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古民家カフェで紡ぐ恋〜歳上部下は犬系男子?〜  作者: 暦海


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既視感?

「――こんにちは、高月(たかつき)さん。改めてですが、岡島(おかじま)頼斗(らいと)と申します。今日はこうしてお会いしてくださり、本当にありがとうございます」

「……いえ、岡島さん。こちらこそ、お会いしてくださりありがとうございます」



 それから、数日経た15時頃。

 地元の大きな市営公園――その中央辺りに位置する噴水の前にて、丁寧に挨拶をしてくれる端正な男性。岡島頼斗さん――歳は27歳で、誰もが知るあの大手家電メーカーにてシステムエンジニアを務めているとのこと。そして、私に関心を寄せてくれているらしい物好きな……いや、随分と失礼な言い分だとは思うけども。


 さて、そんなハイスペックで少し不思議な彼と何用でこうして会っているのかというと……まあ、言わずもがなかもしれないけど、いわゆるデートの約束をしていたからで。



「――ところで、高月さんは休日はどのように過ごしているのですか?」

「……そう、ですね。例えば、読書とか……乗馬とか」

「へぇ、乗馬ですか! 気品の溢れる高月さんにピッタリだと思います!」

「……え、ええ、ありがとうございます……」


 その後、目的地へと向かいつつそんなやり取りを交わす私達。……うん、なんで無駄に見栄張っちゃったんだろう。乗馬なんてやったこともないのに。でも、読書は別に嘘ではなく……まあ、主に漫画だけども。


 ともあれ、歩くこと十数分――到着したのは、地元の比較的大きな映画館。数日前、どこに行きたいか尋ねられた際、それでは映画はどうかと尋ね返したところ快諾をいただいたわけで。……まあ、実際のところ映画が良かったのかと問われれば別段そうでもなかったのだけれど……まあ、無難かなと。少なくともカラオケとキャンプ、それからバッティングセンターは避けたいなと思っていたし。



「――ところで、高月さんは普段、映画などご覧になりますか?」

「……え、ええ、そうですね。まあ、時々ですけど」

「そうなんですね。僕も、時々観に来ます。やはり、普段も大人の恋愛モノをよくご覧に?」

「……ええ、まあ」


 その後、そんなやり取りを交わしつつ受け付けへと歩いていく。……うん、確かに時々は行く。時々というほど多くはないかもしれないけど、それでも行かないわけではない。なので、ここに関しては嘘ではないのだけれど……うん、ほぼアニメなんだよね。なのに、どんな映画が良いか尋ねられた際、何故か大人の恋愛モノが見たいなどと……うん、なんで無駄に見栄張っちゃったんだろ。そもそも、なによ大人の恋愛モノって。恋愛に大人も子どももないでしょうに。


 ともあれ、ポップコーンをドリンクを手に劇場(シアター)へと足を踏み入れる。そして、私達の席――中央の少し前、その列の左の方が席へと足を進める。うん、なかなかに良いポジションね。



「――楽しみですね、高月さん」

「……ええ、そうですね」


 その後、小声でやり取りを交わしつつ席にて上映を待つ。さて、タイトルは『歳上部下は猫系男子?』とのことだけど……どうしてだろう、全く知らないはずなのにどこか既視感を覚えるのは。ただ、一つ言えそうなのはどうせ至極つまらない話だろうということか。そういうわけで、うっかり眠ってしまわないようにだけ気をつけなければ。



 それから、ややあって上映開始。ざっくりあらすじを説明すると、会社の女性上司と男性部下がなんやかんや色々あって恋人に発展するという物語のようで。……うん、ざっくりにも程があるね。


 ただ、それにしても……なんだろう、どうにもこのヒロインが好きになれない。こう、何と言うか……顔は頗る可愛いのだけど、このツンツンした無愛想な感じがどうも好感が持てず……うん、なんでだろうね? 


 そして、そんな彼女の相手役であろう男性部下についてだけれど……なんだろう、どこか似ている気がしなくもない。私の良く知る、あの人懐っこく可愛い男性と。尤も、タイトル通り相手役の彼は猫のように気ままな性格のようなので、そこはあまり似ていないかもだけど。


 ともあれ、思いの外スクリーンを凝視している私。いや、物語は果たして普通につまらない。つまらないの、だけども……それでも、どうしてかあの2人――女性は高松(たかまつ)、男性は戸山(とやま)というみたいだけど――この作品のメインたるある2人の結末だけは気になっていて。今のところ順調そうだし、そのまま愛を育ん――


 すると、何やら不穏な気配が。まあ、不穏と言ってもベタな展開ではあるのだけど、何やら戸山に近づく見目麗しき女が……おい、デレデレするんじゃない戸山。貴方は高松一筋のはずでしょう。あっ、こらそんな優しい笑顔を見せるんじゃない! そんなんだから貴方の周りにはいつも――



(……あの、高月さん。上映中に話し掛けるのもどうかとは思いましたが……その、大丈夫ですか?)

(…………へっ?)

(……その、お持ちになっているポップコーンが……)

(…………あ)


 すると、ふと控えめに――本当に控えめに声を潜め尋ねる岡島さん。見ると、私の右手から粉々になったポップコーンがポロポロと……しまった、つい力が。






 

 

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