マンゴーと謎の少女 Ⅲ
しばらくすると、少女は目を覚ました。
周りがどうなってるのか分からないのか、キョロキョロ見渡していた。
「ケホッ、ケホッ、、。
はぁはぁ、、ど、どうして、はぁはぁ、
私なんか、はぁはぁ、、、、助けたん、ですか!!」
、、、、、。
まあ、助けたかったからとかしか言いようがないな。
あと、俺は、口がないからどうしようもない。
代わりに根が喋ってくれたら楽なんだがなー。
喋れないのでしばらくすると少女は根から降りようとした。
すかさず、根を操り阻止する。
、、、って、暴れるな!落ちるだろ。
「離してください!!私は、私はー 」
「どーしたんですかー!!怪物様ーー!!」
可愛い村人だ。
おおっ。そういやこの子がいたな。
俺はすかさず、根で少女を引き渡す。
「なるほど、溺れてる人を助けたんですね。
私が近くまで保護しますよ。」
っと、受け取ろうとした時、
少女を見て驚愕な顔になった。
「こ、これは、半纏病!?」
そして、すぐさま後ろに下がる。
そして、片膝をついて申し訳なさそうに語った。
「申し訳ございません。怪物様!!
この子は半纏病という感染する病気があるが故、
私には触ることができません。」
半纏病??
まあ、こっちで言うペストとかそんな感じな奴なのかな。
確かに、顔の1部に赤い点々がある。
これ?俺には感染しないよな?
「その方の言う通りです。、、分かりました?
だから、いい加減に離して。、はぁはぁ。」
「貴様!怪物様になんてなんて口の聞き方。無礼だぞ!!」
可愛い村人さん。めちゃくちゃ怒ってる、、。
まあ、今や主従関係みたいなものだからな。(勝手に俺が思ってるだけだけどまあ、多分あってると思う。)
主に無礼な話し方する輩がいたらそりゃ怒るか。
「はぁはぁ。怪物様?人では無いのですか?」
「この姿が人である訳なかろう。
って、貴様。もう目が見えてないのか。」
「はぁはぁ。はい。昔は見えてましたが、今は、見えておりまん。はぁはぁ。
それだけ病気の進行が進んでおり、私はもうあまり長くは生きられません。はぁはぁ。それに私の病気は動物や魔物にも感染します。はぁはぁ」
なるほどな。それで助けた時に「なんで助けたんですか」とか言ってたのか。
って、この病気魔物にも感染するのか、、、。
俺も半分魔物みたいなものなんだけど、ほんとに大丈夫か?
「ふふ、貴様。病気を感染させたくないと思っていたのか。その心遣いはいいぞ。見直したぞ。
そして、怪物様なら大丈夫だ!なんせ植物だからな。」
「えっ!、、、植物なんですか。、、、じゃあ、大丈夫ですね。、、、はぁはぁ」
少女は、ほっとしていた。
えっと、植物なら大丈夫ってわけね。良かった。良かった。
とりあえず植物アピールしとくか。
、、、、って、目の見えない人に植物アピールとか無理じゃね?
「ギャーーーー!!」
って、おいっ!こら!
植物は、喋らねーだろ!!静かにしとけ!!
「、、、、ほんとに植物なんですか?」
「根っこや枝が叫んだりするがちゃんと立派な植物だぞ。
たしか、ま、ま、マン?、、マンなんとかという植物だそうだ。
そして、植物なのに人語も理解しててオマケに強い。
我がD村のさいしゅうへいき?って言うものらしいぞ。」
そして、目をキラキラ輝かせて可愛い村人さんは、俺の自慢話を始めた。
って!俺、、勝手に最終兵器にされてるのか、、、。
まあ、人語も理解するし、強いし、食べ物さえ与えておけば大人しくしてる。
確かにそう考えるとある意味俺は、兵器だな。
というか、何処かと戦いでもする予定があるのか?
それより、これからこの少女は、どうすれば、、、
などと思っていると
「ゲホッゲホッ。ゲホッゲホッ。」
少女が突然吐血し始めた。
「大丈夫か!」
「はぁはぁ、お気遣いありがとうございます。
はぁはぁ、はぁはぁ、たぶん、私はもう間もなく死んで、、
はぁはぁしまいます。」
「、、、、そうか。」
可愛い村人さんも気づいたのだろう。
少女は、ぐったりとしていて、顔色がかなり悪かった。
誰が見ても、もう命が長くもたないことは分かっていた。
よくよく考えると先ほどまで心臓が止まっていたのだ。
息を吹きかえし、話が今まで出来てたのが奇跡だったのだ。
しかし、その間にも病気は進行していて、
少女の残り短い命をさらに短くしたのだった。
「はぁはぁ、救って頂いた命。はぁはぁ。直ぐに無駄にしてしまってはぁはぁ。すみません。ゲホッゲホッ」
吐血しながらも少女は語る。
「はぁはぁ、最後に、はぁはぁ、命を救っていただき、お話もできて、はぁはぁ、私はかなりはぁはぁ、幸せものです。はぁはぁ。
そして、はぁはぁ最後に怪物様にお願いがはぁはぁあります。ゲホッゲホッ!」
少女は、声を振り絞って言った。
「私を食べてください。ゲホッゲホッ。」
「食べるって、お主っ。!」
バッ!
俺は、可愛い村人の前に根をやり、黙らせる。
ここは、そのまま話をさせてやろう。そう思ったのだ。
可愛い村人もそれを察したのか、喋らなかった。
少女は周りがどうなってるのかですら、分からないのだろう。
俺達のことを気にすること無く、そのまま話し続けた。
「はぁはぁ。私を食べて栄養にでもはぁはぁ。してください。はぁはぁ
そうすればあなたの中に、はぁはぁ、
私も生き続けることが出来ます。はぁはぁ、ゲホッゲホッ。」
、、、、栄養になる事で生き続けるか。、、、
何かを食べて栄養にする。
それで無くす命があり、その分、生きる命もある。
生きる命は無くした命の分背負わなければならない。当たり前のことである。
それが、動物や植物になると、そこまで嫌悪感はわかないが同じ人ととなると話は変わる。
この異世界ではわからないが、前の世界では人が人を食べるなんて正気の沙汰じゃない事だからだ。
そして、この異世界でもそうであると思ってはいる。
そして、俺は今、ヒトではないかだ。
まあ、魔物と読んでもいい部類である。
そして、3ヶ月少ししか生活してないこの俺だが、
この世界では魔物が人を食べることは日常である事だということは、理解していた。
、、、つまり、俺はヒトを食べても当たり前の事ですまされるのだ。
そして、少女はどうせなら誰かのためになり、そして、生き続けたい。そう思っている。
、、、、、、。
そして、俺は、決意をあらため、根を少女の前にやり、一言だけ答えた。
「ギー!!」
、、伝わった、、、だろうか?
「わかった。お前のことは忘れない。そして、その願い聞き届けた。安心して眠れ。」
代わりに可愛い村人が答えてくれた。
「、、、ぐずっ、、、ありが、とう、、ございま、、す」
少女は、涙を流しながら答えた。
そして、数秒後、、、
少女は、息を引き取った。