第27話【ギルドの礼状? ギルドの令状?】
『オテル・ナーロッパ』滞在三日目。つまり今日からの宿泊料は自腹、あと四日しかここにはいられない。
結局、〝庭師路線〟は行き詰まってしまった。エリゼさんの家は専属庭師を雇うだけの財は無く——
そして相変わらずこの無駄に広い部屋には自分独り。手詰まりもいいところ。何をする日にしようか半ば途方に暮れるしかない今日。昨日一日あんなに身体を動かして疲れているはずなのに、ろくに寝られていない。起きてからもうかなり経っている。だけどまだ朝の早い方、そんな中——
「おはようございます」の声とともにドアをノックする音。声の主は男。
ドアを開けるとそこには宿屋の人が立っている。しかもなぜか三人も。そして中央の人は少々年配でもある——そしてなぜかラムネさんまで。つまり都合四人、朝っぱらから予期せぬ訪問者が来てくれた。
「朝早くから失礼いたします。わたくし、支配人をしておりますクラチといいます」少々年配の男の人からそう名乗られた。
早くも何人かの元女奴隷の皆さんがこれら〝謎の訪問者〟に気づき人垣を造っている。
「実は昨日皆様がお出かけの最中に、少々込み入った案件が持ち上がっておりまして」支配人を名乗った男が言った。
込み入った?
「なんでしょう? 心当たりが無いですが、まあ込み入っているなら中で話しましょうか」そう言うと支配人は声を潜め、
「よろしいのですか?」と訊いてきた。
「今はなんとなく部屋にたくさんの人にいて欲しい気分なんですよ、皆さんどうぞ」
支配人は「では失礼させて頂きます」と言い、他二人の従業員と共に部屋の中に入って来た。
「ああみんなも入って入って」とラムネさん含む、〝事に気づいた元女奴隷の皆さん〟にも声をかける。
本当はラムネさんに部屋の中に入ってもらうための方便だったりするけど。
さすがに支配人は支配人だけあってそこに椅子やソファーがあっても腰掛けようとはしない。立ったまま。他二人も同じく。その支配人が確認するように訊いてきた。
「皆さんの前でお話ししてもよろしいのでしょうか?」
「別に秘密主義じゃないし、『込み入った話』ならみんなで聞いてもらった方がいいのかなって」
元女奴隷の皆さんは意外な連帯感を発揮し、最初に来ていなかった者もわざわざ呼びに誰かが走り、遂にはひとりも残すこと無く全ての元女奴隷の皆さんがこの自分の部屋に集められた。起きたばかりの時とは打って変わって実に賑やかな部屋へと変貌した。
支配人は相変わらず直立不動のままで、そして喋りだした。
「実はギルドからお客様について照会がありまして」
「お客様ってのは僕?」と自分を指さす。
「はい左様です」
「ぎるど、ねぇ?」
何か聞いたことがある。ゲームとかでよくある冒険者だか勇者だかの組合みたいなものでなんか情報をいろいろ教えてくれるらしいトコ。
「むろん誰がお泊まりか、そんなことを回答してしまえば私どもの信用に関わります。当然照会のお問い合わせについてはお断りしました」
「はい」
「ところが先方からは『では令状を持って訪れることにしましょう』と、そのように言われた次第です」と支配人は言い、連れてきた二人の従業員に向かって「間違いないな?」と確認した。
その二人は「間違いありません。私どもふたりでそのように対応しました」と答えた。
礼状? 魔物をたくさん倒してくれたお礼か?
そして再び支配人、
「しかし一応はお客様に確認だけはしておこうと、お部屋を伺うためこの階まで上がったところお付きの方と廊下で鉢合わせになりまして、」
「それってラムネさん?」と訊くと、
「ラムネさんというのは?」
立ち上がりラムネさんのところへ。
「この人ですが」
「そうです、この方です」
しかしどうして朝からラムネさんが僕のところへ?
「ラムネさん、なにか重大な話しでもあった?」
「いえ、べつに。顔を見たいなあって思っただけで、その——」
たまたまか。でもなんとなく嬉しい。そうだ、ちょっと訊いてみよう!
「ラムネさん、この件どうしたらいいと思う? なんかギルドの人が用があるみたいなんだけど」
「そうですね、やっぱり会った方がいいんじゃないかと思います。『庭師』の方も行き詰まり気味ですし」
そうだよなあ。まあ元女奴隷の皆さんがいろいろ言うから『庭師』へと回り道しちゃったけど、本来無双転生者はギルドがよく似合うもんなんだ。
「じゃあ会うよ、ギルドの人に。そう連絡を入れておいて欲しいんだけど」と言うと支配人は、
「かしこまりました」と口にした。心なしか僕の返事を聞く前と聞いた後では表情が違うような……なにか〝安堵感〟のようなものを感じなくもない……
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