舞いに、怒気、荒く、怒鳴りつけてしまう王子様。ただ、その怒声に、怯えたのは、6164021様ではなく。乙女の方だった。訳もわからぬ、王子の振る舞いに、怯える乙女。その姿に、思わず取り繕ってしまったであろう王子。そして、思わず乙女を、傷付けてしまった事に、王子も我を忘れるほどに、傷付いていたのだろう。そして、傷心のままに、帰途に着こうとした王子に、6164021様は、こう、ささやいたのかもしれない。誰にも聞こえないような、ひっそりとした声で。「わたくしが、取り繕って差し上げましょうか」6164021様は、相手の目が、一瞬、縋りつくような表情をしたのを確認すると、舌足らずな、その文句を残したまま、立ち去ったに違いない。後日、丁寧な謝罪の文面と、二人だけのお茶会の誘いを、綴った手紙を送ったのだろう。心の、薄っすらとした闇を、もてあそぶ。そんな瞬間。なんだかとっても恐ろしいわ。


そして、最終章。

これは、現在の最終章で有り。

現在までの経過の最後と言う事です。

これからも繰り返されるであろう、数々の、悪行は、いまだ綴られていないので、書きようも無い。

ただ、6164021様の、欲望は、いまだ影を潜める様子が無い事を、ここに書き記そう。

きっと、最後の犠牲者ではない。もう一人の乙女のお話を。


もう、書く事すら、ためらいたくなるほどに、6164021様の、野望は、尽きる事が無い。

そう、次の犠牲者を、探していたのだ。もう十分に、その毒牙に、かけたにもかかわらず。その刃は、切れ味を落とす事なく、獲物を探していた。その方法は、王子二人に、お茶会を、開かせると言う。一見ほほえましい事態を、起こさせた。あの二人の王子は、互いに仲たがいしており、王子二人によるお茶会の主催など、有りえない事だったようだ。だが、開かれた。そう、これらの事態には、黒幕が居る。かの、6164021様に、違いない。ここに、あの方の悪辣さが、滲み出ている。仲の悪い二人を、あえて、一緒にする。全く、これほどに、意地悪と言う言葉がピッタリくる悪行を、聞いた事が無い。ああ、王子達の、屈辱と、苦渋と、憤怒に、絶える様子が、目に浮かぶようだわ。そして、その様子を、満面の笑みで、眺める6164021様の、絶えざる悪辣さに、目がクラクラするようだわ。その後ろには、思わず、6164021様を、庇ってしまった、あの可愛らして乙女と、狂犬の少年が、控えていたのだろう。まだ、治りきらないカサブタを、逆なでするように、さぞや偉そうに振舞っていたのでしょう。この話しの顛末は、お茶会での出来事だったので、意外に詳細が、伝わっている。それは、宴たけなわの中盤のあたり。


     同好の士たちが集まって、歓談して居た時だった。


 その興が高まったあたりで、まるで天から舞い降りたように突然に、どこからともなく、6164021様が、現れたという。その後さざ波が、広がるように、6164021様に、衆目が集まったと言う。その満座の中で、一言、こう言ったそうだ。「そこ、どいて、くださいますか」如何にも、威丈高く、慇懃無礼で、悠然と、衆目を、引き裂くが如く、中央を、歩いて行ったと言う。もう、女王様なんじゃないかと、言いたくなるような荒ぶりよう。皆、その様子に、潮が引くかのように、散り散りに、散会していったと言う。その時に、何かの拍子に、逃げ遅れた、乙女が、居たようで、不幸にも、目を付けられたようなのです。目端に捕らえた乙女を、6164021様は、覚えていたのでしょう。多くの衆目の中から、執念深く、探し出して、館に来るように、命じたらしい。きっと公爵家の、威光を、チラつかせて、強引に誘ったに違いない。それこそ、えげつなく、これでもかと言うくらいに、威張り散らして、威圧したのだろう。これまでの、悪事の犠牲者に比べれば、ちり芥の如き者にしか見えていないはず。それは、それは、ひどいものでも、公爵家の名一つで、如何様にもしたに違いない。その酷さを、推し量るが、如く、6164021様の、館には、その乙女の、兄上様も同行したと言う。きっと、6164021様の、あまりの恐ろしさに、兄さまに、同行を懇願したに違いない。ああ、気も狂わんばかりの、脅しに、必死で耐える乙女の、惨状に、同情の涙を禁じ得ない。行く前の、前日の夜など、恐ろしくて、眠る事すら出来なかったでしょう。その、やつれた姿に、兄様も、気色ばんだに違いない。その後どうなったのか。公爵家の、ご意向あらたかと言った所でしょう。兄妹、共々、今だに、公爵家に通っておられるようです。それどころか、兄妹の、家の方にも、度々、6164021様は、訪れていると言う。公爵家のご令嬢の、ご意向には、逆らえなかったと言った所でしょうか。ある意味、傲慢で、おそれ知らずな6164021様に、ふさわしい所業とも言える事態だったのでしょう。


