2章 〜夕方〜
日が沈みかけた頃、2人はカイに起こされて目を覚ました。
「敵の場所はここから北東に約3km離れた場所にある洞窟。そこに人の気配が多かったから行ってみたが、当たりだった。」
レイナは驚いていたが、マイヤはとても落ち着いていた。
「意外と近場にあったね。敵の数は?」
「エイプが20匹のウルフ35匹、フェザー18匹で中級のウルフが15匹。人間はざっと見てきたが、
奴を含めて6〜7人程度だ。組織としては小型から中型にかけての割と小さめの組織だが、奴を含めて
人間のほうの数人は普通の戦士や魔道士だと相手にならないくらいの実力を持ってる。そいつらが厄介だな。
それに比べてこっちの勢力は3人。数では圧倒的に不利だな」
「……数では、って言いましたよね、今。いくらなんでも無謀じゃないですか?」
敵の数を聞いて混乱しているレイナをマイヤが落ち着かせる。
「魔物の方は半分くらい片付けてきた。それに、3人で同時に中に入り、奇襲をかければ数は更に
減るはずだ。」
カイは当然のように言う。その様子を、やっぱり、とあきれたような顔をマイヤが見ていた。
「そうなんですか。じゃあ安心ですね……じゃなくて、何やってきたんですか、カイさん?あなたは自分
で寝とけって言っておいて自分は寝てないんですか!それ以前に、半分ってあなた何者ですか!!」
「俺はカイ。ただの旅人だ。さっきは敵の偵察をかねてある程度の敵の戦力を剥いできた。ちなみに俺は
5日は徹夜で過ごすことができるから、今は睡眠はいらない。これから行う奇襲について他に何か質問はあるか?」
「カイ兄、多分無いと思うよ。レイナちゃん、とりあえず落ち着こうね。カイ兄は人間から逸脱している
って言われてもおかしくないくらい頑丈だから、そのくらい当たり前だから」
カイは、いくつかマイヤが失礼なことを言ったが、まんざら外れてはいないので無視することにした。
「……おいて行くぞ」
その一言に気付き、レイナとマイヤが慌ててついてくる。マイヤはともかく、レイナは危ないので本気で
おいていこうかと思ったが、おいていったら勝手に飛び出して迷子になるだけだと思い、連れて行くこと
にした。少々不安をもってもいいはずだが、もともとそういう思考をほとんど持っていないのでカイはその
場の状況で考えよう、と思っていた。
こんにちは、闇桜です。
感想書いてくださった方、ありがとうございます。これからも何かし指摘等がありましたら、よろしくお願いします。