値札のない夜
掲載日:2026/04/29
真っ暗な空に、ドラッグストアの看板がキラキラと光る。
重たい足なのに、つい吸い寄せられるように自動扉を抜ける。
手を引かれ、階段をぴょんぴょん降りる子どもだけ笑顔なのが、妙に目を引く。
陳列棚の商品はやけに綺麗に並んで、静かにこちらを向いている。
人々は立ち止まり、屈み込み、商品を選んでいく。
ひとつ、またひとつなくなっていく。
向こうから見ると、私はいくらなのか。
値段のついた商品ばかりが選ばれていく。
閉店の音楽が流れ出す。
外に出ると、やけに静かだった。




