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2話

 アレク16歳童貞のまま死す…

 なんて下らないことを考えている場合ではない。目の前には自らの命を簡単に消し飛ばせるような存在がこちらの様子を伺っている。

 俺は剣を正眼に構え相手の一挙手一投足を見逃さぬよう観察する。相手はレッサーアースドラゴン、逆立ちしても勝てない相手だ。せめて瞬殺などされないようにせねば。

 俺が中々仕掛けないことにキレたのか明らかに苛立った様子でこちらを威嚇するレッサーアースドラゴン。このままブチ切れて周り見えなくなって逃げれないかなぁなどと考えた瞬間、目の前には口を開いたレッサーアースドラゴンの牙があった。そして俺はその速度に俺反応することが出来なかった。


(あっこれ死ぬ)


 そう思った瞬間、まるで辺り一体の時間が止まったように感じた。


 ━━━━━こんなところで死ぬのか?


 まだ、死にたくないね。先に逃げた女の子2人の安否を確認したいし、孤児院に薬草を届けなきゃだし、宿でいつもみたいにエールを煽って泥のように眠りたいし…何よりまだもっと世界を見てみたい。


 ━━━━━なら、目の前の障害をうち払わなければね


 と言っても俺にはそんな力なんて…


 ━━━━━力ならあるさ。まだ気がついていないだけでね


 俺に力が…?いやいや、俺なんてせいぜい剣を少し扱えるだけだ。魔法だってどの属性にも高い適性は無く、身体強化の魔法を使うのが限界だ。


 誰かも分からない問いかけに答えていると妙に自分の体が熱いことに気が付いた。


 ━━━━━いつか目覚める力なんだ、今ここで目覚めさせてしまおう


 その一言が聞こえた瞬間、止まった世界は爆ぜた。




「ーーー!!!!!!!」


 俺を容易に屠るであろう強者の一撃は振り払われた。他でもない俺の剣によって、だ。


「反応、出来た!?」


 体が勝手に動いたのではない、迫り来る牙に対し構えていた剣を振り上げることでその脅威を退けたのだ。

 しかしその代償として剣は粉々になってしまう。俺の振り上げやドラゴンの牙に耐える事が出来なかったのだろう。だが確かに俺の命を守り、その役目を果たした。


 レッサーアースドラゴンは自らの一撃が振り払われたことに驚いた様子でこちらを伺う。その目には今まで無かった警戒心が宿っている。取るに足らない餌が反撃してきたのだ。当然の反応だろう。


 目の前の化け物が直ぐにまた攻撃を仕掛けて来ないのは僥倖と言えるだろう。しかしこの状況もいつまで続くか分からない。


 打破しなければ行けない。この状況を


「ただ…唯一の武器が壊れちまったからなぁ」


 街の雑用などをこなし貯金し購入した数打ち物の片手剣、なかなかの思い入れがあるため壊れてしまったのはとても悲しいことだ。しかしそれ以上に目の前の化け物に対する攻撃手段が無くなってしまった事が痛い。


「何か…武器がいる。この状況を打ち破るための武器が」


 どうしたものかと考えていた時、俺は思い出したかのようにその言葉を口にした


「【武器庫】よ」


 目の前に魔法陣が現れた。小さな稲妻を迸りながら、次の言葉を待っているようだ。


「竜殺しの剣よ」


 目の前の魔法陣が1回り大きくなり剣の柄のようなものを吐き出す。俺はそれを握りしめ思い切り引き抜く。


「これが…竜殺しの剣?」


 装飾のない無骨な剣だ。しかし見るからにとてつもない力を秘めているのが分かる。そして握りしめている手に力が流れてくるのを感じる。これがあれば目の前の化け物だって倒せるだろう。

 竜殺しの剣を構え、獲物を捉える。今の俺じゃ長くこの力は使えないだろう。一撃、この化け物を一撃で倒さなければいけない。


 ただならぬ力を感じたレッサーアースドラゴンは目の前の敵に突っ込む。これ以上何か変化が起こる前に仕留めなければならない、と。しかしその判断をするには遅すぎたのだ


「…!」


 俺は突っ込んでくる化け物の動きを捉え、1歩横に体をずらし大ぶりで化け物の首を切りつける。太刀筋もない大雑把なその一撃はレッサーアースドラゴンの首を見事に断ち切る。そして体はその勢いのまま壁に激突している。


「勝った…レッサーアースドラゴンに…勝った!」


 レッサーアースドラゴンを倒した瞬間、全身の力が抜け大の字に地面に倒れ込む。


 俺は、やったんだ

誤字等あれば報告助かります。

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