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その後の話

6話目で完結設定にし忘れたので、おまけです。

二つしかないですが、小ネタ集みたいな感じです。

●新学期


 ついに、春休みが終わってしまった。淫猥な日々は終わりを告げた。

 面倒だしいやだなぁという気持ちもあるけど、いつまでもこもっているのも不健康だし、最近夜もエスカレートしてきたから、ここらで気持ちを切り替えるのもいいと思う。

 久しぶりに友達にあって、ばか騒ぎしたりして、外の空気を吸うことで新鮮な気持ちで菜乃葉とイチャイチャしよう。


 そう、思ってたんだけど。


「今までは失礼な態度をとってしまったかも知れませんが、心を入れ換えました。これから皆さんと仲良くさせてもらえれば嬉しいです」


 にっこり微笑んで挨拶する菜乃葉はまさに天使。新しいクラスになって自己紹介でちょろっと謝ってしまえば、クラスみんなが浮き足立つ。


 あっという間に、菜乃葉はみんなに囲まれてしまった………………ああ、そう言えばこういうの、危惧してたわ。心配してた。でもいざなると、菜乃葉とは確固たる関係が築けてるって自信あるからか、あんまり嫉妬しないな。


「大人気だね、眠り姫」

「アオスケ、何にやにや笑ってんの? 気持ち悪いんだけど」

「ひっどー。心配してあげてんだよ? サヤスケは前から眠り姫だーい好きだったけど、こうなったらサヤスケ以外も姫のこと好きになっちゃうかもだしねぇ」


 ぐぬぬ。恋人になったなんて言わなきゃよかった。うっさいやい。余計なお世話だ。私と菜乃葉は、かたーい絆で結ばれてるんだから!


「姫路さん」


 アオスケとしょうもない話をしていると、教室がしんとしたことに気づいて振り替える。菜乃葉の席の回りにいたクラスメートが場所をあけ、委員長が対面していた。あ、いや今年の委員長はまだ決まってないや。

 去年も私と菜乃葉、ついでにアオスケと同じクラスで委員長だった人だ。結構ずけずけ言う人だから、菜乃葉もちょこちょこ先生を無視したとかで注意されてた。

 そのせいか、ちょっと空気が悪くなったけど、見た感じ委員長は機嫌が悪そうではない。のんびり見させてもらおう。菜乃葉に友達ができるのはいいことだ。


「はい、なにかな?」

「ふぅん。あなたって、可愛い声をしてたのね。いつも無視されるから知らなかったわ」

「それはごめんなさいね。ちょっと色々あって」


 ちょっと嫌みっぽい委員長にも、菜乃葉はにこやかにそう答えた。すると委員長は驚いたように目を開いてから、微笑んだ。


「本当に変わったのね。こちらこそ、ごめんなさい。改心したなら、嬉しいわ。これからよろしくね」

「うん。よろしく。ところで、名前聞いてもいい?」

「…………田中、栄子よ。どうしてそんなに変わったのか、聞いてもいい?」


 委員長は頬をひきつらせてから、笑顔を維持しつつも気を取り直してそう尋ねた。さすが委員長。大人だなぁ。


「もちろん。透ー」


 ふぁっ!? え、この空気の中で呼ぶ!?


「サヤスケ、呼ばれてるよ」


 こそっと言ってくれなくてもわかってるよ! ぐぐ。


「は、はーい」


 クラス中の視線を集めながら、おずおずの菜乃葉の隣に行く。委員長が不思議そうな顔をしている。


「ど、どうも委員長。今年も同じクラスだね、よろしく」

「え、ええ。えっと?」

「透と言う、運命の恋人ができて改心したの。だからみんなも、透にちょっかいかけないでね?」

「……え、あ、そう……ええっと、よかったわね、狭山さん。姫路さんのこと大好きだったものね」


 面食らって言葉に迷った委員長は、とちくるってそんなことを笑顔で言ってきた。いやそうだけども! 困ったからってふらないでよ!


「う、うん。ありがとう。その、なんか、うん。そう言うことになりました。て言うか、えっと、バレてた?」

「え? ああ、それはもう。隠してたの?」


 隠して、たつもりもないけども。あー、改めて言われると、恥ずかしい。

 無言になる私に、菜乃葉が立ち上がって、何故か抱き締めてきた。


「可愛いでしょう?」


 こうして、クラス公認のバカっぷるになった。嬉しいけど、恥ずかしくて死にそう。









●両親襲来


 プルルルルー

 朝からけたたましく携帯電話が音をたてる。う、うーん。眠い。昨日も遅くまで、まあ、寝てたことにはなってたけど、とにかく眠い。

 マナーモードにし忘れてた。まあ、どうせアオスケとかでしょ。無視してれば諦める。


 プルルルルー只今おガチャン、プルルルルー


 あ、諦めない!? 15コール越えて留守電起動したのに即かけ直しだと!?


