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かさつく冬に、心は荒れた

作者: 巌参

誕生日記念に思い付きで書いてみた。

短編っていうか詩もどきみたいな冬のナニカです。

とにかく書いたんで!

 かさつく冬に、心は荒れた。


 凍てつく様なつむじ風は、撫でるように肌へとあたる。

 ふと触れる。その手の温もりを分ける為に。


 凍えそうな身体を伴って、何気なく道をみる。

 何気なく自らが赴くまま、導かれるままに歩みを進めた。進めるしかなかった。


 口からはうっすらと、白い魂のように儚い煙が現れては消えて去る。少しずつ魂を吐き出して征く。行方は、誰も知らない。


 吹きゆく風が顔を過ぎ去り、顔も心も強張らせるのは、きっと気の所為ではないのだろう。


 手の温もりでは足りぬ。歩みを進めた。


 人の創った道を導かれるまま、只あるがままに突き進む。


 心の臓が煩い位に鐘を鳴らす。

 耳を塞げど、余計に聞こえる。でも、塞がずともノイズは至る処にあるのが常。

 諦めて耳を傾ける。まだマシだ。


 鐘を鳴らせば次第に、鐘も温もりを持ちその温もりは全てに伝わる。


 身体は鐘か?


 打てば響くか?


 熱は広がる。暖まり、ポカポカとした気持ちは全てを些事だと一蹴した。


 踵を返して背の景色を視る。

 歩いた道、過ぎ去った後が視えたり、そうではなかったり。

 でも、帰り道は分かっている。ヘマをするのは一度きりと決めているのだから。




 分岐点では間違えない。間違えたくない。




 扉のドアノブに手を掛ける。

 じんわりと、それでいて確実に手の温もりを奪っていく。

 帰る為のチップだと思えば仕方ないな。はは…




 ガチャリと聴き慣れた音を出して、一歩ずつ足を前に出す。






 ただいま






 かさつく冬に、心は荒れた。

 肌にはワセリンでも何でも、塗るものがある。

 けれど、心はそうもいかない。いかんともしがたいものだ。


 それでも、布団を被れば?

 珈琲でも飲めば?

 暖房を付ければ?

 シャワーを浴びれば?


 身体を解そう。

 只、無数に吹き荒れる気紛れな冬の寒風に凍り掛けていただけなんだ。


 身体を解せば、少しだけ軽くなる。

 口先も吊り上がる。


 解し方は内側で独自に調べよう。

 正解を、これが正解なんだと言いたかったら試した後でもいいかな?


 心の窓にはその躰が既になっている。

 心の暖まり方は模索してばっかりだな。


 まず私は、内側で物語を作り出す。忙しなく作り出しては動かすのさ。




 退屈はしてないさ。だって、目蓋を閉じる時にはもう、荒いナニかは感じないから。

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