第18話【聖女ラムネさん】
しかしここはお風呂————
「お背中お流ししますねー」とか言われてラムネさんに背中を洗われていると、何かしら〝風俗〟に来ているだけという気分になる。もちろんそんなトコ行ったことなど無いが、自分はラムネさんを金で〝買った〟ことになっている。これってモロに風俗なんだよなあ。あのついさっき湯船につかってのお話しが〝営業トーク〟に思えてくる。なんか悲しくなる。
その時じゃあーっと背中にお湯がかけられた。
「はい。お背中は終わりです。前の方はどうしましょうか?」
それやってくれたらいよいよ〝風俗〟だし!
「だいじょうぶ。」と反射的に喋っていた。
こっちが背中を洗ってもらった以上はラムネさんの背中も洗うべきかと一瞬だけ思ったが肌に直接触れてしまった自分が次の行動を制御できるかまったく自信が無いので、
「あとは自分で洗うから。それよりラムネさんも綺麗に身体を洗わないと」とそう言ってしまっていた。
「じゃあ自分で自分を洗いましょう」ラムネさんも快く(?)応じてくれた。これでなんとなく〝風俗〟な雰囲気から脱出できたと思う。
この浴場は広い。湯気も充満している。ラムネさんと少し離れ、それぞれが身体を洗っているとだんだんと落ち着いてくる。
〝シャンプー〟なる特殊洗剤はこの世界には無いらしく髪も石けんで洗うことになったが、ともかく髪も身体も一通り洗い終えた。
やっぱり風呂は気持ちいい! なにせ一年くらい入ってなかったからなお!
あとは湯船につかって疲れを、思う存分落ちたと思うトコまで入っているのみ!
「ラムネさん終わったー?」と声をかけると「終わりましたー」と声が戻ってきて本人の身体も湯気の向こうからやってきた。うっすらとぼやけた輪郭はたちまちのうちに生々しい裸体に。もうラムネさん全然隠す気が無いし!
あっという間に性器が棒化。
ここまで我慢してきてここで襲ってしまったり暴発させてしまったら、これまでの我慢が水の泡。
「早く入ろう」そう急かすように声をかけた。肩までならなんとか我慢が続けられる、と思いながら。
極端な刺激にならないようラムネさんと適当な距離をとって湯船につかっているとだんだんと落ち着いた気分にはなる。しかし油断はできないが。しかし二人で裸になっていると裸だけになんでも訊けるような気分になってくる。だからつい訊いた。
「ラムネさんってなんで女奴隷なの?」と。
ラムネさんは顔をこちらに向け、
「わたしって〝ステータス・オープン〟すると『聖女』になってるんですよ」
? ? ?
「よく、解らないけど」
「わたしにもよく解りません。聖女は聖女なんです。だから女奴隷の前は修道女をやっていたんです」
修道女だから聖女、聖女だから修道女、あれぇ? 順番どっちが正しいの?
「親は?」
「両親とも顔を知りません。だから修道女をやっていたんでしょう」
幼い時分に預けられた、とかだろうか?
