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僕の恋を簡単に説明するならば
安いメロドラマの咬ませ犬。
優しいねと言われて恋愛対象には決してなれない
「いい人」止まりの人間の
映画で言う「お話にすらならない」恋愛話だ。
そんな僕の、エンドロールに行くまでのお話を聞いてくれるかい?
AM7:30、僕はいつも上り電車に乗る。
田舎のホームに人はまばらで、ほんの少しのサラリーマンと同じくらいの歳の学生、町の病院に向かうであろうご老人と一緒に無人駅のホームで電車を待つ。吐く息は白く、まだ春が遠いことを風が教えてくれた。マフラーに顔を埋め鼻をすんと啜ると、朝の冷たい空気が全身を巡り、学校へ向かう気だるさと同時に、昨日の事を思い出しては何度目かのため息が出た。
昨日、僕はご丁寧に振られた。
もともと見込みなんて無いことぐらいわかっていた。
伝えるつもりだってさらさら無かったのだ。
教室で夕焼けに染まる君をみて、ついうっかり好きですなんて言ってしわなければ、こんな思いにならなかったのに。
後悔と気恥ずかしさが走馬灯のように思い出され、だけど思い出すことを辞めることも出来ず、ぺらぺらとめくるだけの単語帳を見つめながら、またひとつため息をついた。