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2章 〜侵入〜

30分ほど歩くとその洞窟が見えてきた。歩いている間に、カイはレイナに魔法を教え、レイナは


それを練習しマイヤはほとんど黙っていた。


「……よし、予定通りまとまって行く。先頭は俺、中央にレイナ、最後尾がマイヤだ。何かしら


しくじった瞬間に全てが終わりだと思え」


「わかりました」


「……了解」


まずはカイが飛び出て、見張りを倒す。全員倒れたのを確認してから、レイナ、マイヤの順に飛び出す。


「出だしは上々だな。この洞窟にはいくつかトラップも仕掛けてあるだろうから、気をつけ―――」


カイが言い切る前に、ガコッ、という何かが押されたような音がした。その方向を見ると、マイヤの足が


あるところが、四角くへこんでいた。


「……言っているそばから踏んだな。マイヤ」


「……すいません」


洞窟の奥から何かが転がってくる音がした。音が凄い勢いで近づいてくる。それは、大きな丸い岩だった。


「火よ、彼の者を焦がせ、ファイア」


カイが火の初級魔法を使う。しかし、さほど速度が落ちるわけでもなくむしろ熱気をまとって転がってくる。


「氷の魔法を頼む」


「分かりました。ええと……彼の者を氷の力にて凍らせたまえ、アイス」


氷が岩を包む。急激に冷やされた岩は、その温度変化に耐え切れず、脆く崩れ去った。



トラップを回避することに成功はしたが、時間が少しかかった挙句、派手な行動で敵に侵入したことがばれただろう。


「急ぐぞ、多分もう侵入したことが伝わっている」


カイが少し急ぎ足になる。レイナとマイヤはそのカイの後をついていった。




侵入から30分ほどたった。今のところ敵とは遭遇していないが、トラップには引っかかっていた。


マイヤが引っかかったのは最初の物だけで、残りは全てレイナが踏んでいた。横の壁から槍が出てきたり、天井から剣が切先を向けて落ちてきたり


と、面白いくらいにトラップに引っかかるカイ達は敵にとって笑える存在だっただろう。事実、毎度のことトラップから2人を守っているカイは


いつにも増してあきれ顔になっていた。


「……疲れた」


「ご、ごめんなさい」


「レイナちゃんは悪くないから気にしないほうが良いよ。あたしも踏んだし」


そんな会話を繰り返しながらカイ達は奥に進んでいった。この周辺にトラップのような物はなさそうだったので、油断をしてしまった。


突如、カイとレイナが歩いているところに落とし穴が出現した。深さは分からないが少なくとも5m以上はあるだろう。周りが暗いこともあって底が見えなかった。


つかむものがなく、カイとレイナは落ちていく。2人が闇で見えなくなると、床が閉じていった。と、同時に、マイヤは背後に人の気配を感じた。


素早く振り向くと、そこには魔物と大男が1人がいた。エイプ2匹とウルフ5匹、フェザー3匹、中級のウルフが1匹いて、一番奥に大男がいた。


「……嬢ちゃん、どっから来たか知らねえが、諦めたほうが身のためだぜ。嬢ちゃん1人とこいつらじゃ勝負にならないからな」


「やってみなきゃわからないと思うよ」


マイヤは剣を鞘から抜く。そして、敵の中に突っ込む。その速さは、常人を軽く凌駕していた。近くにいたウルフ2匹を同時に切る。


いくら級位が一番下の魔物でも女の子に一撃で倒されるほど弱くは無い。仮にできたとしても、同時斬りは威力が落ちる。しかし、マイヤは両方とも1撃で両断していた。


「なっ!!……そうか、嬢ちゃんは気術使いか」


――――気術。人間が持っている魔力とは別のエネルギーだ。魔力は精神力だが、気は生命エネルギーや気配を使った技といえる。


直接生命エネルギーを使うわけではないので使い切ったら死ぬということは無いが、間違いなく意識を保つことはできないだろう。


先程マイヤが使ったのはスピードを上げる術、俊敏の術と筋力を上げる術、剛力の術を使ったから2匹を同時に一撃で倒すことができた。


