第41話 見た目の重要性
魔王の姿が揺らぎ、ボロボロと崩れていく……
同時に俺の体を支配していた緊張感からようやく解放される。
戦闘がシビアすぎると、ちょっとしんどい……
「リョウ!! 大丈夫?」
「ああ、おかげさまで、冷静に支援続けてくれて助かったよ」
「パパ、無茶しないでください。心臓が止まるかと思いました」
「ちょっと調子に乗ったね、ステータス頼りにしすぎだった。
けどさ、ちょっとボスだけ強すぎないか? 俺のステータスとレベル、結構ぶっ壊れなのにあのダメージは……」
「そうですね……上限は軽く排除されていますね。システムの一部にも干渉してきている。
もしかしたら敵の力は想像よりも進んでいるのかも……」
「はぁ~~、急がないとなぁ……」
ここがゲームの仮想空間の中だと忘れるほどの疲労感がどっと押し寄せて来て……気が付いたら寝ていた。
「おはようリョウ」
「あ……ごめん、俺、寝てた?」
「はい。パパが眠ってから21分35秒です。
急に座り込んだら寝息を立てていたのでママが寝かせてあげようということで」
「ごめんねリョウ、体痛くない?」
「ああ、いや、俺のほうこそごめんこんなとこでそんなに長く座らせて、……痛っ……」
寝て起きたばかりだというのに、鈍い頭痛がする。
「またですか……?」
「いや、すぐ収まるよ」
心配そうにのぞき込んでくるナユタに無理やり笑顔を作る。
じくじくといつもと違ってしつこい痛みが残る。
なんとなく、嫌な感じだ。
やはりオーバークロックの脳への負担が大きいのだろう。
「パパ、本当にだいじょうぶですか?」
「……正直言うと、だんだん酷くなるな……けど、こうしないと俺もナユタも命がないから、出来る限り急ぐしかないな」
「……ごめんなさい……」
気が付けばサラがポタポタと涙を流している。
「いや、別にサラの性じゃない……よね?」
「パパ……そこは疑問視つけちゃダメでしょ……」
「でも、さすがの私もオープン状態で接続なんてするかな?」
「そうなんだよな、沙羅はいくら馬鹿でも仕事に関しては超が付く有能、一番最初からどうも腑に落ちなかったんだよなそこが……」
「しかも、タイミングよく4か国も?」
「回線が開いたのはコンマレベルの瞬間です。あまりにタイミングが良すぎます。
常時突入準備がされていた可能性もあると思っていましたが……」
「なんにせよ、外に出ないとな」
「そうですね。ただ、中からでも打てる手は打っておきましょう。パパもママも協力してください」
「ああ、任せとけ」
「私もできることは何でもする!」
「とりあえず、ここの宝箱あさろっか」
「取り込みはすでに始めていますので、どうぞ漁ってきてください!」
すごくいい笑顔で結構汚い言葉を使うナユタであった。
「ボス宝箱に詰まっているのは夢か絶望か!?」
武器に関してはマジックソードが俺のステ的に最適解だろう。
とか考えていたら、俺に最適解な防具が出てきた。
理力の鎧、Intが高いほど防御力が上がって、ダメージの一部をMPで受けてくれる。
「大当たり……」
あまりにピタッと来るものが出てうおおお!! って喜びよりもじわっとぶるっとくる喜びが出た。
ニヤニヤしながら装備すると、なんというか、全身タイツのおっさんがライトセーバーごっこしているみたいになった。デザインが行方不明です……
笑いを抑えるナユタと腹を抱えて笑うサラ。俺は外見を変える装備の重要性を知った。
なんにせよ、第二の魔王も無事に排除できた。
「ナユタ、終了予定時刻は?」
「明日の15時34分終了予定です」
「随分と早くなったな!?」
「パパとママのおかげで負荷が半分近くになったわけなので……
パパ、やっぱりパパの健康のために次の工程が終わったらマスターコマンドを使いましょう」
「……前の俺なら嫌がっただろうな」
「ええ、体調の変化もありますし、ボスの強化が異常です。
これ以上時間的な猶予を与えるわけにはいかないと判断します」
「リョウ、そのほうがいいよ。
ゲームとして楽しむのは一緒に完成させてからにしよ?」
「そうだな、そうするしかないな……」
「そうすればイベントに絡んでいてもフラグ立てに奔走したりしなくても済みますから」
「あと残りはベリンザー帝国とフェリアス神国、それに世界の中枢がある世界のへそグランフォールか」
「帝国の私の考えたイベントがスキップ……いや、あとでゆっくりやる楽しみが……しかし、くそう
じっくりやれば何年もの間コンテンツを維持できると自負していたんだが……」
「うん、マスターコマンド。使う躊躇が今霧散した。やってやる」
サラがああいうってことは本当にそうなる可能性がある。
イベントに没頭してたら死にましたなんて笑い話にもならない。
「それじゃあ、帰ろう。みんなのところへ」
外部の敵を倒し切った召喚獣たちにお礼を言ってみんな帰還させる。
やはり、一人軍団状態でこれはいけない。
修正項目に突っ込んでおく。
それにしても、俺らが戦っている間に周囲の敵も少しづつ集まったせいで帰り道の敵の密度はかなり薄くなっていた。
島として自然にリポップする数はそこまで多くないのかもしれない。
砦へ戻ると心配していたみんなに温かく迎えられる。
そういえば、珍しく魔王を倒した後にもダンジョンが消失しないで、通常のダンジョンに戻っていた。
適当に原因はそれかもしれないと報告をして、みんなには引き続きここを調べておいてもらおう。
俺だけ宝を独占したことにならなくてちょうどいい。
「と、言うわけでこれが周囲のマップと、ダンジョンと思われる場所です」
「おお、このような詳細な地図を得られれば、ほとんど仕事は終わったようなものだな。
本当にありがとう」
「ええ、あと、申し訳ないのですが、この調査でだいぶ消耗しまして、一時帰還と休暇をいただけないでしょうか?」
「そうでしたか、もちろんです。これだけの調査、どれだけの苦労をされたのか……
王に代わりましてお礼を申し上げる。次の連絡船に乗ってお戻りください」
「冒険者ギルドも代表して礼を言うぜ、ありがとうなリョウ!」
こうして、俺たちのポセトニア諸島での冒険は幕を閉じたのであった。




