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ただすれ違っただけの君を助けたい 月城白亜の物語  作者: 透坂雨音
番外編 近藤順平の物語

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02 ボート



「ほら、浪打ち際で波に打たれるくらいすればいいじゃん」

「うぅ、冷たいよ……」


 どうにかこうにかして、時戸を水際まで引っ張りだした後は、太陽が真上に上るまで遊んだ。


 時戸は小刻みに震えているが、一度貝から出てきたのなら、そのうち慣れるはずだ。


「こんだけ暑いんだから、海が冷たいくらいなんてことないだろ」

「そうかもしれないけど……」


 毎年、環境がぶっ壊れているのかと思うほど、暑くなっていく夏だけど。


 今日この地方に限っては、空気を読んだのか、降り注ぐ太陽光線の強さが控えめだ。


 といってもいつもより、という注釈がつくが。


 すると、波打ち際で波に打たれているうちになれたのか、時戸がおっかなびっくり指で示す。


「順平君、向こうでボートあるって言ってるよ」


 乗ってみる?


 という意味で聞いてきた時戸は少しだけ開放的になっているようだ。


 先ほどまで引っ込むか出るかしていた自主性が、顔をのぞかせ始めている。


 つい数分前も地元の子供らしき少女と話をしていたようだから、一度鍵さえ開けてしまえばこっちのものなのだ。


 レジャーシートまで近づいてきてくれたあの少女には、お礼を言いたい。


 時戸は引っ込み思案だが、寄ってくるものには市雄きちんと対応するから。


「やってみればいいじゃん」


 俺はとにかく時戸のその貴重な積極性を失わせないために、即決断。


 彼女の手を引いてボート乗り場へ向かう。


 途中で離れたところから、先ほど話しかけてきた小さな女の子がこちらを見ていた。


 親はいないんだろうかと思って周囲に視線を巡らせていたら、知らない間にいなくなっていた。


 家に帰ったのだろうか。


 ボート乗り場にたどり着くと、髭の生えた日焼けのおっさんがいた。


 そのおっさんに小銭を渡してボートに乗り込む。


 桟橋に並んでいたボートは、どれもさび付いていて、少し安全面とかもろもろが不安だった。


 だが、さすがに沈みはしないだろうと思い、乗り込む。


 選んだアヒルボートを漕いで大海原に出発してみると、潮風がとても心地よい。


 しばらく進んでみたら、もう一つボートが追いかけてきた。


 灰色の白鳥みたいな見た目のボートだ。


 乗っているのは、先輩たちだった。


 月城先輩が漕いでいて、面倒くさそうな顔をしている。


 そんな彼を冷かしていたらしい水城先輩が俺達に話しかけてきた。


「だから運動不足だって言ったでしょ? もう、本当見た目通りインドアなんだね…。あ、二人とも。午後から風が強くなるって」


 水城先輩は俺達を心配して、きてくれたようだ。


「月城君がスマホで天気を調べてくれたんだ。念のために早めに戻ったほうが良いかも」


 と思ったら、月城先輩の方が先だったらしい。


 人に興味がないふり選手権を催したら、たぶんこの人良いところまで行くんじゃないだろうか。



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