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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

全てが廃れたこの世界に~僕を埋める“何か”を探して~

作者: E氏

全てが終わった世界。それが今この場所だ。勇者もいなければ魔王もいない。ニンゲンも残りはもう僅か。

弱いモンスターもほとんどが絶滅した。町の人々の活気はもうない。これが本当に人々が望んだ結果なのだろうか。未来というモノは実に残酷なものだ。

これは、死にゆくモノをただ傍観するだけの僕。表情に映るのは虚無、空虚、無関心。

でも、それだけじゃない。この世界には


-何かが足りない...


-でも何が足りないか僕にもわからない...


-これじゃいけないってのは分かってる。


-それでも僕には何をしたらいいのかが分からない。


今年で18歳を迎えた僕は何かを求めて、旅に出ることにした。この世界には現状には無関心だったが、自分の足りない何かを探して。1羽の鳶が鳴く。


「お~いカル、これ持ってけ。」


僕は鍛冶屋のおじさんから投げられた2本の剣を両手で抱きしめるように受け止める。僕は2本ある剣とおじさんを交互に見合わせる。おじさんは頭をかきながら微笑む。


「カル、お前がみんなが使ってる両手剣よりその双剣の方が使いやすそうにしていたのは知っていたんだ。でも訓練校では両手剣が原則だから作ってやれなかったんだ。ごめんよ。だからそれをやるよ。ウチで一番質がいいもんだ。使いこなせよ。」


僕は少し動揺した。僕が昔から手頃なサイズの2本の木の棒を振り回しているところを見られてしまったのか。そう思うと僕の中の羞恥心が募る。


「けっ、やっぱお前は裏を掻いても表情にはでない無表情な奴だな。まぁ、それがカルっぽいところなんだろうがな。」


鍛冶屋のおじさんは苦い笑みを浮かべる。僕は、別れの挨拶代わりにお辞儀をして町の出口へと歩き始めようとしたとき、ふいに後ろから声を掛けられる。誰だろうと思い、後ろを振り向く。


「カル君っ!!はぁっ、はぁっ...やっと追いついた。もう出ちゃうの...?まだクラスのみんなはお別れ会をやってるのに...」


僕はそんなのあったっけと思い、顎に手を当て思い返してみる。...僕はそんなのに呼ばれてないので両手を曲げて上げ、首をかしげてわからないことを伝えた。


「そう...それじゃあ私も準備するからちょっとまってて!!」


僕の口から「え」という母音だけが漏れ出る。僕の声はひどく小さいから聞こえないと思うけど相手が相手のため念のためを思って口元を左手で覆う。


「えって何?...もしかして私はこの街に残るとでも思ったの?」


やっぱり聞こえていたみたいだ。前から人気があるエレナに関して僕はてっきり残ってここで名家へ嫁ぐものだと考えていたがそうではなかったらしい。僕は目的があるけど彼女には何の目的があるのだろうか。


「その感じだと多分カル君、残るものって思っていたんでしょうね...」


僕はそうだと頷く。彼女はどうしてなのかはわからないが顔を赤くして握った手に力を入れてプルプルと震えている。どうしよう、怒らせちゃったみたいだ。

僕はどうしていいのかわからずオロオロと周りを見渡す。目に映ったのはなにやら色物っぽくこちらを向き井戸端会議をするおばさま方や、先ほど剣をくれた鍛冶屋のおじさんが額に右手を当て、空を仰いでいる。周りの子供たちがこちらを見ている、そんな光景だけだった。

僕は視線を彼女へと戻す。


「と、に、か、く!!ここで待っててよね!!」


僕は少し顔を引きつらせ分かったと渋々頷く。彼女は「フンっ」とそっぽを向くように来た道を戻っていった。僕はどうしたらよかったのだろうか。と再び顎に手を当てて考えてみる。駄目だ、何も思い浮かばない。

先ほど井戸端会議をしていたおばさま方の中から一人がこちらに歩み寄ってきて肩をトンと叩く。


「あんた、さっきのあの子のこと大切にしてやんなさいねっ!!....ふふっ」


何のことかよくわからないがおばさまが気分よくそう言うので僕は取り合えず形式的に頷いた。僕はここでずっと立っているのもあれだろうと思い、近くの丁度いいベンチに腰掛ける。近くに木があるからだろうか、風が吹くと夏と思わせるような葉と葉がすり合わさる音が響く。ただでさえ疲れている僕への心地がいいご褒美だ。

僕はそのまま自分の世界へと堕ちた。


気が付くと、右肩に重みががあることに気が付く。目をこすって右肩へ目を下ろしてみると準備を終えたと思われるエレナがスヤスヤと寝ていた。僕は彼女の肩をゆする。


「うぅ....んぅ...ぁあ!!かっ、か、カル君!?.....いや、これはちがっ...」


僕は顔を赤く染め恥ずかしがっている彼女をそのまま放置して立ち上がる。彼女は不服そうに頬を膨らませ立ち上がる。

行くんでしょ?というように街の出口を指さす。まぁ、どこかで別れることになるんだしまぁいいかと彼女の同行を許可した。


「....むぅ....うん、行く。」


また1羽の鳶が鳴く。バッグと服がすれる音が聞こえる、夏の始まりごろ。この進む先にある僕の探してる何かを求めて歩き始めた。







なんとなく書いてみました。

続きが気になる方はブクマ、評価をしていただけるとありがたいです。ある程度続きを読みたいという方がいれば連載します。


誤字、脱字などあればこのドM作者に暴言風でもいいので伝えていただけるとありがたいです。

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