「出ないの?」

「! 菜乃葉、起きてたの?」

「ずっと、可愛い透のことみてたよ」

「……元気だね」


 菜乃葉はすごいね。ずっとそのテンション持続してて。朝から言われても、さすがに反応に困るわ。


「で、出ないの?」

「わ、わかったって。えーっと、あ、お父さんか」


 母親には定期的に連絡していたけど、父に直接かけることはなかったし、久しぶりだなぁ。それにしても土曜日の朝からとは、全く常識がないなぁ。

 と思いながら電話に出た。


「はい、もしも」

「今どこにいる!!?」

「わっ。な、なに、大声で。朝だよ? 家に決まってるじゃん」

「嘘をつくな!」

「な、なに、なんなの?」

「今、お前の部屋に来ているんだ。なんだ、この部屋は。荷物もないし、掃除もされていない。一体家に帰らずどこをほっつき歩いているんだバカ娘が!」

「あっ…………あー、なるほど。すぐ行くから、ちょっと待ってて」

「お」


 電話を強引に切る。パジャマだけどまあいいか。確かに、家に来てもぬけの殻なら心配するか。すぐ顔を見せてあげよう。


「菜乃葉、ちょっと待ってて」

「私も行くわ」

「え? え!? 着替えるの早っ!」

「早く着替えて。用意したから」

「え、あ、うん」


 私の分も用意もされていた。声大きかったし聞こえてるの前提だったけど、それにしても早い。そう言えば、お父さんかって言った時にはもうベッドから出てたっけ? 予想済みとは、さすが菜乃葉。


 とにかく着替えて、隣の部屋へ。


「お待たせー」

「!? ほ、本当に早かったな。と言うか、どこにいたんだ!?」

「とーちゃん、なんなの、この状態は!? こんなつもりで独り暮らしを許したんじゃないわよ!?」


 あ、お母さんもいたのか。そりゃそうか。あー、と。


「初めまして、姫路菜乃葉と言います。娘さんは隣の我が家で生活しています」


 何て説明しようか、と思ってると背後からさらっと菜乃葉が爆弾放り投げてきた。


「えっ……だ、誰だ君は!?」

「そ、そうよ! 隣って……え? い、意味がわからない」

「とにかく説明しますから、隣の我が家へどうぞ」


 混乱する両親をなだめて、菜乃葉はスマートに二人を愛の巣へ案内する。菜乃葉が微笑むと、ヒートアップしてた二人もちょっと落ち着いたし。さすが私の両親。美人に弱い。まあ、相手は天使だから仕方ないか。


 菜乃葉がリビングに案内したので、私はキッチンからお茶を持ってきてだした。ちょっとでも、できる子アピールしとかないと、独り暮らしやめってなったら困るしね。


「まずは謝罪させてください。娘さんは私の為に、一緒に住んでくださっています。何のご連絡もせず、申し訳ありませんでした」


 そこからは菜乃葉のターン!

 かくかくしかじかと説明をしてくれた。私も最近になって聞いた事故と病気の詳細を聞いて、両親は二人とも泣きそうになっていた。


「そう言うわけで、図々しいことですが、今後とも透さんと居させてもらえないでしょうか?」

「そう言うことなら、ねぇ、お父さん」

「ああ。事情が事情だ。むしろ、人のために動いていたのに、怒ってすまなかったな、とーちゃん」

「ううん。いいよ。私も説明面倒だからしなかったし」


 てな感じで、そこからは和やかな話し合いだ。

 そもそもお父さんたちは公共料金の引き落としされる通帳の減りが少なくて、おかしいぞとこっそり様子を見に来たらしい。でも二人で暮らすならそもそも部屋はいらないし。解約しよう。て言うかこれまでの生活費も渡すし。いやいやー。またまたー。

 みたいな会話をして、途中うつらうつらしてたら話がまとまったらしく、お父さんとお母さんとお昼を食べたりしてから、急な訪問で悪かったけど、手続きもあるからとさっさと二人とも帰っていった。


「ふー、いやぁ、なんだか怒濤の展開だったね」


 ソファに座って息をつくと、いつものように隣に菜乃葉が座る。


「そうね。私もさすがに緊張して、疲れたかな」

「えっ、そうだった?」


 普通ににこやかに対応してたように見えたけど、緊張とかするんだ? それは悪いことしたかな。てきぱき対応してたから、完全に任せたつもりでうたたねしてた。私は親だから緊張しないし、相手をすればよかったかな?


