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7話



《黄金色に輝く髪と、エメラルドを嵌め込んだ美しい瞳を持つ乙女は、貴族、平民関係なく領主の館に申し出ること》



アツミが爬虫類系儚げイケメンと出会って2日後、街中に領主からのお達しが張り出された。


貴族、平民関係なく、といった内容に、人々は何が始まるのだろうか、としきりに噂し合った。


金髪にグリーンの瞳を持つ者は、あらゆる人種や獣人種が集まる街と言えど、ある程度限られており、下級階層の中で言えば、アツミの家族か、猫獣人種のとある家系が当てはまっていた。


アツミとしては、やだ、もしかしてあの時のサラザール様かしら?と思いつつも、領主様からのお達しという事もあり、静観を決め込んでいた。


…と言うよりも、姉達がやいのやいのと騒がしく、選ばれるのは私達のどちらかよね!と鼻息荒く捲し立てるのに辟易しており、また、母や父も、そして兄も私の色彩も当てはまっているにも関わらず、イザベラとカーミラをいつ領主の館に連れていくか、の話しかしないため、面倒臭くなっていたのだ。












「ま、私でもカーミラでも、領主様にどちらかが選ばれればいいわよね」


「そーよね、イザベラ。選ばれるのは私達のどちらかよ、きっと」




こちらが必死こいてスルーを決め込み、天気がいいので布団を干そうとしていたアツミの後ろで、姉妹は楽しそうに話し合っている。


プークスクス、やだぁ、うふふ。


性格の悪さが滲み出ているが、反応したところで不愉快な事しかないため、アツミは布団をビシバシ叩く。




「アンタはそーやってホコリにまみれて、一生地べたに這いつくばってるのがお似合いよ!」


「お金もない、学もない、ただの見た目だけの女だもの、家に置いてやってるだけ有難いと思いなさい!」


「あ、でもラルフには言い寄られてたから、あの犬っコロにでもお嫁にいけばいいわよね」


「そーね、私達はなんたって領主様に選ばれる高貴な身分だしぃ?」




アハ、きゃははは!


イザベラとカーミラは、反応をしないアツミに吐き捨てるように笑うと、布団を叩き落としてどこかへ去ってしまった。


まあ、この布団はイザベラとカーミラの布団なんですけどね、ぷーくすくす。


アツミはそう思いつつ、落ちた布団をかけ直し、またホコリを叩き落とし始めたのだった。













「お前は留守番してなさい、今日は帰るのが遅くなるかもしれないから、すまないが適当にご飯は食べてなさい」


「無駄に食材を使ったらタダじゃおかないからね、ま、今日くらいは好きにしてもいいわ」


「じゃ、領主様のとこに行ってくるから!」


「ごめんねぇ、私達だけでぇー笑」



宣言していた通り、アツミを除く家族全員が、領主の館に出発した。


何やら選ばれる気満々の2人の姉が滑稽で、思わず鼻から乾いた笑いが出そうになる…笑ったら大変なので、必死に俯き笑いを堪える。


まさか今世でもリアル笑ってはいけないをやるとは思ってもみなくて、ぷるぷる震えている私をどうやら泣いていると勘違いしたのか、普段は空気扱いしているジョージ兄さんが、ぽふぽふ頭を撫でてくれ、そっと飴をくれた。




「ごめんな、アイツら舞い上がってるし、許してやってくれよ」




悟りを開いた顔のジョージはアツミにそう言って、まだまだ盛り上がって騒ぎ立てる家族の背中を押してドアから出ていった。


手のひらに置かれた飴は、木苺をつかったのか、甘い匂いをしており、赤い色をしていた。






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