しりぬぐい
夕方のゲートに立っていると、ソバージュのポニーテールにミニスカートの女の子が声をかけてきた。
「今日、結城さんいますか?」
洋子ちゃんだ。かわいい。結城さんがうらやましい。
「今日は休みです」
「次のバイトは?」
嫌な予感がした。
僕が答えると、洋子ちゃんは黙って駅の方へ歩いていった。
沼田さんが言う。
「今日、結城さん、圭子ちゃんとドライブって言ってたよ。あいつ昔から彼女多くて“綱島のプリンス”って呼ばれてたんだよ」
ますます嫌な予感しかしなかった。
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翌日、結城さんに伝えると、珍しく眉をひそめた。
「何度か電話あったみたいだけど、返してなくてさ。ちょっと会いたくねーんだよ。束縛きついし」
そこへ住吉さん。
「バイト辞めたことにしてくれ? ふざけんな。自分でケリつけろ」
結城さんは渋い顔をした。
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夕方、洋子ちゃんが来た。
「彼、私のこと避けてるでしょ?」
なぜ僕が責められなきゃいけないのか。
しかもその後ろを直子さんが通り過ぎた。
——最悪だ。
洋子ちゃんは「結城くん来るまで待つ」と言い張り、歩道で1時間以上立ち続けた。
夜、僕は直子さんに電話したが、誰も出なかった。
無視されているのかもしれない。
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数日後、ついに結城さんがゲートで洋子ちゃんと対面した。
次の瞬間、洋子ちゃんのバッグが結城さんの顔を叩いた。
バシッ、バシッ。
「俺、彼氏じゃないって言ったら、はたかれた。でもスッキリしたよ。これで圭子ちゃんと真面目に付き合う気になった」
結城さんはケロッとしていた。
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僕は直子さんに連絡しなかった。
ゲートで見かけても、向こうは僕を無視していた。
久美がいる。
無理に誤解を解く必要もないと思った。
あの頃の僕たちは、ただ夢中だった。
騙すつもりなんてなかった。
触れられることが、ただ嬉しかった。
そう思いながら、万博最終日の10月1日を迎えた。
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