美男美女の両親から生まれていじめられてきた不細工な私が、美貌の妹に婚約者である王太子殿下を奪われすべてに復讐を決意するまで。顔がすべての価値観をひっくりかえしてあげますわ!
「どうして不細工が私の婚約者に?」
私は美人のほうがよかったと殿下に言われたのですが、血筋家柄、魔力量、容姿の総合で私になったのですが。
「顔が一番だろう普通!」
「…はあ」
私はそれから何も言い返せずそのうちに殿下に無視されるようになり…。
地味眼鏡の魔法オタクが王太子の婚約者というのが間違っていたという話までされるようになり。
「魔法オタクの地味眼鏡、お前と婚約破棄することが決まった。さっさと荷物をまとめて出ていけ、国一番の美女のお前の妹と婚約することに決まったんだ! お前の妹と話をしてみたが美しく素晴らしい女性だ!」
殿下にこう宣言されたというわけですが…。家に帰ろうにも私は家でも味噌っかす。
仕方ないと家に帰れば、美貌で知られる妹が私がやはり婚約者としてふさわしいといわれましたのと胸を張って自慢してきました。
私の両親は二人とも国一番の美貌と言われた人たちでして、それの娘がこれで…。
栗色の髪に茶色の目、そしてすずめの巣頭、目が悪くて分厚い眼鏡をかけて…。
妹が生まれたときはやっと自分たちにふさわしい娘が生まれたと歓喜したそうです。
そんな両親でしたから、私は放っておかれて、自分で奨学金を使って魔法学園に行く始末。
妹ばかりかわいがられ、祖父からの贈り物はすべて妹にとられ、不細工にふさわしくないと何も贈り物さえ私はもらえず。
容姿が一番という両親と妹の価値観からすれば仕方ないのかとすべてをあきらめたのです。
しかし殿下にもその価値観を押し付けられ、私、実はすごく怒っていました。
荷物をまとめて家を出て、すべてに復讐を決めました。
妹がやっぱりお姉さまは殿下にふさわしくなかったわおーほほほと笑ったのが決定的でした。
好きになった人を奪われてきましたが、さすがに婚約者まで…と。
「ほお、聖女のスキルとは珍しい事だ」
「聖女としてのスキルは癒し、予知があります。私は両方とも扱えます」
私は隣国の神殿に行って、そこで事務員として就職をしました。
そこから自分のスキルを売り込み、とうとう隣国の王に出会うことができたのです。
「どうしてそのスキルを隠していたんだ?」
「利用されそうでしたので」
「賢明な女性だな」
私は隣国に仕官し、そしてそこで聖女として活動することにしたのです。隣国は繁栄するようになりました。だって全ての災害が予知により回避でき、ちょっとした病や怪我は私の魔力で癒される。
多分この能力が分かれば飼い殺しにされることが分かっていたので、私は黙っていたのです。
私は陛下に求婚され、王妃を亡くした彼の第二王妃になることが決まったのです。
そして祖国に行くと、私を見て妹が驚き、殿下が何か魔法を使ったのか? と私だと最初はわからず驚いていましたが、劣悪な環境であった生活から一変し、ストレスから解放されたおかげで…。
肌はつるつる、髪だって結い上げればきれいにまとまり、あとは眼鏡をとって化粧しただけです。
もともとの素地は悪くないと女官にもいわれましたが。
元婚約者の殿下はどうして聖女を手放した! と陛下にこっぴどく怒られたようです。
妹の浪費のせいで、祖国はかなり財政的に傾き、そして数年後、諸国から攻め入られ滅びました。
そのうちの一つの国はわが国でしたが…。
でもねえ私は広場で晒された二人の首を見ても、別になんとも思いませんでした。
数年前予知でこの光景を見たからです。私が隣国の王妃となることも…。
ただ一つだけ、私は『王太子』の婚約者になるはずで、王の正妃ではありませんでした。
しかし陛下とは親子ほど年が違いましたが、今はそのほうがよかったと思っています。
結婚相手としては、包容力がある方が一番ですしね。
顔が一番! の両親は戦で所領がすべて没収され、処刑されるときに顔だけは傷つけないでくれといったせいでいまだに情けない貴族の典型として語り草になっています。
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