「なるほど、こりゃ油断ができないわな。魔物ども、遠慮なしでやっちまえ!」


魔物たちが一斉にマイヤに向かってくる。マイヤは最初に近づいてきたエイプを斬る。斬った直後の小さな隙をつかれてもう1匹のエイプに投げ飛ばされた。


身体を壁に強打してしまう。そこを更に2匹のフェザーが自分の羽根を飛ばしてきた。


マイヤは体制を整えながら剣に気を集中させる。


「仙風斬」


そう呟き、剣を一振りする。すると、マイヤの前方に強風が発生した。その強風により、尖った羽根が勢いを失い、やがて風に乗って再び逆方向に飛び始める。その羽根はフェザー2匹に直撃する。


2匹は少しもがくような動作をしてから、落下した。動く様子が無かったので、倒せたようだ。しかし、全て跳ね返せなかったらしく、マイヤの身体にも傷がいくつかついていた。


「剣気技も使えるのか。たいしたもんだ。しかし、それはどこで学んだ?そんな型、見たことが無いぞ」


――剣気技とは、気の力を絞り込んで刃物のように鋭くする技だ。この技は色々と流派がある。基本的なことは同じだが、型が少しずつ違うのだ。


ちなみにマイヤはカイから習ったので、流派など知らなかった。


「教えるわけが無いじゃん。少し考えたら?石頭さん」


「い、石頭だと!!調子に乗ってんじゃねえ!やっちまえ!」


マイヤは再び俊敏の術と剛力の術を使い、高く跳ぶ。この2つの術を同時に使うことによって、通常より高く跳ぶことが可能になる。


天井近くを飛んでいるフェザーに近づき、斬る。フェザーは地面に叩きつけられると、何も反応しなくなった。その状態から、隠し持っていたナイフを8本投げる。


そのうち4本がウルフ3匹とエイプ1匹の頭に当たり、動かなくなる。最後に落下しながら中級のウルフを切り捨てる。これで残りは大男だけだ。


しかし、マイヤは先程の戦闘で少し息があがっていた。


「てめえ、よくも俺の手下を!覚悟しやがれ!」


男は完全に怒っていた。背中にあった2m近い大剣を片手で持って、マイヤに向かって突っ込んできた。


マイヤは少し疲れている身体を動かし、攻撃を受け流す。そして、素早く背後に回って男に刀をおろす。


しかし、男を斬れなかった。まったく斬れることなく刀は男の肩のところで止まっていた。


「硬ッ。……あんたも気術使いか。今の術は剛鉄の術でしょ。じゃなきゃこの硬さは説明できないもん」


「当たりだ。さあ、この強固な身体をどうやって攻略する?ただの剛力の術なんかじゃこの俺を斬ることはできないぜ!」


男がマイヤをつかみ、投げ飛ばす。マイヤは体勢を整えて男のほうを向きなおす。大きな身体では考えられない速さで男が迫ってきた。男の攻撃を正面から受け止める。


「……ほう。受け止めたか。だが、力の差はだいぶ大きいようだぜ?」


少しずつではあるが、マイヤが押されていた。


「単純に力だけだったら確かに負けてたね。でも、そうは甘くないよ」


マイヤは刀を少しずらし、男の剣を横に流す。その隙を突いて、思い切り相手の頭を殴る。


普通ならなんとも無いような一撃だが、剛力の術を使っているので男はで気を失ってしまった。


「あたしに勝てないんじゃ絶対にカイ兄には勝てないよ。でも、結構楽しかったな。レイナちゃんは無事かな〜?」


そんな気楽なことを言いながらも、ここに来てから心の中にはひとつの感情が強くなった。その思いがここまでマイヤを強くした。


今度こそ。マイヤは小さく呟いて、更に奥に進んでいった。

こんにちは、闇桜です。

今回はマイヤ主体で書かせていただきました。カイとの繋がりが何かありますが、そのうち出ると思います。

新たに気術という物が出現しました。これで大体の魔法・術の大まかな設定を出せたと思います。

作者は近々テストがあるので、1週間程休載させて頂きます。勝手なことを言って申し訳ありません。(学生なのでどうか勘弁してください)

では、また来週です!

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