第33話【もう今後の身の振り方のお話し】
ただ今〝絵画用の収納庫〟、悪く言うと『倉庫』の大掃除中。これをやらねばならぬ理由はこの建物をこの自分と二十四人の元女奴隷の皆さんの住居とするためである。
だがしかし案の定な展開となりつつある。元女奴隷の皆さんは二大派閥に分かれてしまった。むろんそれは『積極的掃除派』と『掃除忌避派』である。解りやすいといえば解りやすく両者の勢力は拮抗している。
微妙なのは〝忌避派〟とは言ってもやってないわけではない、というグレーゾーンを行っているということ。ぶつぶつ文句を言いながらも手だけは動かしている。
だがそうした女の子の〝ぶつぶつ〟が侮れず、なんかこう士気をダダ下げてくれる。しかもこちらに同意を求めてくる。
「ご主人さま、ご主人さまが『ご主人様』を持つなど、わたしは不安でなりません」元女奴隷の女の子がいかにも〝心配しています〟という口上で話しかけてきた。ちなみにその掃除の手は止まりがちであると観察している。
しかしまあ話しだけは聞いておこう。
「なにが心配なの?」
「あのお嬢様の気まぐれでわたしたちの生活が左右されます」
「そうだね」
ここで別の元女奴隷の女の子が名乗りを上げる。
「そうです。あのお嬢様の評判はもの凄く悪いんですよ。少しでも逆らったら逆鱗に触れて明日から追放ということも」
それにさらに別の元女奴隷の女の子が参戦してくる。
「わたしはご主人さまがあのお嬢様のご機嫌を損ねないで上手くやっていけるようには思えません」
そこにさらに次が。
「そうでえす、あの手のはキレやすいんですよお」
ふむ、なにか本人のいないところで罵倒するというイヤな展開になりつつあるな。とは言え、短いながらもあのエリタスさまとかいう人と接触し得た感触からすると、この身に〝今し方元女奴隷の皆さんが言ったこと〟が起こる可能性もまた否定はできない。しかしだ——
「残念ながら他の場所に行くという選択肢は無い」そう断言した。
不満そうな顔を露わにする者がわりと。
「——僕はお金が必要だったら魔物を狩ればどうにかなると思っていたが、どうもギルドとやらに所属しないでそれをやってはいけなかったらしい。そしてギルドと僕の間柄は極めて険悪。つまり今の僕には君たちを養うだけの方法はひとつしかない。あのエリタスさまという人に当分すがるしかない」
「〝当分〟というのは穏やかでない言い方に聞こえますが」
それを言ったのは〝ルディア〟だ。この女の子だけは一発で分かった。なにしろ顔にアザがある。
「もちろん『いつかはココを出て行ってやる!』と決めているわけじゃない。しかし、いつかそうなる予感だけはある。そーなっちゃったら仕方ない。覚悟を決めて——、」とタメを作り、
「掃除しようじゃないか!」と言い渡してみた。
ルディアさんも表情変えず立ったまま。〝こんなことやっていても局面は好転しませんよ〟とその表情が言っているかのよう。
そしていかにも〝したくない〟とばかりに並ぶ元女奴隷の皆さんの顔、顔、顔、このお喋りも休むための方便であるかもしれない。
そこに突然明るい声が鳴り響いた。
「わっかりましたあ、お掃除をしましょう!」ととびきりの声で言ってくれたのはラムネさんっ。
〝もちろんっ!〟と叫び出したい。叫びはしないけど。
『積極的掃除派』な元女奴隷の皆さんは、何か〝積極的なこと〟を言いにくかったのか押し黙ったまま僕が苦情を言われている間も黙々と掃除の手を動かし続けて来たがラムネさんのひと言で吹っ切れたように生き生きと動き始めたよう。何せ互いに声を掛け合い始めた。見ようによっては反対勢力からは〝当てつけ〟に見えるかもしれないのかな、とは感じたが僕としてはこちらの派閥を贔屓したい。
まあここにいつまでいられるかは正直分からないけど、取り敢えずは住む処なんだから〝やるほかない〟のは間違いない。やるしかないんだ。
「とにかく今夜寝られるよう、最低限の面積は掃除しよう!」そう号令をかける。
「はい質問でぇす!」と言ってる傍から脱力するような声が。先ほども発言した元女奴隷な女の子。
「今度はなに?」
「用を足したいんですが、どこへ行けば?」
っむッ!
この建物は本来は倉庫、ならばトイレは⁉ あろうはずも無し!
即座に判断、即座に決断する。
「本邸に行くほかない! がまんできるか⁉」
「ハイッ!」
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