第12話 勝ったままにする方法
奪ったあとの時間は、
思っていたより静かだった。
胸が高鳴るとか、
手が震えるとか、
そういうのはなかった。
ただ、
落ち着いていた。
叔父さんと別れてから、
わたしは席に戻った。
何もなかった顔で。
いつも通りの顔で。
誰も、
何も聞いてこない。
それが、
答えだった。
月乃は、
まだ人に囲まれている。
笑って、
話して、
動き続けている。
忙しい人。
――花嫁だから。
でも、
わたしは知っている。
一番疲れたときに、
一緒にいたのはわたしだ。
それだけで、
胸の奥が少し満たされた。
席に座りながら、
さっきのことを
何度も思い出す。
並んで歩いたこと。
外の空気。
叔父さんの声。
どれも、
月乃はいなかった。
わたしは、
自分に言い聞かせる。
これは、
たまたまじゃない。
偶然でもない。
わたしが選ばれた。
そう思わないと、
おかしくなる気がした。
だって、
あの時間は確かにあった。
わたしは、
そこにいた。
月乃が、
こちらを一度だけ見た。
遠くから。
何も言わない。
表情も変えない。
その視線を、
わたしはこう受け取った。
気づいたんだ。
遅かったんだ。
そう思った瞬間、
心が固まった。
勝った。
もう、
戻らない。
わたしは、
考え始めた。
次はどうする?
式は終わる。
人は帰る。
でも――
このあとも、
時間は続く。
疲れたとき。
人が多いとき。
月乃が呼ばれているとき。
その全部が、
チャンスになる。
奪ったあとに大事なのは、
隠すことじゃない。
当たり前にすること。
叔父さんが、
わたしのそばにいる。
それが、
特別じゃなくなるまで。
そのとき、
月乃が戻ってきても、
もう、
位置は変わらない。
八歳のわたしは、
この日、はっきり決めた。
勝ちは、
一回じゃ足りない。
続けないと、
負けになる。
だから、
次は――
偶然を増やす。
理由を作る。
時間を、繋げる。
わたしは、
静かに息を吸った。
白い会場で、
誰にも気づかれないまま。
次の段階へ、
進む準備をしてい




