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「モブ妖精とスパダリ獣の恋」俺は女の子が好きだったのに、なんで偉い人に落とされてんの?  作者: 高瀬さくら


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5.accidentは突然に

 車の助手席で、チャスは窓の外を見ていた。あのあと、珈琲を飲んで、デザートの小さなチョコケーキとラズベリーのムースの盛り合わせを食べた。あっちは何かを言いたげだったけど、口を閉じて静かに運転していた。


「会社の前、街路樹のところに自転車にあるから」


 チェーンで結び付けている。


 送ると再度言われたけど、チャスは首を振った。明日の朝が面倒だから、と。ビルが流れていき、しばらくしてチャスはお腹を押さえた。段々と鈍痛が鋭利な痛みとなりずきずきしてくる。


(やば……い、かも)


 痛みは強くなってくる。――早く着けと思う。


(でもこれじゃ、自転車の運転はできない、かも)


 顔をガラス窓につけて、身体を曲げて、縮ませる。


「チャス?」

 

 異常に気が付いたのか、運転席からミカエルの声が響いてきた。


「なんでも……ね」


 また路肩に車が寄せられる。そちらから伸びてくる手を払いのけようとしたけれど出来なかった。


「どうした?」


 額にふれる手が驚いたようだ。自分でも冷や汗をかいているのがわかる。

はっと引っ込められて、すぐにシャツのボタンを上から外し緩められる。


「腹が痛いのか? 吐き気は?」

「へいきっ……」

「病院に行く」


 一度緩めたシートベルトをはめなおし、すぐにブレーキを解除して走り出すミカエルの手をチャスは掴んだ。


「やめろよ」

「だめだ」

「病院はやめろよ、絶対」


 このままのスピードじゃついてしまう。チャスは冷や汗をにじませながら、シートベルトを解除した。そのままドアのロックに指をかける。


「何をしてる!?」

「行くなら、ここから降りる」


 猛スピードで走っている。時速は80キロ。ここで飛び降りたら死ぬだろうな、て思うけど病院は絶対ヤダ。ミカエルが運転席のドア脇の全ドアのロックに手をかけようとするのを見て、チャスも脅す。


「――それしたら、マジでドアあける」


 そしてハンドルを指す。


「前向けよ。安全運転」

 

 チャスがまだドアに指をかけたまま促せば、ミカエルは速度を落とす。ゆるゆるとスピードを緩め一般道へと降りていく。


「――保険に入ってないのか?」

「あー」


 つまり一般の国民健康保険に入っていないのか、という質問。確かにそれならば病院に行きたがらない理由にもなるだろう。


 痛みはかなりひどい、こんな時になんでだよ、と思う。ずきずきと突き刺すような痛みは胃痛だ。


「ま、そんな…もん…」

「痛みに思い当たる理由は?」

「久々に…食べた、から」


 シートベルトを外して、座席の上で膝を丸くなる。


「わる。おれんち。いって」


 自転車は諦めた方がよさそうだ。住所を言って目を閉じた。


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