『7』鶏
帰宅後、すぐに”盤古”と作戦会議を始めた。
「言い忘れておりましたが、ゲームは1日1回までですぞ」
いきなり!?
しかも、ゲームは1日1時間的なノリで言うなよ、命かかってるゲームを
「ん?ひょっとしてだけど、仮に俺が負けたとして、
存在が奪われたとするよな」
盤古は相槌をうつ。
「そうなった場合、俺の存在を取り戻す方法は無いのか?」
寅は少し考えた挙句、こう答えた。
「ぼくバカだからわかんない」
まじふざけろ、
「あともう一つだけ、ゲームができるのは確かに
1日1回だけですが、拒否権は与えられません、
ルールの改変などは要求できますが、」
ほんとにどんだけ変な盟約結んでんだよ人類!
「それともう一つ」
「なに?まだあんの?」
少しイラついた調子でこたえる。
「あいつ心読めるから作戦会議無駄だぜ?」
あっ、、、、
いや、わかってたし?ほんとほんと、なんか形だけでも
やっといた方がいいかなーって思ってやってただけだし?
てか作者!お前絶対忘れてただろ!
作者「いや、覚えてましたって(汗)
ほ、ほんとにほんとに(汗)」
ウソつけーーーー!!
もういい!正面突破だ!!
「盤古!お前あのクソ鶏にかてんだろ?!」
「ぶっちゃけよゆー?
...でも無いけど、
まあ、あんま期待しないどいて」
た、たよりねーーーー
僕絶望しちゃう
「あっ、来ました」
「はぁ!?どこ!?」
俺、更に絶望。
「ほら、唯希の後ろ」
「はぁ!?」
俺は慌てて振り返る。
...いや、誰もいねぇじゃん。
「やーい、引っかかったーー」
子供のようにはしゃぐ盤古。
どうやら、知能が足りていないというのは事実らしい。
まあ、日本語喋れてるだけまし、というものだろうか。
次の瞬間、ピーンポーンっと家のチャイムがなった。
恐らく、『酉』だろう。
はしゃいでいる盤古もビクッとなり、
まさしく嘘から出たまこと状態。
俺は日向遥(笑)に貰ったナイフを一応もって
盤古と共に玄関にでることにした。
玄関から出ると、そこに待っていたのは、
腕を組んで、例の物凄くダサい格好をした『酉』であった。
辺りはすっかり更けっていて、視界が悪い。
「コケーッコッコッコッコー」
ぷぷっまじか、その笑い方か、どうしよう戦闘中に笑われたら
こっちも笑っちゃう。(笑)
「おい、何笑ってるんだコケ」
「や、やめて、、くっくっ...」
駄目だわ堪えられないわ。
「何はともあれゲーム開始だ」
ズビシッと指をさして、鶏(笑)が宣言する。
——なんでお前が赤面してんだよ。こっちまで恥ずかしくなんだろ。
「対決方法はどうだ?俺vs寅でケンカなんてのは」
「お前こそいい度胸してんじゃねーか、おら!やんぞ!!」
寅氏やる気満々のご様子。まあ、誰にも負けない的なこと
言ってたし(捏造)、大丈夫っしょ。
——2分後。
カンカンカンカン
寅の圧勝だった。そりゃそうだ、創造神の名前背負ってんだぞこいつ。しかも中国の。
「くそっなんで勝てないんだよ!」
『酉』が地団駄を踏みながら心底悔しそうに叫ぶ。
なんか『酉』が不憫になってきた。
いやでも、彼、そうとう強いと思うよ?
