第37話【死んでいる・死んでない論争】
声を出そうとしてけどそれがなかなか声が声にならない。そしてようやく声が声になる。
「前世は…、なにを?」
言った途端にエリタスさまは笑い出した。
あはははは、あはは、あはははははははっ!
「エリタスお嬢様、」とメイド姿のお姉さんがたしなめる。
「悪いわねルゥン」と、さほど悪そうにも感じていない言い方をした後、
「そうかー、外国で日本人同士が会うとこんな感じなんだ」とキタ。
やはり本物の日本人なのか? どうして異世界に転生するのが日本人と決まっているのか? どうしてアメリカ人やインド人は召還されず日本人だけが神隠しに遭ったかのように異世界へと連れて行かれるのか?
いや、そんなことはどうでもいい。問題は目の前の女の子が何者かってことだ。
〝前世〟と僕が言っても一笑に付される……それどころか〝外国〟と。
この現象を旅行程度にしか考えてないってことなのか?
「僕たちは死んだからこの世界に来たんじゃないのか?」そう訊いた。多少語調がキツくなってしまった。
「ちゃんと生きてるじゃない」
「いや、これって『転生』っていう現象だ。つまり生まれ変わりだ。なら元の僕らは死んでいるじゃないか」
「もしかしてトラックにはねられたとか?」
いや、トラックじゃない。鉄道だ。しかし写真撮っててノリ面から転がり落ちただけで列車にはねられただとかは無いはずだ。
「はねられてない」
「ならこれは『転生』じゃなくて『転移』ね」
「でもここで生きていても僕らは元の世界ではいなくなっているだろう? それは死んでいるってことになるんじゃないのか?」
「まあ確かに理屈の上ではね」
「もし、まだ死んでないっていうなら日本人なら解るだろう?」
「なにが言いたいの?」
バカな、はっきり言いたいことを言ったのに、とことん感覚がズレてるのか?
「もし生きてるならここにこのまま居ていいのかってことだよ!」
「申し訳ありませんがロクヘータさん、エリタスお嬢様を相手にする時はもう少し丁寧な言葉遣いをして頂きたく思います」横からメイド姿のお姉さんにたしなめられた。
「少しくらいならいいのよルゥン」と勝ち誇ったような笑みを浮かべるエリタスさま。続けて僕に向かって「思わないわね」とあっさり結論を言ってのけた。
「それは、なぜ?」
「じゃあこっちからも訊くけど、死んでいるのか、死んでないのか、そんなこと考えることになんの意味あるの?」
「……」
「わたしたちはいまこうやって話しをしているって、生きてるってことじゃないの?」
「——それにあなたがいなくなると困る人がいるのかも」
と、優しそうなことを意地の悪そうな顔で言ってのけるエリタスさま。それはすぐに腑に落ちる。元女奴隷の皆さんのことだ。
「ま、黙っちゃうところをみると根っからの悪人でもなさそうね」
「どうして僕が悪人だ?」
「自分の胸に手を当てて聞いてみれば?」となぜか口元が開きニヤリ顔。
背筋に冷たい汗が流れるような感覚。
まさか……、〝森の中の殺人〟のことを知っているのか⁉
「ところでロクヘータ、こんな辛気くさい話しよりさ、他にすべき話しがあるんじゃない?」
なぜ恋人でもない女から呼び捨てに……などと思っていると最悪に訊かれたくない事を訊いてきた。
「じゃあここに来る前は何してたのか、お互い自己紹介しない?」
「……」
嘘つこうか、正直に言おうか……
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