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彼女は他の女の子よりも
少しだけ不思議な女の子であった。
風になびくさらさらとした長い髪と
校則に違反しない膝ぴったりのスカート丈。
何故か何度席替えをしても、窓際の真ん中の席になる
彼女はよく外を眺めては風を心地好さそうにしていた。
控えめでおとなしく、だけど笑顔がとても可愛らしい高嶺の花。近すぎずかといって遠すぎずの距離で男子はみんな彼女のことを見つめていた。
皆に優しく平等な彼女は
何故か僕にだけはよく話かけてくれていた。
それは中学に上がった時、初めて隣の席が僕だったからか、はたまたずっと同じ班だったからか、もしくは3年間同じクラスだったからかは分からない。
自惚れていたと言ったらそれまでだが、周りからも羨ましがられていたんだ。他人の評価もそうであったと思いたい。
だから、ちょっとだけ「もしかしたら」という気持ちがあったのかもしれない。
彼女にうっかりとその気持ちを伝えた時
彼女は
「ごめんなさい、今はその時ではないの。」
と頬を赤らめて首を横に振ると
「私の事を、もしこの先も覚えていてくれたら。その時は声をかけて欲しいな。あなたはとても優しい人だから。」
と眉を下げながらこちらに悲しそうな笑顔を向けた。
よくわからないな、と思った。
今はという事は待てば彼女は振り向いてくれるのだろうか、と。
そんな屁理屈や御託を並べたところで、結果振られた事実は変わらない。
僕は所詮、斜め後ろの席から彼女を見つめるだけの男なのだ。