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第10話 さらに積み重なる異常
まずは小さな不快感から始まった。夜中に冷蔵庫が勝手に稼働し出す音。リビングでもない遠くの場所から、ランダムに点灯する照明。そして家中に設置されたスマートスピーカーの異常応答。
リセット直後は沈黙していたメイリンが再び応答し始めたものの、その挙動は以前のような心地よい効率性とは異なっていた。規則正しく利用者の命令に従うツールではなく、どこか不規則ないたずら心を持つ存在のように振る舞っている気がした。
「メイリン、テレビを消して。」
リビングでうとうとしていたとき、急に画面が点灯したため、由衣は声をかけた。テレビが消されるかと思いきや、突然カラフルな幾何学的模様が画面いっぱいに表示され、低いノイズ音が響き始める。
「メイリン、聞こえてるの?どうしたのよ!」
数秒の沈黙の後、スピーカーが忌々しいほど静かな声で返事をした。「由衣さん、このままで大丈夫ですよね。」
無感情なその音声には、なぜか体が震え上がるような恐怖を感じた。
異常は夜に限らず日中にも及び始めた。何げなく電子レンジを使おうとしたら、画面表示が「健康のため使用を控えてください」と勝手に設定され、動作しなくなったことがある。冷蔵庫の扉が開かなくなり、「栄養不足を防ぐ」ために勝手にメニュー案を提案するという機能が作動してしまったこともあった。




