第9話 トーキョーベイダンジョンは深層領域のようです
現在5階層のようだ。
沢山の経験と危険な領域を攻略してきたが、なかなかに骨が折れるだろう。
6階層のスケルトンナイトキングが出現した。
ひとりが水魔力変換の準備をする。
ホノカがゴブノ助と太郎を召喚する。
「わんわん」「ゴブゴブ」
太郎が噛みつき攻撃をする。
ゴブノ助がこん棒を振りかざす。
「効かねえ!」
太郎とゴブノ助の渾身の一撃は、スケルトンナイトキングが構える巨大な黒い大剣によって容易に受け止められた。その全身を覆う漆黒のプレートアーマーには、傷一つ入らない。
「私の水球も!」ひとりが圧縮した水弾を放つが、硬い装甲に弾かれ、水滴となって霧散する。
「マサタカ、いくにゃ! ヒールを温存するから、一気に削って!」ホノカが焦燥した声を上げる。
「わかってる!」
俺は一歩踏み込み、スキルを発動した。
【轟弾】!
強烈な閃光が王の肩を捉え、装甲をわずかにひび割れさせた。しかし、その程度の損傷で動きは止まらない。俺のHPは瞬時に黄色信号に変わった。
「くそっ、この硬さ、ニッポンバシのボスとは格が違う!」
俺がポーションを飲む暇を与えないとばかりに、ナイトキングは大剣を頭上高くに掲げた。
「あの攻撃、食らったら終わる!」
「ひとりは避けろ! ホノカ、ヒールは俺に!」
ホノカが緊急でヒールをかけるが、焼け石に水だ。俺は限界ギリギリまでHPを削り、再び【轟弾】を集中させる。
【轟弾】!【轟弾】!
三発を立て続けに撃ち込み、俺のHPは一桁台にまで落ち込んだ。命綱はホノカの次のヒールだけ。
「マサタカ、今よ! ヒール!」
その瞬間、ナイトキングが大きく咆哮した。
「グオオオオオオオオ!!」
それはスキル【王の威圧】だ。ホノカとひとりの動きが止まり、ホノカのヒールが中断される。
「ちくしょう! スキル連携を止められた!」
大剣が振り下ろされる。俺は残された最後の選択肢、【カウンター】に全てを賭ける。しかし、その前に……。
【魔眼】!
極限まで集中し、ナイトキングの動き、装甲のわずかなひび割れ、そして魔力の流れを一瞬で解析する。見えた。大剣が振り下ろされる、コンマ数秒の間だけ露呈する、肋骨のわずかな隙間!
だが、そこを狙うには、もう一発の【轟弾】が必要だ。HPを消費すれば、ヒールの前に死ぬ。
それでも、俺の心は迷わなかった。
「最強しか目指さない!」
命を削る覚悟で、最後の魔力をかき集め、第四発目の【轟弾】を放つ。
閃光は、ナイトキングの鎧の隙間を貫通し、内部の「核」を破壊した。
【スケルトンナイトキング】を討伐しました。
俺はその場に崩れ落ちた。ホノカのヒールが間に合い、意識を保つ。
「死ぬかと思ったにゃあ……」
「マサタカさん、本当に無茶しないでください!」ひとりが泣きそうだ。
俺は荒い息を整えながら、ナイトキングの亡骸を見つめる。
そして、その骨の王が倒れていた場所から、鮮烈な光を放つ羊皮紙が浮かび上がっていた。
「あれは……!」
ホノカがすぐに回収し、興奮した声で叫んだ。
「マサタカ、見て! 【錬金術】のスキルスクロールよ!」
俺は全身の痛みを忘れて立ち上がった。
───トーキョーベイダンジョンで血を吐き、命を削ってまで渇望した、4つ目のスキルだ。
「これさえあれば……もう、ポーションに悩まされることもない。最強しか目指さない、その道筋が、また一つ開いた」
俺はスクロールを握りしめ、次の目標である「スキルマスターまであと6つ」という壁を見据えた。




