自然の中のランチタイム
「……さて、この辺でいいっすかね。先輩はどう思います?」
「ええ、そうね。もちろん、私もここが良いと思っていたわ。それこそ、来る前から思っていたわ」
「そ、そうっすか。それは良かったっす」
それから、十数分経て。
軽く辺りを見渡した後そう問い掛ける戸波くんに、力強く頷き答える私。うん、これで十分にキャンプ通をアピールできたはず。ええ、誰が見ても本物のキャンプ通よね。
ともあれ、今いるのは透明な川の畔。柔らかな光を受け仄かに輝く綺麗な水の傍にて、少し遅めの昼食を取ろうという話になったわけで。
「…………美味しい」
「ですよね! いやーやっぱ自然の中で食べるといっそう美味いっす」
それから、しばらくして。
そう、感嘆を洩らす。そんな私の言葉に、満面の笑顔で同意を示す戸波くん。メニューはキャンプの定番とも言えるバーベキュー。言ってみれば、野菜や肉、魚などを網で焼いているだけなのだけど……これが、めっちゃ美味しい。彼の言うように、やはり普段とは違い豊かな自然に囲まれているのが大きな理由なのだろう。……でも、それ以上にきっと――
「ほら、どんどん食べてくださいね先輩!」
「……ええ、貴方もね」
そっと視線を移すと、ニパッと太陽のような笑顔で告げる戸波くん。そんな彼を直視できず、さっと目を逸らしポツリと呟いた。
「いやーほんと美味かったっすね! つい食べ過ぎちゃいました」
「ええ、私も食べ過ぎてしまったわ。なので、調整のため明日から1週間216時間の断食を――」
「いやお願いなんで止めてください。めっちゃ心配になるんで。そもそも、そこまでは食べてないでしょう」
それから、数十分経て。
充実した食事を終え、ほのぼのとそんなやり取りを交わす私達。うん、改めてだけど本当に美味しかった。流石に1週間は言い過ぎたけど、明日はそれなりに抑えなければ――
「ところで、この後ですけど先輩はなにかしたいことあります? あっ、もちろんゆっくり休んでからでいいっすけど」
すると、思考の最中そう問い掛ける戸波くん。……したいこと、か。うん、それならやはり――
「……そうね、だったら……鬼ごっこ、なんてどうかしら?」




