転生
疲れた。
足がヘトヘトだ。隣で歩いてる深…霞ヶ丘深も相当疲れていると思う。
まさか魔界にまで逃げて来るとは思いもしなかった。だが魔界は思ったより安全。黄泉連合も魔界までは手を出していないようだ。
「ちょっと待て…!零!」
「は?何?」
コソコソとした小さな声で深が呼び止めた。
「…向こうに人影が見える。」
深が指した先には__少女だろうか、可憐に日傘を差している。__が見えた。
外見と中身は関連付けない方がいい。いろんな奴らを見て学んだ。
2人の間に糸を張ったような緊張感が漂う。
「…話しかけるか?」
「…やめておいた方がいい気がして来るけど。」
「だよな。」
と、話がオチようとした所で
「そなたら…そろそろ出てきたらどうじゃ?妾に敵意は…無いようじゃが。」
マズい、見つかっていた。コイツを連れて飛べばいいが、疲労感から考えると無理があるだろう。…戦うしか…!?
「零…無視しないで返せよ。」
「え?何が?」
「だからあの人呼んでるって。」
「敵だったら…。」
「まどろっこしい!」
深が急に手を引いて、今まで隠れていた場所から出てきた。…やはり少女は大変可愛らしい顔立ちだ。金髪がとても綺麗。
いつまで手を掴んでるんだと思いつつ、悪い気は全くしないので放っておいた。
「そなたらはなんじゃ?何故ここにおる?」
「ちょっと…逃亡中的な。」
「そう、逃亡中的な。」
言っている事は間違ってはいないが…不自然にも程がある。
「詳しい事情は知らぬが…妾が匿ってあげるのじゃ!妾は寛大じゃからの!」
名も知らぬ彼女はそう言い、私達を半ば強引に匿ってくれた。食事は美味しく、柔らかなベッドで寝れた。
翌日、私達を見送りまでしてくれて、なんだか宿主みたいだなぁと思ってしまった。なんて話を深としていた。
いつかの日
「あー!!ちょっと玲、あんたなんでそんなにガンゲーうまいの!?」
「なんでかな?本能的にできるみたいな?」
ゲーセンの騒音にも負けない程楽しんでいた玲こと私。
「さー次々!いこ!」
「うん!…あ」
次のゲームをプレイしようと歩いていく。…が、コインを落としてしまった。コロコロと転がっていくコインは小さくってうまく捕まえられない。
目で追っていたコインが誰かの手にヒョイッと取られた。まさか盗み!?と思い顔をあげると、そこには美形の女の子がコインを手にしていた。
「はい、落としましたよ。とうぞ。」
コインを手のひらに置き、さあ取って?とばかりに手を出した。私はそのコインをありがたく受け取った。
「ありがとうございますー」
と平謝りをしたが…どこかで見たような気がするのは…気のせい、なんだろうか。
END【また会った?】