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彼女の事情  作者: FRIDAY
1/28

1.彼女と彼女の春情

 

 ●



「佳世、これ似合うんじゃない?」

 ちゃかちゃかと掛かっている薄桃色の春向けの洋服を取り出し、佳世にあてがってみる。だがちょっと首を傾げた。

「美樹の方が似合うと思うよ、こういう華やかなのは」

 服をあてられるままの佳世が、ちょっと困ったように笑う。対して美樹は首を振り、

「そんなことないよ。佳世だってこういうのしっかり似合うんだから。もっと普段からお洒落してさあ………」

 言いながらも、「こっちかな」「こっちの方がいいね」などと次々と佳世にあてがっていき、気に入ったものをストックしていく。佳世は完全にされるがままだ。

「佳世、何色が好きだっけ?」

「青………いや、紺、かな」

「んー、もっと目にうるさい色も着てみなよ――――ほら、これは?」

 夏! という雰囲気の、明るい黄色に白のラインが入ったものを突き出す。佳世はちょっと困った顔をして、

「いやー………ちょっと私には明るすぎるかな」

「明るいのを選んでるんだから。そういう暗い色のはもっとオバサンになってからでいいんだよ。じゃあ、ほら、これ」

「いや、これもちょっと………」

「そんなこと言ってないでほら、着てみる着てみる!」

 ごそっとたくさんの服を渡され試着室に押し込まれた。

「あー、これちょっと多すぎて掛けるとこないよー」

「んじゃあちゃっちゃと着てみてこっちに渡す!」

 言いながらも既に美樹は新たな服を物色し始めている。

 その背中を眺めて少し困ったような表情をしていた佳世だったが、やがてふっと笑って試着室のカーテンを閉めた。



 ●




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