第74話【その頃元女奴隷の皆さんは(その1)——修羅場編】
(ラムネさんや元女奴隷の皆さんといっしょに〝テーブル造り〟をやっていれば、ラムネさんともより親睦が深まり、元女奴隷の皆さんの顔と名前も一致したというのに……)
無双転生者、ロクロ・ロクヘータが『等族学校』でそんなことを思っていたその頃、フォーエンツオラン家の美術品収納庫では彼の買った女奴隷たちが真っ二つに割れていた。
その原因は『テーブル造り』。これを〝造ってみよう〟と、肯定的に考える者たちと、〝なんでわたしたちがこんなことを〟と否定的に考える者たちが激しく火花を散らすように対立していた。
一人の美少女女奴隷が〝なんでわたしたちがこんなことを〟と不満タラタラ愚痴をこぼし合ってる一グループに食ってかかった。
「バカみたい。わたしたちにテーブルを造らないなんてこと、そもそもできるわけない」これを言ったのはルディア。
「ばかに〝ご主人様〟に尻尾を振るじゃない、ルディア」これを言ったのはネイティア。
『わたしはわたしの人生をあなたに買ってもらったんです。あなたはわたしの人生に責任がある。買っておいていきなり放逐なんてあり得ない!』
このセリフを『ご主人様 ロクロ・ロクヘータ』に言い放った女奴隷であった。いまや否定的グループのリーダー的存在となっている。
「わたしたちは女奴隷。ご主人さまに尻尾を振るのが〝すべきこと〟でしょ。誰が言ったか分からないようにご主人さまに反抗するヒトよりよほどわたしの方がまともだわ」負けじとそうルディアが言い返す。〝売り言葉に買い言葉〟とは正にこの状況。
「はぁ? 『女奴隷』がマトモ? 世の中の誰がそんなこと思ってるのよ⁉」
「誰が思うかなんて関係無い。わたしたちがわたしたちを否定してどうするの」
「あ〜ぁ、やだやだ。ルディア、あんたさっきラムネとご主人様といっしょに戻ってきたよね。ちょっと優しいことばをかけられたらもうメロメロ」
「なんですって?」
「なに上品ぶってるわけ? 素はもっと汚いことばのはずなのに。そのアザな顔のようにね」
くっ! ルディアはネイティアを睨むが、ここで汚いことばで罵倒でもしたら、まんまと相手の術中に嵌まることだけは瞬時に分かった。だからなにも言い返せなくなっている。そこにつけ込んでいくネイティア。
「そんな顔なのにご主人様に買われたのはわたしたちのおかげじゃない。もうちょっと感謝を顔と態度で示したら?」
「ラムネ、」とルディアがラムネの方を見る。「言ってやりなよ! 誰のおかげかって!」
「え、え〜」と強引に話しを振られ困惑するばかりのラムネ。しかしこれでもかと痛いほどにラムネに突き刺さっているルディアの視線。ラムネの口が開き始める。
「ろ、ロクヘータさんが……」まで言ったところで、しかし〝言うこと〟が変わってしまう。「——エリタスお嬢さまといっしょに学校へ行くからって、わたしたちがイライラをぶつけ合ってもしょうがないよ」
「それはあなたでしょ? わたしはそこまで行ってない!」とネイティア。これにルディアまでが別の意味で続いた。
「違うでしょ! ラムネ!」思わずルディアの方を見てしまうラムネ。
悔しさ、つらさ、怒り、ありとあらゆる負の感情をその目の色に感じ取ったラムネは気圧されるようにこう口にした。
「ネイティア、そんなキツいことばかり言ってると、誰かが〝告げ口〟するかもしれないからやめた方がいいよ」
〝はぁ〟とルディアのため息。ネイティアの方はそのラムネを睨みつける。
「告げ口できるのは一番ご主人様といっしょにいるヒトよね? つまりラムネ、あんたが一番やりかねないんだけど!」
「この争いにはなんの意味もないわ」
ルディア、ネイティア、ラムネ、この三者の〝口論〟の中に新たに参入する者が現れた。それはミストラル——
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