第21話【とりあえず〝庭師〟でもやるか】
「あのあの、皆さんもう少しよく考えてみてくださーい」ラムネさんだった。
しかしすぐさま凄まじい攻撃がラムネさんに集中する。キンキン声の交錯する修羅場の到来。でもラムネさんも負けてはいない。
「『仲間』ですよ、『協力』ですよ、こんなご主人様はいませんよ」
「なんであんたがそっち側にいるのよ!」
言われれば確かにその通り。他の元女奴隷の皆さんはこの自分に正対していて、ラムネさんだけが真横にいる。
もう声が出てこない。どー収拾したらいいか解らない。
ラムネさんは? と気になり、真横を見ればラムネさんの横顔。元女奴隷の皆さんの方を見たまま表情が固まっている。立場としては同じか——
奴隷、それは普通〝ご主人様〟の命令なら何でもする存在のはずである。
この女の子たち、奴隷なんだよね。奴隷のはずだよね。こんなに態度のでかい奴隷って、普通いる?
〝ご主人様〟が『こうだ』と言ったら従うのが奴隷じゃないの? もしやこれは……『数は力なり』というやつか? なにせ向こう側には二十三人もいる。
ともあれ、買ってしまった以上はこれらに対する一定程度扶養義務はあるだろう。通常の悪人(?)ならこれだけ美形の女の子たちが手元にあるなら〝風俗業〟をやりそうなものだが、自分的にはどういうものか。
何よりラムネさんの体験談を聞いてしまった後だし、万が一の一にもまかり間違ってそういう方向性を選んでしまった場合、ラムネさんにだけ『風俗はやらなくていいから』とはできない。まず他の女の子たちがそれを許さないだろうし、何と言ってもラムネさんは自分の運命も考えず他の女の子の身代わりをやってのけてしまう『聖女』なのだ。
この僕が、一人で働きに出るほかないのか……いったいどっちが奴隷なんだ。
「分かった。とにかく僕は無双だ。森で魔物を倒せばそれが金の粒になる。生活には困らない」そう言って安心させようとした。
ところが二十三人の中の一人が間髪入れず立ち上がる。
「そんなこと言って森の中へ行ったきり帰って来ないなんて無いよね?」
その発言に「そうだそうだ」とあっという間に賛意が広がっていく。挙げ句の果てに矛先はまたしてもラムネさん。
「ラムネといっしょに行くんでしょ!」との声までが挙がる。
「待て待つんだ。ラムネさんは水魔法の使い手で飲み水が—」まで言いかけた時、
「はーい。わたしも水魔法の使い手です」「わたしも」「わたしだって」と何人かが名乗りを上げる。
「なんであんたたちだけ抜け駆けしてんのっ!」と今度は結束していた(?)女の子同士の間に新たな亀裂が露わに。たちまちのうちにより混沌としたカオスな修羅場が。
「分かった分かった。じゃあナアロゥプの街の中でなんとかするから」
「なにかご主人様には考えがあるんですか?」
どうでもいいが、『考え』なのか? 『お考え』じゃないのか? しかし、
「ある」、とそう断言した。
たったいま思いついたばかりのかなりろくでもない〝考え〟だが。
「庭師だ」そう言った。
「なんで庭師なんですか?」当然尋ねられた。
「これだけ人数がいるからだ。この頭数を生かせる仕事は『庭師』しかない!」
「わたしたちも働くんですか?」
めまいのするようなことを誰かが言ってくれる。
「魔物狩りをさせてくれない以上、そうなるしかない」
我ながらなんと頭が回るものかと感心している。こう言えば街を出て森へ行くことに誰も文句は言えなくなるだろう!
しかし事態は予想を簡単に裏切った。
「じゃあいい」「しょうがないわね」とみんなが同意し始めた。
僕って外へ出したら絶対戻ってこないって思われてる? それほど信用が無いわけ?
ふと、本当に森へ戻ってこのしがらみをポイとゴミ箱へ捨てたくなっている自分に気づく。正直なところどうだ? 森へ行ってしまったら心変わりしない保証が無い。まして森の中へラムネさんと二人きりで行ってしまったら——。〝駆け落ち〟、行くか?
しかし、やらない。というかできない。損な性格してるなー。
「よしじゃあみんなで『庭師』をやろう」そう宣言した。
とてもとても超高級ホテルの中の最上等の部屋に宿泊している人間のことばとも思えない。自分で思ってりゃ世話無いが。
しかしようやく〝庭師〟の話しに区切りがついたと思ったら、「はい!」という声が元女奴隷の皆さんの方から聞こえてきた。手が挙がっている。
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