第48話【デジャヴな昼食】
こんなこと、あったよな……
いま、僕らはよく晴れた青空の下、野原に(広大な庭だけど)敷物敷いて用意されたバスケットから昼食のサンドイッチをとり食べている。エリタスサマを真ん中にその両隣にこの僕とルゥンさん。この様はあたかもピクニックのようであるが、まったく個人的にとてもそうした気分になれない。
〝成果〟がまるで出そうもないからだ。
『頭の中に風に吹かれたレースのカーテンを思い浮かべてください。それが目の前にかかっていて、カーテン越しに薪を見るような感覚で撃つんです』というルゥンさんの指導の意味が解らない。
〝そういうイメージで〟というイメトレなのは解る。しかしまるで具体的なイメージがつかめない。
しかし、隣のエリタスサマは妙にご機嫌だ。おいしそうにサンドイッチを食べているその横顔を見ていたら視線で感づかれたのかこちらに顔を向けた。必然目と目が合う。
「いえ、特に他意はありません」と反射的に口から出た。
『なに見てるの⁉』とドギツイ詰問が来るものと、頭から信じ込んでいた。
「たまには外で食べるのも悪くないよね」と予想外の方へのはぐらかされ感。
「そ、そうですね」とそれにぎこちなく返事する。
それにしてもルゥンさん、午前中に何回薪を投擲したのだろう。一本の重さがわりとあるし、肩痛が来そう。
「あの、ルゥンさん、肩、だいじょうぶですか? 今日はもうこれくらいでも……」
「ロクヘータさんはもう特訓が嫌になったんですか?」とルゥンさん。
「ほうら怒られた」となぜか嬉しそうな声のエリタスサマ。
「べつに特訓が嫌になったわけじゃありません。ただ僕のために身体を壊してしまったらと思うと——」
「ならロクヘータができるようになるだけね」とエリタスサマから。「エリタスお嬢様の言うとおりです」と当のルゥンさんからも。
はぁ……
「食事中くらいもっと楽しそうにしなさいよ、空だってこんなに晴れてるのに」とエリタスサマ。
しないとダメなの?
「なんというか、表情に出ないだけでこれでもリラックスしてますよ」
「隣の庭で食べてた時は〝もっと楽しそうだった〟って話しじゃない?」
エリゼさんとこ? そっから監視してたの?
「あ、いや、こういうところでは『おにぎり』じゃないかなって、」
とっさの思いつきで出たこのことば。エリタスサマは食べかけのサンドイッチを手にしたままその手を腿の上に置いた。
「そう言えば、ずいぶんしばらく『おにぎり』食べてないなぁ……」とエリタスサマ。
そこまで意識して言ったわけじゃない。だけどここが中世ヨーロッパ風の世界なら水稲栽培など土地に不向きでやってないんだろう。
「そろそろ午後の特訓を始めましょうか」と言ってここでルゥンさんが立ち上がる。『おにぎり』がなんであるか一切の説明などしなかったけど、不穏な空気をあるいは感じ取ったのかもしれない。
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