18/28
18.彼女と彼の主情
●
「山代」
城ケ崎は、山代の名を呼んだ。山代はわずかに顔を上げ、こちらを見る。
泣きはらして真っ赤になっているその目をまっすぐに見て、城ケ崎は言う。
「これは、あくまでも俺の個人的な意見だから、とりあえずそのつもりで聞いてくれ」
………無責任な言葉だ。
内心、城ケ崎は自嘲する。
自分の言葉を聞いてどのように行動して、その結果どうなろうとも、自分は何の責任も取らない、と。
これほどの無責任も、ないだろう。
だが、こう言わないと、城ケ崎には何も言えないのだ。
………俺は、小さい。
人間が、小さい。
そして、自分に自信がない。
自分に自信がないから、自らを信じられないから、先んじて自己弁護しておかないと、思うところを何も語れない。
本当に、小さい。
何も言わずにすむのなら、喜んで何も言わないだろう。
だけれども。
言わなければならない。
これ以上、しょうもないことも言わない。
「俺がどう思ってるか、ってこと、とかを」
城ケ崎は、自らにも言い聞かせるように言葉を噛みながら、言う。
「これから、話す。お前に訊く」
いいか? と問う。山代は頷いた。
城ケ崎も頷き返し、改めて口を開いた。
●




