特別レッスン?
「……こ、こんな感じかしら?」
「はい、良いと思います先輩!」
それから、10分ほど経て。
再びゲージへと入り、外で見ている戸波くんへと確認を取る。フォームがきちんと出来ているか、彼に見てもらっていたわけで。
ちなみに、挑戦するのは再び100キロ。彼からは最初はもう少しスピードを抑えた方が良いのではと助言を受けたものの、そこは断固として拒否した。ここでスピードを落とすことは、こう、何と言うか……そう、店主としての私のプライドが許さないので。
まあ、それはともあれ……よし、今後こそは見事あの的に……そして、やっぱりすごいと褒めてもらうんだから!
「…………なんで」
それから、ほどなくして。
そう、ポツリと洩らす。……うん、全然打てない。と言うか、バットに当たらない。こんなにセンスなかったの? 私。確か、中学まではわりとスポーツも出来た方だったはずなのに……やっぱり、高校に行ってないから感覚が鈍って――
「――すみません、ちょっと良いっすか先輩」
「……へっ?」
すると、ふと鼓膜を揺らす柔らかな声。すると、声音に違わぬ柔らかな微笑の戸波くんが徐にゲージへと入ってきて――
「――すみません、ちょっと失礼しますね」
「…………ふぇっ!?」
思わず、素っ頓狂な声が上がる。と言うのも、不意に彼の綺麗な手が私の肩に……へっ、あの――
「……うん、こんな感じで良いっすかね。一度、この感覚で振ってみてもらえませんか?」
「…………あっ」
すると、パッと手を離しそう口にする戸波くん。未だ困惑しつつも、そっと頷きバットを振ると――
「…………あっ」
「おお、すっごく良い感じ! いきなりは難しいかもですけど、次からこの感覚で打ってみてほしいっす!」
そう、ニコッと微笑み告げる戸波くん。……うん、なんか楽に――そして、さっきよりちゃんと振れてる感じが自分でも……うん、これならいけるかも。これなら、次こそは――
……ただ、それはそれとして――
「……あの、戸波くん」
「はい、どうしましたか?」
頑張ってくださいね――そう、笑顔で告げゲージを出ようとする戸波くんをふと呼び止める私。そして、少し目を逸らしたどたどしく言葉を紡ぐ。
「……その……念のため、もう一度教えてもらえないかしら……その、さっきみたいに」