「しかしそれがどうしてこんなことに?」
「聖女なんだから困っている可哀想な女の子を助けなきゃって思って。それで身代わりで自分で女奴隷になったんです」
「……なんていうか、ラムネさん自身が〝困っている可哀想な女の子〟にしか見えないんですけど……」
「だけどわたしは『聖女』ということになっているので、困っちゃいけないし、自分で自分のことを〝可哀想〟だなんて思っちゃいけないんです」
いったいこれはどういう世界だろう……。この世界にはこの世界のしきたりがあって〝おかしい〟なんて思っちゃいけないんだろうか。ラムネさんが続きを語り出す。
「だけど『聖女』はバカでした。聖女だからバカなのか、バカだから聖女なのか解りません。だけどわたしは〝奴隷〟って『下働きをする人』としか思ってなかったんです」
「……いや、自分を〝バカ〟なんて言わなくても……」
「いまにして思えば、『女の人しかいない』ことについて、それも『若い人』しかいないことについて何か気づくべきだったんです」
「はぁ、」
間違いなく〝聖女〟には常識が無い……
「女奴隷になってご主人様を持つようになって最初にびっくりしたのは着ている服を破けるほどに引っ張られて裸にされたことです。実際一部破かれてしまいました。そうして寝所の上で仰向けにさせられたと思ったら胸を思いっきり鷲づかみされてちぎれるほど握りしめられてそれが痛くて、その上股を思いっきり開かされて、ロクヘータさんもそうなってましたけど、男の人の股から生えてるまっすぐな棒をわたしの下の割れ目に突っ込まれたんです」
ななっ……
「身体の上に重い男の人が乗っかってきて股間も凄く痛くてそのうえ〝ゆっさゆっさゆっっさゆっさ〟規則正しくわたしの上で揺れて揺れてただ苦しかったです。そしてあるところで急に動きが止まってしまって、そしたら男の人がなんだかとても満足そうな幸せそうな顔をしていました」
「そう、なんだ……」
「それでもう済んだと思って『重くて苦しいから終わりにして』と頼んだのですがまだ終わりませんでした。『重くないようにしてやる』と言われて四つん這いにされて、ゆっさゆっさと今度はお尻に規則正しい揺れが来ました。わたし、よく解らなくて最初お尻を叩かれているのかと思ったんですけど、後ろの方からでも棒をわたしの下の割れ目に入れられるみたいです。確かに重くはなかったけどまるで人じゃなくなったみたいで、まるで四本足の動物さんになったような気分で、身体は重くなくても心が重くて苦しかったです」
これ以上何かを言えない!
「男の人は愉しそうだったけどわたしは痛いし重いし苦しいし何も良いこと無かったです。血まででていて。それで後で聞いてびっくりしたのは『これで赤ちゃんができる』ってことです」
ただ意味も無くうなづくしかない……
「——どういうわけかそれを聞いてもあまり嬉しくなくて、だけどそれならそれでもうやらないでいいのかなって思っていると、それは全然違っていて、同じこと何度も何度も繰り返されるし……」
「——そうしたら次の男の人と交代です」
ひええっ! いつまで続く、〝この告白〟。
「あの、この際ですからロクヘータさんに訊きたいんですけど、」
「わ、解ることなら、」
「こういうのって二人とするのは良くないんですよね。一人だけですよね?」
「そ、そりゃもちろん〝一人だけ〟ってのがこうあるべき、っていうのか」
「ですよね」
「はは、まぁ……」
「う〜ん、」とここでラムネさんは大きく伸びをした。胸が露わになっている。女の子が伸びをすると胸はこう動くのか、という生々しい動きを近くで観察できてしまった。
「なんか話しちゃったら〝すっ〟としちゃいました」
「そ、そう?」
「初めてに会った時、わたしなんて言ったか覚えてます? 『この殺人は正しい』って言ったんです。そんなこと言う『聖女』なんてホントはいませんよね」
「いや、聖女にも限度というか限界はあると思うから——」それくらいしか言い様が思いつかない!
ラムネさんは口をぽかん。しばしの後会話再開。
「なんか心があったまるというか……あっ、もちろん身体もですけど」
「か、からだ? お風呂で暖まったとか?」
「いいえ。身体は身体です。嘘と思うかも知れませんけど、わたしは今日は凄く我慢していました」
それを言ったラムネさんの胸の先は本当にツンツンにとんがっている。こっちは物理的刺激は一切与えてないにも関わらず。女の子の性欲がどういう程度なのか見当がつかないけれど、この僕に本当に興奮していてくれたのか?
「どうもありがとう」とヘンな答えが口から出てきてしまった。
「今日はお互い我慢大会でしたね」そう言ってラムネさんは湯船の中でざばと立ち上がり全身を目の前にさらした。
ここまで来たら最後の最後まで我慢しないと印象が悪くなる、それだけは解っている。不祥事を起こす前にお風呂は切り上げた方がいいだろう。
「じゃあラムネさん出ようか」そう言って自分もざばと立ち上がる。
「はい」とラムネさんも続いた。
僕が先頭に立つと後ろからラムネさんの声。
「今日はわたしなんかのお話しを聞いてくれてありがとうございました。少しだけ気分が軽くなりました」
いまその全裸姿を見てもいないのに下の〝棒〟はもちろん天を向いたままひくひく動いている。
ラムネさんが言ったとおり、これほどの我慢大会は生まれて初めてだ。いや、まだ終わっていない。まだお互い裸だ。最後まで気を抜くな! これだけ、こんなにため込んでしまって、後で密かに思いっきり処理したい!
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