2章 〜対決2〜
―――――あれからしばらくして、2人とも体中に傷がついていた。しかし、傷の深さや量はディルのほうが圧倒的に少なかった。それは、マイヤが押されていたという明らかな証拠だった。
「そろそろ終わらせましょうか。楽しかったですよ、マイヤさん」
「あたしは、死ぬわけには、いかない。消えるのは、お前のほうだ」
息を切らしながらマイヤは言う。
「火の神ラガよ、彼の者に怒れる炎を。風の神クロムよ、彼の者に嘆きの風を」
「・・・・・・奥義」
両方とも決め手となる攻撃の準備に入る。魔力と気が、崩れかけているこの洞窟を揺るがす。
「プロミネンス!!エアクラッシュ!!」
「夢幻桜華!!」
ディルの右側に、白い炎が出現する。その温度は灼熱より熱く、大きさは縦に最大5m、横にさ3mだった。左側には炎と同じくらいの大きさの風の塊があった。その中にはかまいたちが渦巻いている。この2つの魔法の影響で辺りには熱風が吹き荒れていた。
対極にいるマイヤからは、紅龍から赤い色の花弁のような火属性の剣気が、虎蒼からは青色の花弁のような氷属性の剣気が吹き出している。大量に吹き出している花びらは、時々洞窟の壁を破壊していた。
「「いけっ!!!」」
2人が同時に攻撃を始める。
魔力と気。2つの相反する力の拮抗。その余波で洞窟は完全に崩れ始めた。
火と風の最上級魔法と花びらに擬態した火と氷の剣気。この2つの力はほぼ互角だった。ここからの勝負の分かれ目は、使用者の基本能力と思いの強さだ。
少しずつ、マイヤが押され始めた。今までの戦闘でのダメージが影響しているらしく、残りの体力に差が出てきているようだ。
「さようなら、マイヤさん。今日の戦いは楽しかったですよ」
その言葉に対してマイヤからの返事は無かった。ディルがさらに力を込める。同時に、マイヤの方も力が入った。そして、炎と風と花びらは消滅していった。
こんにちは、闇桜です。
マイヤが持っている刀、属性が付いています。紅龍は火属性、虎蒼は氷属性です。よって奥義で出る技にも属性がついた、ということです。
そのうち(今のところの)登場人物紹介みたいなのを入れようと思っています。これからも、この小説をよろしくお願いします。