だから、願った。
それから、およそ2週間後――俺は、ダメ元で尋ねてみた。こちらで、社員は募集していないかと。もう内定していた就職先はあったので、頗る申し訳ない気持ちはありましたが……それでも、ここで――あの少女と共に働きたいと思ったから。
尤も、スタッフ募集の張り紙にはアルバイト・パートに対する記載しかなかったので、社員が駄目ならアルバイトでも喜んで受け入れるつもりだった。……まあ、折角決まっていた内定――それも、手前味噌ながら誰もが知る大手起業の正社員としての内定が決まっていたのになんて馬鹿なことをしたんだと、きっと周りからは呆れられるでしょうけど。
果たして、記載のなかったように差し当たり社員としての希望は募っていなかったとのこと。それでも、何故か副店主――正社員として採用してもらえて……うん、ほんとラッキーっす。あと、驚いたのが……店主だったんすね、あの子。高校生くらいに見えたし、歳としては実際そこに当たるらしいんですけど……正直、その年齢でトップの立場を務めているとは思いも寄らなくて……まあ、偏見だとは自分でも分かっていますが。
ともあれ、めでたく『TAKATSUKI』に就職――上司たる店主、高月海織先輩の下で働く日々の中で、日を追うごとにぐっと彼女に惹かれていく自分がいて。コミュニケーションは少し不器用ながら、仕事に一心に取り組むその姿や、時折見せるちょっと天然なところとか、本当に……本当に、時折見せる仄かながら笑った顔とか――とにかく、彼女の魅力を感じない日なんて一日としてなくて。
だから、願った。頑張った。これからも、ここで働けるように――せめて、仕事上の仲間として少しでも彼女の力に、支えになれるように。
そして、今後も――まだまだ未熟ながら、今後もずっと精進していくつもりっす。それが、こんな俺にも許されるかもしれない境界線――これ以上、踏み込むことは当然ながら許されない。だって、俺には誰かを愛する資格なんてないんですから。