「そりゃあそうだよ。恋人の両親だし」

「え、でもそんなこと言ってないし、いいんじゃない?」


 添い寝してます、とは言っても、女の子同士なんだから、いきなりそういう風には思わないでしょ。

 なので軽くそう言ったのに、菜乃葉は笑って答える。


「いや、言ったよ?」

「えっ!?」


 い、いつの間に!? え、て言うか、え!? まじで!? え……なんか、めっちゃ恥ずかしくなってきた。

 人助けーみたいな雰囲気だしておいて、実際は恋人の同棲とか、そもそもそれってつまり、あんなことやこんなことしてることを察しられちゃうわけで。う、うわぁぁ…………お、親に察しられるのは、なんか、きっつい。


「な、何で言っちゃったの?」

「真剣だから」

「へ?」

「真剣に、透が好きだから。一生一緒にいたいから。だから、ご両親のことは避けては通れないし、曖昧にしたくなかった。……ごめん、透は、嫌だった?」

「そっ」


 そんなのは、ズルい。私だって真剣だし、だから友達やクラスメートに知られても、恥ずかしいけど堂々としていた。女同士だからって言われたりしたとしても、それで隠れたりは嫌だったから。外でだって手を繋ぐし、菜乃葉と恋人だというのを隠そうと思ったことはない。

 でも、でもさすがに両親は特別じゃない!? わかるけどー、言いたいことはわかるけども! なんか、妙にこっぱずかしくてむず痒いんだよー。


「嫌じゃないけど、恥ずかしいし……て言うか、いつ言ったの? 全然気づかなかったし」

「透が寝てる間に」

「う。な、なんでそんなタイミングなの」

「恥ずかしがるだろうし、と言うか、私も、ご両親に真剣に話すのを透に横から見られるのは、ちょっと恥ずかしいし」

「う……」


 か、可愛い。普通に恥じらってる菜乃葉はレアで、本来の可愛さの2倍は可愛い。元々の可愛い度数が高いからめっちゃすごいインフレおこしてる状態だ。


「そ、それなら仕方ないけど。私と菜乃葉のことなんだから、勝手にすすめるのは、どうかな」

「ごめんね。でも、家のことだって二人の今後にとって大事なことなのに、勝手に寝ちゃうから」

「うっ…………ご、ごめんなさい。難しい話だったから、つい」

「許してくれるなら、許すよ」

「許すよぅ」


 端から菜乃葉には勝てないのだ。私は完全降伏した。そんな私に菜乃葉はくすくす笑って、それでね、と話を続ける。


「それでね、二人とも、ちゃんと認めてくれたからね」

「……え? あ、そ、そう言えば、恋人なのに同棲認めてくれたんだよね」


 つまり、公認同棲! 結婚秒読み!? プロポーズ!? お、落ち着け私。えっと、つまりエロいことし放題か!


「うん。これまで通り清い交際を、成人までは続けるって約束だけどね」

「……うん? 清い……?」


 え、清い交際って、え? 何か清かったって? あれ、私清いの意味間違ってる? プラトニックって意味かと思っちゃった。やだなー。


「そうよ。触れるようなキスしかしてない、清い関係ってこと」

「……は?」


 え、何言ってるの? 昨夜だってしてたじゃない?

 私たちは未だに最初の関係を引きずり、お互いに相手が起きてるとわかった上で寝たフリさせて襲うのを順番にしてる。なので事前の同意と拒否もないのでやりたいときにやりたいだけやってるという、ちょっと人に知られたら豆腐に頭をぶつけたい感じの性生活を送っている。


 だというのに、今更何を言ってるんだ? 首をかしげてかたまる私に、菜乃葉はにんまり笑って私にキスをしてから、囁くような声を耳元にかけてくる。


「私が寝てる間に、透が何かしてるかも知れないけど、私はそれを知らない以上、してないのも同じでしょ?」


 ……ね、寝てる設定を、強引に解釈していくなぁ。つまり逆に菜乃葉がしてることも、寝てるから私は知りようがなくて、知らないということは起こってないことで、つまりキスしかしてない関係だと言えると。

 ふむ……。


「ねぇ、清い関係って言うときに、私がボロを出さないように寝てるタイミング狙ったでしょ?」

「まさか、嫌だなぁ。ボロを出すもなにも、本当のことなのに」


 うーむ。菜乃葉、腹黒いなぁ。ブラック菜乃葉だなぁ。

 と思うけど、にっこり笑う菜乃葉は可愛いし、この状況は都合がいいには違いない。むしろ、ますます好きになってしまいそうだ。


「じゃあ、今日も私、安心してぐっすり眠れるね」

「もちろん。ぐっすりと、何をされても起きないくらいぐっすりと、よく眠るといいよ」


 菜乃葉は、ぞくぞくするほど綺麗に微笑んだ。ああ、やっぱり大好き。ずっと、一緒にいようね、菜乃葉。












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