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彼女の事情  作者: FRIDAY
19/28

19.彼と彼女の幽情

 


 ●



「まず、結論を先に言っておく。────女が女を好きになるのは、変だろうってお前は言ったな」

 城ケ崎の言葉に、山代は目に見えて全身を強ばらせた。それに対して、城ケ崎は山代をまっすぐに見据えて、

「俺は、それが変だとは思わない。全く」

 一拍置いて、空気が抜けるように山代の肩から力が抜けた。

 やはり、相当に不安だったらしい。

「そりゃあ多少は驚くが………好きになるっていうなら、なるんだろう。相手が男だろうが女だろうが」

 城ケ崎だって、その当時は、城ケ崎が恋愛していた当時には、純粋に『好き』という感情を持っていた。

 はずだ。

 今となってはもう、当時の感情など覚えているはずがない。あったはずだと思うばかりだ。

 それどころか、逆に、全て嘘だったような気もする。

 嘘だったと、言うつもりは毛頭ないが。

 なってしまうものは、なってしまうのだ。

 望むと望まざるとに関わらず。

「多分、そういうものが恋愛っていうものなんじゃないかと、俺は思うよ」

 別に、城ケ崎は恋愛の先達だとか恋愛マイスターであるということはないのだが。

 あくまでも、城ケ崎の個人的に思うところ、だ。

 いちいちこれを言っているときりがないのだが。

「誰かを好きになるっていう気持ちに、異性も同性も関係ないだろうさ」

 言っていて、何だか気恥ずかしいような、むず痒い気持ちになってきた。

 歯が浮く台詞、とはこういうものか。

 しかし、山代はじっとこっちを見つめながら神妙に聞いている。

 やめるわけにも、いくまい。

「それで、だ。お前に、訊きたいことがある」

 いいか? と視線で問うと、山代は小さく頷いた。だから、単刀直入に訊く。

「お前は、どうしたい?」

 ひくっ、と山代は肩を震わせた。

「俺は、お前が相生を、恋愛的に好きだってことを、変だとは全く思ってない。思わない。その上で――――っていっても、まあ、俺だけじゃあ足りないだろうけども――――まあ、その上で。お前は、どうしたいんだ?」

 静かに、ゆっくりと問う。山代は、わずかに視線を逸らし、さまよわせ、

「どう、って?」

「関係の話だ」

 人間関係の話。

「素直に素朴に正直に率直に、お前は、相生とどうなりたい」

 揺れる山代の瞳を見据えながら、城ケ崎は訊く。

「お前は、相生と、友達のままでいたいのか? それとも、――――そう、恋仲に、なりたいのか?」



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