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冒険者ランク

―――――その後、私達は、すれ違った親切な人に道を聞き、冒険者ギルド…………通称『スクエア』の前にたどり着いた。


「ここが冒険者ギルドかぁ……!よし、早速入ってみよう!!」

空音が意気揚々とドアを開いて中に入り、私達もそれに続く。


「おお……」


私は、思わず声を漏らした。

剣を背中に背負った戦士風の人や、大きな杖を手に持った魔法使いのような人。

そこにいる全員が、ゲームやアニメで見るような、ファンタジーの世界の住人だ。正直、かなりワクワクする。


「おおおお!!雰囲気出るね、琴葉!一緒にやってたRPGの世界って感じ!」

「う、うん……!」


辺りを見回してみる。

人が何人か集まってるあそこは…………掲示板。上の方に「クエスト一覧」と書いてある。あそこを見て、冒険者達はどのクエストを受けるのか決める、って感じかな。

その隣は、「仲間募集」、か……。


「皆さん、ひとまずあそこの受付カウンターのような所へ行ってみませんか?」

「そうだね。まずはどこで登録できるのか聞いてみよう」


……お。あれは弓矢か。盾を持ってる人もいる。あっ、あの人は僧侶かな?


「おーい、琴葉!行くよー!」

空音が手を握って引っ張ってくる。


「えっ?ちょっ……!いいよ手なんか繋がなくて……!」

「だーめ。こんなゲーム好きをワクワクさせるためにあるような場所にいたら、琴葉、すぐよそ見して立ち止まっちゃうでしょ?」

「そ、そんなこと……」


……ない、とは言えないかな……。


「ほら、否定できないじゃん」

空音がいたずらっぽく笑う。


「……はいはい、分かりましたよ」

「ムフフン。いいねぇ……」


……もう。

こうしてると、約一名の女神様からの視線が鬱陶しいから嫌なんだけどなぁ……。


「―――――あの、すみません」

メナちゃんが、背伸びをして顔を出しながら、窓口にいるお姉さんに話しかける。


「はい。こちらはギルド管理協会です。ご用件はなんですか?」

「ええと。私達、冒険者登録をしたいのですが……」

「かしこまりました。こちらの方で登録は可能ですよ。……こちらに、お名前と生年月日をご記入ください」


私達は、それぞれ差し出された紙に記入して手渡す。


「―――――えっと、メナ様に、ユーリ様、コトハ様、ソラネ様ですね。はい、ありがとうございます」

「琴葉、ちゃんとカタカナで名前書いたんだ」

空音がそっと耳打ちしてくる。


「当たり前でしょ。基本だよ基本。……ていうか、むしろ空音がちゃんとそこら辺考慮できたのがびっくりなんだけど」

「へへん。伊達にずーっと琴葉のゲームに付き合ってきてないよ」

「……では、現時点での冒険者ランクを測りますので…………こちらの魔道具に、お一人ずつ手を置いてください」

そう言うと、受付のお姉さんは、カウンターの上にバスケットボールくらいの大きな水晶玉を置いた。

異世界転生モノでよく見る感じのやつだ。


「ではまず……メナ様からお願いいたします。こちらの水晶を、上から両手で包み込むように触れていただきたいのですが……その、届きますか……?」

「はい、大丈夫です。んっ……!はっ……!ち、ちょっと待ってくださいね……!」

必死にメナちゃんが手を伸ばす。しかし、水晶が大きくて上の部分にはなかなか届かない。……めっちゃ頑張って背伸びしてるの超かわいいな……。


「フフン。仕方がない、私が手伝ってあげよう。―――ほら、これで届くだろう?」

「ユ、ユーリ様!…………。あ、ありがとうございます……」

後ろからユーリさんに抱きかかえられ、メナちゃんは恥ずかしそうに顔を伏せながら水晶に手を置く。


「はい、ありがとうございます。えーっと、メナ様の冒険者ランクは…………『C』です。一般的な冒険者のランクですね」

「……あ、はい。そうですか……」

「肩を落とす必要はありませんよ。あなたくらいの年齢でCランクというのはすごいことなんです。まだ子供なので、これからどんどん伸びていくと思いますよ」

「…………。ありがとうございます……」

メナちゃんは、どこか複雑そうな顔でそう言った。


「では、次はユーリ様。お願いいたします」

「うむ」

「えーっと…………え、『A』!?す、すごいですね!!」

「ふむ……そうなのかい?」

「はい!最初からAランクというのは、かなり珍しいと思います……!一般に、初めは高くてもCランク、そしてクエストをこなし、レベルアップしていくと徐々にランクが上がっていく、といった感じなので!」

お姉さんは少し興奮気味になりながら説明する。

……確かに、男四人相手にボコボコに無双できるくらいだもんなぁ。そりゃ高いわ。


「で、では次は、コトハ様。お願いいたします……!」

お姉さんが目を輝かせながら言ってくる。

……なんか、すごい天才集団みたいな期待されてない?いや、でも確かに間違いでもないか。私達、異世界転生してきたんだし。ていうかむしろ、私の時はもっととんでもないランクが出ちゃうんじゃない……!?


「え~…………コトハ様のランクは……あ、あれ?『E』……?」


…………え?

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