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第49話【事実上初対面】

「ロクヘータさん、頭の中に風に吹かれたレースのカーテンを思い浮かべてください。それが目の前にかかっていて、カーテン越しに薪を見るような感覚で撃つんです」

 ルゥンさんから相変わらずよく解らないアドバイスを受け続けている。午前中からずうっと同じ事を言っているが〝他の例え〟は無いんだろうか?


 ひたすらに求められていることとはこうだ。


 ルゥンさんが僕に向かって投擲してくる薪を、粉砕せず薪の形そのままに地面にはたき落とせ、と。


 しかし、たったいまも薪が一本丸ごと木くずとなってしまった。そしてお説教を食らう。


「いいですか、ロクヘータさん。護衛って〝防御〟ですよね? 〝攻撃して無双〟だけでは護衛の役は勤まりません」


 僕に向かって飛んでくる薪は簡単に木くずにできる。攻撃者には容赦はしない。それが無双転生者だ! だがそこに、『容赦を加えられるようになれ』、とルゥンさんは言う。

 そういうの無双転生者には不向きなんじゃあ……、と愚痴のひとつもこぼしたくなるが、やっぱりそこは〝雇われの身〟なんだよなぁ——。


「もっかい一から説明してあげたら? 元々解らなさそうなカンジだし」

 エリタスサマが横から口出しをしてきた。まんざらそれは当たってもいなくもないので、なんか微妙に腹が立つ。感覚的に言われてもその感覚、どうやって再現すればいいのか解らない。が、しかし、

「分かりました」とエリタスサマに応えるルゥンさん。

 分かっちゃうのかい⁉

 ルゥンさんはこっちの方を向いた。

「——ロクヘータさんの得意技は遠隔攻撃です。遠隔攻撃とは〝破壊力〟を一つの塊にまとめて相手めがけてぶっ放す行為です」


 〝ぶっぱなす〟って言葉づかい、なんか少し地が出てない?


「—— 一つの塊にしてしまった〝破壊力〟を細かく分散させ指向性も一点に集約するのではなく、〝或る程度〟くらいにとどめておいてばらばらにする。この時〝破壊力〟を一気に放出するのでなく、小出しにし続ける、そういう意識を持ってください。そうすることで防御効果の時間を延ばすことができる。こういうことです」


 えーと、ぜんぜんよく解らない。相変わらず〝ことば〟じゃ理解できない。実技・実践あるのみなのか。


「あのぉ、薪がどんどん無くなっていって、後で〝困る〟とかないですよね?」


「だいじょうぶに決まってるじゃない。ウチをなんだと思ってるのよ」と再度脇からエリタスサマ。

 どう考えてもエリタスサマ、〝薪の管理〟などやっていそうもないが。

 その時だった。彼方から〝あの声〟。

「ロクヘータさぁん!」

 声の方向に首を振ればやっぱりだ。

「ラムネさんっ!」


「ラムネ?」とエリタスサマの声。


 なにかよからぬことがと稲妻のような直感が奔る。そうだ、ラムネさんとエリタスサマが〝一対一〟で直接顔を合わせるのはなにげにこれが初めてじゃあ。


 もうルゥンさんがラムネさんの方へダッと駆けて行っている。(行かないと!)と、すぐさま判断慌てて後を追う。直後には「待ちなさいっ」との声とともにエリタスサマまでラムネさんの方へ。あっという間に四人が一箇所に。


「エリタスお嬢様、」と、まずルゥンさんの明らかに苦言調の声。

「いーじゃないべつに」とエリタスサマ。間髪入れず「あなたがラムネ?」とラムネさんに問い質す。

「はい、ラムネです。お嬢さま、わたしたちを助けていただきありがとうございます」そう言ってスカートの端を持ち上げ僅かに前かがみに。


「最初にルゥンが種明かししてしまったのが残念だけど、わたしが誰だか知らなかったらどんな態度だったかしらね」とエリタスサマ。ルゥンさんが顔を曇らせ一歩後ろへ下がった。


 きっとルゥンさんの言いたかったことは、〔エリタスサマは女奴隷などと口をきくなど許されない身である〕とか、そんなところなんだろう。


「いえ、この家のお嬢さまであることはすぐに分かります。お召し物が違いますから」とラムネさん。


「あら、服を誉められちゃった。でもその服を着ている中身はどうなのかしら?」


「もちろんお嬢さまはお美しい方です」


「そう、ありがと。そういうあなたも顔だけはなかなかのものね、そこは〝さすが女奴隷〟といったところかしら」


「ありがとうございますお嬢さま、過分なお褒めにあずかりたいへんに光栄です」そう言ってラムネさんはさらに前かがみに。


「女奴隷にしてはソツがないわね」


「申し訳ありませんお嬢さま。お気に障るようなことをしてしまったみたいで」


「べつに。ところでさっきから『お嬢様』『お嬢様』言っているけれど、隣の幽霊屋敷の住人も貴族で一応お嬢様よね? あなたの言い方ではどこの家のお嬢様でも変わらないみたい」


 エリゼさんのこと、やけに意識してるな。


「わたしのような者がお名前をお呼びするなど」とラムネさんはさらにさらに前かがみに。この短いスカート丈、もう後ろから見たらぱんつが少し見えてしまいそう。

「そうです、エリタスお嬢様、ここへ来た要件だけを聞いたら即刻帰すべきです」とルゥンさんが割って入ってくる。

 しかしエリタスサマ、鋭い視線をルゥンさんに向ける。

「そうね、ルゥンの言った通り」

 それを聞きルゥンさんはほっとしたような表情に。だが違っていた。

「わたしのことは『エリタスお嬢様』と呼びなさい」とエリタスサマ。たちまちのうちに表情が硬直していくルゥンさん。

「分かりましたエリタスお嬢さま」とラムネさん。

「もうそれ以上頭を下げたら下の方が危ないことになりそうね。顔をあげていいわ」とエリタスサマ。口だけで微笑んでいるなんとも言えない表情をしている。それにたじろぐラムネさん。


 しかしこの微妙なニュアンスの違いはなんだ? 僕には『エリタスサマ』と呼べと言い、ラムネさんには『エリタスお嬢様』と呼べという。この違いは。


「ところでここには何の〝用〟かしら?」とエリタスサマ。

「お昼になっても昼食を食べに戻られないものですから」そうラムネさんが答える。

「昼食ならもうこの三人で食べちゃったから。あなたたちはあなたたちで勝手に採っておけばいいのよ」


 あれ、このラムネさんとエリタスサマの空気はどうしたこと?

 続きは『カクヨム』で連載中です。

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