混乱の外側
ミソラは怖かった。自分の知らないことを知っている自分がただただ怖かった。シリ。シリって何だ、何で知っている?そんなことを考えて仕方がなかった。しかし、解らないことに思考を巡らせてもエネルギーの無駄だ。ミソラは爪が食い込むほど体を抱き締めていた。
それはイリス宅に帰っても同じだった。ミソラは帰宅してすぐ自分の部屋に閉じ籠ってしまった。もの悲しそうなレイの瞳を無視して。
「……何があった。あれは異常だぞ」
走り去っていったミソラにイリスは顔をしかめる。
「……ミソラが何か思い出したっぽいんですけど…」
レイは首の後ろをかく。レイ自身も何が起こったのかよくわかっていない。
「こちらも手がかりらしいものは見つかったんだが……今じゃないな…」
「そうしてくれると助かります」
レイが素直に礼を言う。
彼がリビングの扉に手をかけると、
「どこ行く」
「え?」
怒気をはらんだ口調でイリスが訊ねた。
「あいつをそのまま放っておいていいのか?」
「……それはダメですけど…俺にできることなんてないですよ」
レイは落胆の息を吐く。ミソラがどうして取り乱しているのか解らない以上何が得策なのか検討がつかない。
葛藤している彼を見る女神の瞳には呆れの念が籠る。
「今日一日つれ回した責任はあるだろう。その責任は最後まで果たせ。そばにいるだけで良い。ああいう時は孤独を感じているものだからな」
「……わかりました」
レイの拳に力が入る。
「なに、邪魔はせんから存分にやってくるといい」
イリスのいつになく神様らしい言葉に背中を押されレイは階段を駆け上がっていった。
どうも紙村滝です。
少し休んで英気を養いました。
休憩中にふと思ったことがひとつ。
自爆魔法ってかっこよくないですか?
だいばくはつとかメガンテとか最後の切り札っぽくていいですね。
次のは自爆魔法メインのものを書こうかなあ。