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  作者: ホタル
23/27

第二十三話 電話

 薄暗く晴れた空の下、外の空気はひりひりくらいするくらい乾いている。

 彼女に電話をしようかと携帯電話を取り出すと、タイミングよくそれは小刻みに震えた。

 ディスプレイの文字は、

『花』

 僕はゆっくりと携帯をひろげ通話ボタンを押した。通話時間がカウントアップされる。

「もしもし」

 彼女の声が通る。

 僕は言葉を出せずにいた。唇が乾き、蛇みたいにちろちろと小さく舌でなめた。

「もしもし」

 彼女が繰り返す。

「もしもし」

 そう返した瞬間もう泣きたくなった。

「あ、ごめん今忙しかったかしら」

「いえ、大丈夫です」

 そう言いながら、大丈夫でなかった。

「そう、よかった。昨日のこと、あなたには話しておこうかと思って」

「うみ、行きませんか?」

 準備が出来ていなかった。

 突然の僕の提案に彼女は少し時間をおいて答える。

「うみ、約束していたわね」

「はい、約束していました」

 そう言って僕は公園のベンチに座り、そのまま仰向けに寝転んだ。

 目の前に空が広がる。

「今から?」

 彼女の問いに、

 僕はただ頷いた。


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