24.彼女と彼の強情
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何度目だろうか。
また、思慮が浅かった。
まずは我が身に置き換えて考えるのは第一手段だったろうに、まるで検討していなかった。
しかし、まあ、仕方ないじゃないかと言い訳させてもらいたい。
人間絶縁体なのだ。
それはつまり、どういうことかというと。
冗談じゃなく、友達がいないのだ。
友達と言うか、人間関係が希薄。
山代と相生くらいしか、いないのである。
同性の友人など、少なくとも今となっては皆無だった。
それで苦労することはそれはそれはもの凄いものだったがどうしようもないものはどうしようもない。
検討しようにも、サンプルがないのだ。
高校時代には辛うじてあった人間関係も、今はすっかり閑古鳥。全員顔も曖昧だった。
参考にならない。
………いやあ、でも。
考えなきゃあいけない。
の、だけれども。
さらに悪いことに、城ケ崎は積極的な人間絶縁体だった。
友人の話だけではない。
色恋沙汰にしても、そうだ。
誰かを好きになるときには、なってしまうものだとは城ケ崎は知っている。
だけれど、だからこそ、城ケ崎は極力人を好きにならないように努めてきた。
誰かを好きになったりしないように、人間関係すらもそもそも除外するようにしてきた。
何かにつけて自意識過剰になる自分をその都度戒め、引っぱたいてきた。
それはもう、意固地というか、ある意味病的といってもいいのかもしれない。
もう、人を好きにはなりたくない、と。
辛いし、面倒だし、疲れるし、金はかかるし、時間も取られるし、気も取られるし、何より。
自分は、幸せになれないから、と。
誰かと一緒になろうにも、その結果は残念なものにしかならないから、と。
それこそ自意識過剰なのだろう。
恋愛なんて、城ケ崎は一度しか経験していないのだから。
平たく言えば、ただの莫迦だ。
それでも何でも、城ケ崎はずっとそうしてきた。
………でもさあ。
考えなきゃあ、駄目だろう。
散々人のことを責め立てておいて、自分だけ例外にはできないだろう。
あー、でも、どうしよう。
今の自分じゃあ、相手が男でも女でも絶対に告白なんてしないんだけど。
………ああ、でも。
今の自分は、絶対にしないんだけれども。
こうなる前の。
高校時代の、あの頃の自分なら。
うん。
「すると思うよ。そうなったら」
特に気負いなく、城ケ崎はそう言った。
力みも気張りもせず、さらっと。
本当に、するだろうと、思ったから。
あの頃の自分なら。
相手が男だろうが女だろうが。望みがあろうがなかろうが。
そんな大それたことをしようなどとは思いもせず、精々ただ「好きだって言ってくるだけだ」などと嘯いて――――
後悔しないために。
「………そう」
山代は目を伏せて、短くただそれだけを答えた。
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