エピローグ えきいんさん
友達のできたおおかみさんは、こぶたで作った三人前のトンカツを食べることができるのでしょうか?
平和な時代にタイムスリップしたぞうさんは、芸を生かしてサーカスに入団することができるのでしょうか?
魔法を使えるようになったびんぼうさんは、後々出会う魔法使いの妖精さんを驚かせるのでしょうか?
鬼の住む島で生まれたたましいさんは、おにさんの事情を知ってどう生きていくのでしょうか?
えきいんさんは目をつむって、これまで手助けをしたお客さんに思いをはせます。
そんなとき――
「えきいんさん」
小さな男の子から声をかけられました。なにやら困っているようです。
「どうしたのかな? よければ案内するよ。行き先は?」
「実はぼく、どこへ行ったらいいのか全然分からなくて困ってるんだ……」
さすがにえきいんさんも困りました。案内しようにも情報が足りなすぎます。しかもどこ駅にも行けるだけのお金は持っています。
「どんなところに行きたいとかは?」
「特に行きたいところはないかなあ……」
「むう……」
えきいんさんは考えます。
行き先は分からない。特に行きたい場所もない――それではこの男の子はなぜここに来たのでしょうか。
えきいんさんは少し質問を変えることにしました。
「じゃあ行きたいところじゃなくて君のしたいこと、夢を教えてくれないかな?」
「夢? ぼくの夢は――」
男の子はあごに手を当て考えます。
答えはすぐに出てきたようです。
「ぼくの夢はみんなを楽しませたい、幸せにしたい、かな」
男の子の夢を聞いて、えきいんさんはなるほどと手をぽんっと打ちました。そして結論付けました。
「もしかすると君の目的地はここかもしれないね」
「ここ?」
男の子は首をひねります。
ぽかんとする男の子にえきいんさんは、握手をするように手を差し出しました。
「ああ、ここさ。どうかな? 君もえきいんさんになってみないかい?」
ここは様々な駅につながる始まりの駅。
今日もえきいんさんはいろんなお客さんを導き、到着した後の物語をそうぞうします。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