結界を張ってて、現実世界に損害はないとはいえ、
銀河団めちゃくちゃ消し飛ばしたからね。
俺が死んじゃうから宇宙の遠くの方でバトって貰ったけど、
いやー、星空がどんどん暗くなっていく様を観るのは初めてだよ。
「盤古ー、てかさ、思ったんだけど、こいつ必要?」
「だから言ったではありませんか、放って置けばいいと」
「まあ、読心術は使えるし、いいんじゃないか?」
「ええ、そうですね、読心術...なんの役に立つのやら...」
確かに、『干支の器』同士での戦いに於いて、
読心術など全くの無意味であった。
読めたって回避できない。そもそも本能で戦っているから
読めない。全くの役立たず。
「そんな事ないコケ!」
「お前それわざとやってんだろ」
ほら、めっちゃビクってんじゃん。
「ほら、無理してキャラ付けする必要ないぞ」
「一生ついて行きますご主人様!」
ちょろっ
超ちょろいんじゃん
ラブ〇ラスとかにいたら
2ちゃんでめっちゃ言われそう。
「唯希、こいつは一応役立たずじゃないぞ」
「一応ってなんだよ!ほんとにそろそろ泣いていいかな!?」
あっやっぱ、コケってのはキャラ付けだったのか大変だな『干支の器』も
「え、こいつなんかできるん?」
盤古はやれやれといったふうにこたえる。
「言ったろ、こいつの能力は収穫、時間はかかるが、
他の『器』達から能力をコピー又は」
そこで一度きって、
「強奪できる」
しかし、一転して、殆ど不可能だが、と付け加えた。
いや、殆ど不可能なら結局役立たずじゃねーか!!
「いやだってそりゃそうだろう?
味方だろうがコピーされちまったら自分の存在価値が
無くなっちまうし、奪われたともなればもってのほかだ」
そして、イタズラめいた顔で続ける。
「だけど、『大罪の器』から能力を奪えるのなら話は別だ」
おぉ、と本気で感心して俺は声を上げる。こいつ頭いいじゃん!
「と、『勤勉な戌』が言っていた」
なんだよ。
好感度パラメーターのジェットコースターや!!
「なるほどね、だからあんな下手な挑発をして、こいつを呼び出したってわけか」
むふん、と鼻を鳴らしているが、どうせこれも戌の作戦なんだろうな。
「まあいいや、お前、名前とか決めて欲しい的な感じ?」
「宜しくお願い致します。ご主人様」
まあ、慕われるのは悪い気はしないけどさ
鶏ってのと、野郎ってのが相まって不快感のほうがたけーぞ。
虎はかっこいいから執事向きだけどさ...鶏は...さ...ね?
「まあお前は”神農”とか?いや、お前にしては偉そうだな」
さらっと酷いことを言って、うーむと考える。
「唯希、何も農耕だけが、収穫の内に入るわけじゃないぞ?」
「どういう事だ?」
「こいつの能力は得ること、つまり得るのであれば
盗賊だろうがなんだろうがいい訳でありますよ」
へぇ
「分かった!お前は狩猟の神アルテミスから取って、
”アル”な!」
「承知致しました」
鶏(笑)は深くお辞儀すると、足元に緑色の魔法陣が
広がり、『酉』に吸い込まれるようにして、消えた。
「これからよろしくお願いしますご主人様
不躾とは承知でありますが、私めに『寅』のように
気軽に接することをお許しいただけないでしょうか」
俺の答えはもう既に決まっていた。
「嫌に決まってんだろ☆」
さて、盤古の転移によって、家に帰ってきたわけだが...
「なんでお前までついてきたんだよ」
そこには何故か先ほど俺が、アルと名付けた鶏風の...
考えてみたらなんなんだ?こいつら
動物?化け物?モンスター?
どれもしっくりこない、
天使の創造物、か...
「私の役目はご主人様を守ることでございます」
そうか、だったら俺をお前というストレッサーから守ってくれ。
俺はテレパシーでハッキリと言ってやる。
正直言って、トサカ生えた面長ブサメン執事とかお呼びでないのだ。
「ふむ、擬態能力に問題があると...ではこんなのはどうでしょう」
そう言ったかと思うと、そこには...
「もうなんか、それでいいわ」
ただの鶏がいた。
諦観めいたため息をつきながら思う、
先が思いやられる...と、