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第十三話 思いがけない協力者

「失礼致します。ミノリ様、少しよろしいでしょうか?」

「貴方がここに来るなんて珍しいわね。何かあったの?」

今日も今日とて書庫で魔術書を探しているミノリは、手を止めることなく入ってきた人物に要件を訊ねる。

「ミノリ様、この使い魔に…見覚えはございませんか?」

そう言われて振り向いたミノリは、驚きのあまり魔術書を床に落とした。

「どうして貴方が…?だって、この魔力は…」

「シャドーレ様の魔力にございますか?」

「っ…」

そこまで分かっているのか。

ミノリは戸惑いを隠しきれずに聞く。

「…クラヴィス。このことをルーリ様に報告した?」

「いえ、しておりません」

「どうして…?どうして最初にミノリの所に連れてきてくれたの…?」

「そうすべきだと判断したからです」

その時、使い魔はクラヴィスの手を離れ、ミノリの腕の中に飛び込んだ。

「シャドーレ様からのメッセージならば、ミノリ様宛であることは明白にございます。しかし、ルーリ様に報告すれば、最悪の場合消されてしまうかもしれない。その為、直接ミノリ様の所へお連れしようと思ったのです」

「でも…報告しなければ貴方が罰せられてしまうわ…」

何をするにしてもルーリの許可が必要。

どんな小さなことでもルーリへの報告が必要。

それが今の流転の國である。

しかし、クラヴィスは笑顔で言った。

「私のことは気にしないで下さい。それより、せっかくのシャドーレ様からのお使いなのですから、すぐに用件を聞いた方がよろしいのでは?」

「ありがとう、クラヴィス…」

ミノリは久々に人の優しさに触れた気がした。

そして、

「ミノリ様。桜色の都に関して、もし私に何か出来ることがあればおっしゃって下さい。私は……国王陛下のことが心配ですので」

クラヴィスはそう言い残して書庫を出て行った。恐らく、この後もルーリに報告する気はないようだ。

(ルーリ様が一方的に破棄されたという桜色の都との盟約。あれがなければ、有事の際にも都に赴くことは出来ない…)

昨年、桜色の都が得体の知れないモンスターの群れに襲われ危機に陥っていた時、流転の國は都の「友好国」であり「守護者」として彼等を救った。その時、クラヴィスは前線で群れに立ち向かって見事に任務を果たし、都の英雄としてヒカル王直々にもてなしを受け、語らったことがある。

そんなわけで桜色の都と縁があるクラヴィスは、ルーリが女王になった直後、都との盟約を一方的に破棄したことを知って困惑した。

『「桜色の都との盟約は解消した。これより後、何があっても都に行く必要はない」』

ルーリが皆にそう告げた時、ヒカルと親交深いクラヴィスは複雑な気持ちになった。桜色の都の若き国王は流転の國を頼りにしていたのだ。

(国王陛下の御為にも、桜色の都と再び繋がりを持てたら…)

ルーリもネクロもシロマさえも知らないところでクラヴィスは桜色の都に思いを馳せ、ヒカル王に再び会いたいと思っていた。

そんな中、自分の前に現れたシャドーレの使い魔。

一番最初に見つけたことに運命を感じたクラヴィスは、たとえルーリを裏切る形になったとしてもミノリに協力することを選んだのである。

以前、クラヴィスはヒカル王直々に桜色の都の王宮に来る気はないかと誘われたことがあります。

その時はマヤリィが流転の國の主だったのでクラヴィスは丁重にお断りしましたが、今同じことを言われたら都へ行く道を選ぶかもしれません。


ミノリ→女王ルーリへの忠誠心皆無。

クラヴィス→桜色の都のことばかり考えている。

ランジュ→死亡。


今現在、ルーリの味方と言えるのは何人…?

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