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例えばソコが君の死に場所だったなら

作者: 春暁

あいまいに

ただなんとなく

毎日を過ごしていて


喜びも悲しみも

痛みも心地良さも


この心は確かに感じているのだけれど。



例えばここが戦場だったなら

僕は救いがたい恐怖と絶望に支配されているだろう。


例えばここが果てのない迷宮だったなら

僕は全てを投げ出し不条理を嘆いただろう。


例えばここが死刑台の上だったなら

僕は混乱と悪夢のような現実に殺されるだろう。



でも、例えばここが悲惨な事故現場だとしても

僕は日常の顔だけを見て気付きもしないだろう。



例えばそこが君の死に場所だったなら

僕はそこを通る度に君に想いをはせるだろう。


例えばそこが君の死に場所だったなら

僕は君の為に花を捧げて悔しさに涙を流すだろう。


例えばそこが君の死に場所だったなら

僕は痛みに耐えきれず息も出来なくなるだろう。



例えば例えば例えばもし、

そこが君の死に場所だったらと考えただけで

こんなにも切なくなってしまうのに、


例えば例えば例えばもし、

それは君じゃなかったというだけで

こんなにも安堵してしまうのだろうか。



溢れんばかりの想像力も

不幸を悼む優しさも

僕と君にでなければ働かない。



地球の裏側で平和を叫んでも

隣町で殺人事件が起きても

僕らには少しも危機じゃない。



それはいくら思い描いても

いくら共鳴しても

いくら同化してみても


ソレは僕と君ではなく、

ソコは僕や君の死に場所じゃないからだ。



例えばもしそこが僕と君以外の死に場所だったなら


僕は愁うだろうか

僕は泣くだろうか

僕のこの胸は痛むのだろうか。




遠く遠くそして近く


幻のように

唄声のように

囁きのように


誰かの悲鳴が上がった何処かと

僕じゃない人を想い祈った所と

君の死に場所ではないここに


誰の為でもない鐘の音が響いた。



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