これほどの乱行。これほどの暴虐。これほどの権力の濫用。

あああああ、こんな人が学園にやってくるのだ。

どうしよう。

きっと大変なことに成るに違いないわ。

こんなんじゃ、夜も眠れないわ。


その夜は、直ぐに良く眠れた。


その日の朝。

あの方々が、やってくると言う日が、やって来た。

私は、遠眼鏡で、覗き込む。

最初は、兄さまに、付き添ってもらった乙女が、一番最初にやって来た。

白い小さな馬車に赤の装飾が施された物だった。

その先に、黒の貴公子が、待ち受けている。

あれが兄上様ね。

馬車が、貴公子の、前で止まり、乙女が降り立つ。

その姿に、私の心臓は、氷で冷やされたように、脈打った。

白い髪。

あんな者が、存在するのか。

まるで、老人のように、白く、赤い瞳をしている。

そう、化け物じみていると言っていい。

あまりにも奇異すぎる。

あまりの異常さに、私の心は、バタバタと、騒ぎ始める。

三分たったら、慣れちゃったけど。

別に、キィーキィー言って騒ぎ立てるわけでもないし。奇怪な行動をするわけでもないし。

遠眼鏡の向こうの彼女は、兄上様らしき方と、楽しそうに談笑している。

その笑顔に、文句をつけるいわれなど、私は持ち合わせていなかった。


 その次が、もう一人の乙女。

少し大きめの、馬車に、若葉の、装飾が、施された物だった。

白なる乙女を見つけると、その傍らに、馬車を、止めた。

降りて来たのは、美しき、侯爵家令嬢その人だった。

美しくも、あでやかな彼女を見て、きっと、何一つ、不幸など味わったことなど無いのだろうなと、思いよぎるほどに、幸せそうに見えた。内から染み出すような、自信によって、彼女自身を、輝かせているような。思わず、劣等感に、こちらが、さいなまれそうになりそうな。陽だまりの似合う方だった。

二人の談笑する様子は、あたかも周りで、妖精が飛び交っているが如く、愛らしい様子だった。

こちらとの格差に、こちらが気後れしそう。


 そして、遂に、6164021様の、ご登場と成るようだ。

いったい、どんな方なのか、知る由もない私は、恐れ多くも遠眼鏡越しに、散見させていただく。

馬車が来た。

6164021様の、紋章付きの馬車。

立派な物だなと、見ていたら、メイドたちが下りてきて、馬車は、行ってしまった。

もしかして、公爵家は、メイド達のために、馬車を出したのか。

私なんて、カバン一つで、歩いてきたのに。なんたる違い。なんたる格差。

生まれの違いとは、こうも、差が付くものなのか。

これは、もう、開いた口が塞がらない類のものだ。


それで、いよいよ、6164021様の、馬車が現れる。

さらに、立派な馬車が、登場して、二人の令嬢が、扉の前で、お辞儀をする。

扉が開く。


さて、どんな人が出て来るのかな。




 


六行で、済む話を、延々と増量して書き連ねた物です。いかに無駄に、大げさにするかで、話を進めていきました。噂などあてに成らないと言うお話。

で、

これから、主人公の、スペックなどを。書いてみたいと思います。

身長、185センチ。

体重は、秘密。

弓の達人で、その腕前は、神域に、到達している。

その目は、ナイトストーカーで、曇りの夜でも、全てを、見通す事が出来る。

趣味は、月の無い夜の、屋根の上の、散歩。

魔法は、大した事ない。

それで、彼女の出自は、黒き森を、治める男爵家の、一人娘。

黒き森とは、それに仇なす物を、全て滅ぼすと言われる本物の、呪いの森。

これが、いじめの、原因。

呪いを、受けた者は、数知れず。

悪名は、留まる事を知らない。

恐怖と、畏怖と、憎しみが、彼女を、取り巻いて居る。

彼女自身は、森の呪いとは、無関係なんだが、それを、考慮する者など居ない。

そんな所。

その後、半年も経たずに、国から、脱走します。

国の、王子に、ただ働きさせられた腹いせに、偽造勅使を、大量に、バラまいて、偽造勅使で、国外逃亡。

魔法使いは、国外出国は、禁止だったので、王子の、偽書は、役に立ったのでした。

どの道、この国では、彼女の未来は、碌な事には、成らないのだから、外国へ、逃げたのでした。

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