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ハロー!時々出現する麦畑だよ(゜∀゜)
勝手ながら菜子ちゃんの苗字を修正させていただきました。ご了承ください。
有原達の視界に飛び込んできた、動かない人間の足。今度こそ、本当に…血まみれの人間だ。
「うぇっ。アレ、生きてんの?」
佐々木が口を押さえて疑問をこぼす。彼の言うことはもっともだろう。あんなに血が流れているし、顔だって原型を保っていない。
「息はしてるわよ。さっき確認したけど。ただ、今は下手に触らない方がいいわ。」
菜子が落ち着いた様子で応じる。
「そうか。とりあえず、救急車をー。」
有原はポケットにあるスマホを取り出したが、うっかりロック画面を横へスライドしてしまった。
「有原くん!救急車なら呼んでおいたよ!」
声をかけられた方を向くと、朝霞が僕の方に走って来ていた。
「ありがとう。朝霞さん、先生はどちらに?」
「さっき保健室に包帯を取りに行ったよ。あと、生徒たちの誘導。それで、先生がいない間は粟倉さんがここの整備をしてくれてたの。」
なるほど。それにしても、無責任な気もするが。人手が足りないのだろう。
朝霞は明るく振る舞っているが、よく見ると足が震えている。普通の人間なら気分が良くなる光景ではない。現に、周囲には佐々木のように体調不良者が続出しているようだ。中には、吐いてしまっている人もちらほらと見られる。
「そういうことだから、あなた達もさっさと帰りなさい…と、言いたいところだけど。」
菜子は有原の方を振り返るとジッと彼の目を覗いてきた。
「あなた達は平気そうだから、手伝ってもらおうかしら。」
考えてみれば、高校1年生女子1人だけで怪我人の監視や誘導をするのは厳しい。助けを呼ぼうにも大体の人が具合が悪くなってしまう。そんな中で、有原は正常に動くことが出来る。手を借りるなら現時点では彼が適任なのだろう。佐々木は微妙だけど、爛々と目が燃えている?から大丈夫…なのかな…?
「分かった。手伝うよ。何を手伝えば良い?」
「よろしい。それじゃあ、佐々木くん。」
「俺っ?!」
菜子は真っ先に佐々木を指名した。…大丈夫だろうか。色々と心配なんだけど。
「あなたはそこから一歩も動かないで。」
「は?」
唖然とする彼を他所に有原は思考する。
幸い、佐々木は事件発生時の場所から一歩も動いていない。彼は重要な証人になりうる。下手に動くと絵の具が飛び散って場所が正確ではなくなってしまうため、警察が来る前に現場はあまり変えない方が良いだろう。
しかし、全身ずぶ濡れの人間を放っておくことは出来ない。
「あのさ。流石にずっと濡れたままだと彼も風邪をひくと思うから、ソレを紙に写して位置は写真を撮るとかにしないか?今日は強風だから、どちらにせよ絵の具は飛び散るだろうし。」
今度は有原が菜子の目をジッと見つめる。日が昇って数時間。校庭が少し熱くなってきた。菜子は少し考えた後に軽く目を瞑った。
「それもそうね。それじゃあ、佐々木くん。」
菜子は爽やかな笑顔を浮かべる。
「指示を訂正するわ。まずは身体を洗ってらっしゃい。更衣室の近くにシャワー室があるからそこを使わせてもらいなさい。戻ってくる頃には先生がいらっしゃるはずだから、後は負傷者の手当を手伝ってくれる?」
良かった。まともな指示だった。
「分かった。任せ、ろ!」
佐々木はなんとか声を絞り出すと更衣室の方へ走り出した。佐々木の姿が見えなくなると、彼女は口元をほんのりと歪ませた。
「…更衣室なら存分に吐けるでしょう。後でどんな感覚だったか聞いてみたいわ。」
前言撤回。菜子はまともではなかった。有原は彼女が見えない角度でため息をついた。
「瓊ちゃんは…そうね、私に代わって誘導をお願いできるかしら?向こうの辺りはまだ混乱しているみたいだからそっちをお願い。」
「りょ、了解!」
続けて菜子は朝霞に指示を出した。朝霞は明るく了承し、震えた足を両手でパチンと叩いて落ち着かせてから現場の統制に向かっていった。
朝霞の姿が見えなくなると、菜子はくるりと有原の方に体を向けた。
「さてと。邪魔者は消えたわね?」
有原は戦慄した。彼女の狙いは初めから有原だったらしい。しかし、どうして。言ってしまえば初対面。それに、佐々木ショックの方がインパクトは大きいはずだ。
「私はね。背筋が凍るような出来事が大好きなの。有原くんも、そう思わないかしら?」
僕は今、何を聞かされているのだろう。
事件現場で放ってはいけない台詞をサラッと吐いている上に同調を求めてくる彼女が恐ろしい。ふと足元を見下ろすと、菜子の立っている場所は日陰になっていた。
「でも、時間と手間がかかることは嫌い。誰だってそうでしょう?」
死んでいるようで死んでいない瞳を死んでいる瞳に合わせる。有原は、彼女の言っていることが少し理解できた。一応再確認しておくが、警察が着くまでもう少し時間がかかる。
「だから」
ー私達で解決しましょう!
彼女は先程の会話が無意味と化すような、とんでもない提案をしてきた。




