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ただすれ違っただけの君を助けたい 月城白亜の物語  作者: 透坂雨音
番外編 近藤順平の物語

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01 夏の海で



 夏の暑さがしんどい。

 今年の夏は異常だと思った。

 毎年そんなことを思っているけれど、本当にそう思うのだから仕方がない。


 このまま夏の気温が上がり続けたら。

 きっと地球はぶっ壊れるに違いない。


 そんな事を思っていたが、すぐにどうでも良くなった。

 だって目の前には海が広がっていたから。


 水着に着替えて、さっそく海へ向かおうとすると、声を掛けられた。

 今にも消え入りそうな声で墓仕掛けてきたのは、幼馴染の時戸琥珀だ。


「順平君、私泳げないから……」


 レジャーシートを広げて、そのうえで体育座りをしている。

 パラソルが作った日陰の中で小さくなっているが、もったいないと思った。


「せっかく来たんだから泳いだらいいじゃん」

「無理だよ」


 フリルのついた水着を着ているが、せっかくなのにもったいない。


 水着の裾を引っ張ると、想像できないくらい強い力で抵抗される。


 最近は少しマシになったと思ったが時戸は根っからのネガティブ少女だ。


 後ろ向きな感情に引きずられて、本来できたはずの事までできなくなっている気がしてヤキモキしてしまう。


 思い出すのも苦労するような昔。


 彼女の両親が生きていた頃は、確か海辺でも平気ではしゃぎまわっていたのに。


 レジャーシートの上に置いてあるアヒルの玩具をつんつんする彼女は、まさに貝。


 今も、貝の中から出たり引っ込んだりしている。




 どう声をかければ、海の方へひっぱりだせるのか。


 天岩戸的なシチュエーションを想像して、なんとか解決策をひねり出そうとしていたら、声を掛けられた。


「あれ? 時戸さん泳がないの? 夏なのに」

「夏だけど別に泳がない人間がいてもいいだろ」


 相手は水城友理奈先輩と月城白亜先輩だ。


 天然っぽい発言をする水城先輩に、月城先輩が突っ込んでいる。


 ちょっとした出来事で知り合った2人とは、特に親しいわけではない。


 かといって一緒にいる事が苦痛であるというわけではないので、何かあると行動を共にする事が多くなった気がする。


 知人以上、友達未満といったところだろうか。


 うまく言い表せない関係だけど、彼らとのかかわりが時戸に良い影響をもたらせればと思ってる。


「月城君も泳げばいいのになぁ。海、こんなに綺麗なのに」


 水城先輩は少し不満げだ。


 彼女は先ほどまで海で泳いできていたらしく、水着が濡れている。


 しかし反対に月城先輩の水着は乾いていた。


 浜辺で散歩したり、海で遊んでる水城先輩をぼーっと見つめているだけだった。


「白亜君、私が一緒に泳ぎたいなっていったら、泳いでくれる?」

「さあ」

「ひどくない?」


 水城先輩が同意を求めてきたが、どちらの味方をすれば良いのか分からない。


 水城先輩は自覚がないのかもしれないけど、たぶん月城先輩の事を意識しているんだろう。


 だけど月城先輩は距離感が少し独特だから、彼女の事をどう思っているのか分からない。


 月城先輩についてあれこれ悩んでいる姿を見ていると、もう少し付き合ってあげれば良いのにと思ってしまう。


 そう考えるのは、自分が人より少し世話焼きだからだろうか。



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