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Paradise FOUND  作者: 泉野ジュール
Chapter 5: Fascination of Paradise - 魅惑の楽園
27/50

Fascination of Paradise - 5

 耳を澄ますと、わずかながら宴の喧騒が聞こえてきた。

 部屋を照らす蝋燭ろうそくの明かりが目に染みて、痛い。

 エマニュエルとマスキールは、しばらく、一言も言葉を発さないまま時が過ぎるのを待ち続けていた。


 一刻ほどが過ぎると、エマニュエルは急に身体が楽になっていくのを感じ出した。

 医師の言った通り、副作用が抜け始めたのだろう。

 肢体が感覚を取り戻す。

 すると、ずっと靄がかかっていた意識も、いつもの感覚を取り戻してきた。いや、普段より冴えているほどだ。


「……楽になってきましたか」

 頃合いを見計らって、マスキールがそう言った。エマニュエルは小さくうなずく。


「マスキールさん、でも私は……できないです。あの人もジェレスマイアさんみたいに強そうだったし、剣なんて使ったことがないし……」

「急所というものがあります。ここや、ここ」

 マスキールはいくつか自分の身体を指差しながら説明した。

「それらを狙えば、力はあまり重要ではありません。男の強さなど、女性の魅力の前で霧散してしまうことも」

「でも……」


 エマニュエルは横たえられていた身体を起こし、シーツを剥いで背もたれに掛けると、長椅子に座った。

 例の短剣は、マスキールの手の内にある。持っていられなくて返したのだ。

 時々、持ち替えたり鞘を抜いてみたりして、マスキール自身もどこか落ち着かない雰囲気だった。


「上手くいきません……私なんかにできるんだったら、もっと他の人が……」


 エマニュエルの脳裏には、いつかジェレスマイアと森を駆けた夜に現れた、異国風の容姿の刺客が思い出された。

 ああいった特殊な技能を持った者でさえ、王の暗殺など簡単にはできないのだ。

 ──しかしそれをエマニュエルの口からマスキールに説明するのははばかれた。あの夜エマニュエルは、あのことは誰にも話さないと、ジェレスマイアに約束したのだ。


「すべては運ですよ。向こうも、そんな貴女だからこそ油断する」

「…………」

「なによりも貴女には予言がある」


 エマニュエルが黙ると、マスキールもそれ以上口を開かなかった。

 再び静かになった部屋に訪れたのは、緊張よりも鋭く、悲しみよりも切ない、やりきれない沈黙ばかりだった。





 モルディハイはしばらく、ジェレスマイアやダイスの政治家達と交わるよりも、自身が連れてきた配下や女達と宴を楽しんでいた。

 ──派手な赤毛と、同色の衣装。

 声は大きく、喋るというより咆えるという表現の方がしっくりとくる独特の話し方をした。特に、夜も深まり宴の雰囲気が砕けてくると、その兆候はますますはっきりしてくる。


 まるで、大広間に獅子を放し飼いにしているようだ。

 モルディハイは食い、咆えるように喋り、笑い、時に歌いと、したいようにしていた。

 眉をひそめる者もいれば、感心する者もいたし、女性にいたっては声を掛けられれば悲鳴を上げるくせに、喜んでいるようでさえあった。


 まったくもってこのモルディハイという男は、ジェレスマイアとは真逆の存在なのだと、ジェレスマイア自身でさえ納得してしまうような様相だ。


 熱く、近寄るだけで熱風に当てられ、眩暈を起こしそうになる男──

 しかしその奥、心の芯には冷たい氷が閉じ込められている。


 そんなモルディハイを横目に眺めながら、ジェレスマイアが思ったことといえば、それは感心でも嫉妬でも憎しみでもなく、単純な一つの疑問だった。


(もし──)

 考えるだけ時間の無駄だ。この種の『もし』は、一度として現実になったためしがない。


(もし我々の立場が違えば──あの予言を受けたのが、この男だとすれば)


 モルディハイはどうしていたのだろう?

 ジェレスマイアのように、国と愛しい女の命の間で苦しむような真似はしないのだろうか。国などさっさと捨てて、『本当の願い』を、自分のために叶えてしまうのだろうか──―?


 単純な疑問。そして答えは、一々探すまでもなく見つかる。


(その方が、あれも幸せになっていたかもしれないな)

 ──それは自嘲だった。

 モルディハイなら、国を捨てエマニュエルを連れ去り、どこか適当な場所を見つけてそこで幸せに暮らす道を選ぶだろう。


 そうだ、エマニュエルの命は正にこの願いを叶える。

 彼女という存在が、命が、生きて、自分の傍で一生、笑っていてくれるという……夢を。


 そんな、真実の願いを──



 しかし宴が本格的な盛り上がりをみせ、そしてたけなわになってくると、モルディハイもジェレスマイアも互いにどちらからともなく近づいた。

「いかがだったか、ジャフ王」

 ジェレスマイアが声を掛けると、モルディハイは持っていた杯を掲げて見せた。


「楽しませて頂いている。特に酒がいい。ジャフのものとは違い、ゆっくり飲めるのが気に入ったな」

「お帰りの際には用意させよう。楽しんでいただけて幸いだ」


 確かにジャフの酒は強すぎて、味わう為に飲むのではなく、飲むために飲む……酔うために無理やり喉に流し込むといった感じの代物であるのは有名な話だ。この辺も、互いの国民性が垣間見える。


「女も──」

 モルディハイは飲み干した杯を後ろに控えていた者に押し付けると、まだまだ華麗な宴が続いている広間を見回し、切り出した。


「違う味わいがしそうだ。一気に燃えるのではなく、ゆっくりと欲望をくすぶらせてくれそうな、別の旨みが……」


 ジェレスマイアを振り返ったモルディハイの瞳には、どこか勝利者の優越が浮かんでいる。

 そうして一歩、更に距離を縮めると、ジャフ王は勝ち誇った微笑みさえをも浮かべながら、ジェレスマイアの耳元に囁いた。


「招待を感謝する……これほどに楽しい夜は、人生の中でも数えるほどしかない」


 言い終わると、モルディハイはジェレスマイアから数歩、離れた。

 そしてお互いを見る。


 一定の距離を取り、睨み合う二人の王たち──その姿はまるで、どちらが先に襲い掛かるかを試しあっている、獣同士だ。


「感謝には及ばない。機会があればいつでも貴殿を歓迎しよう……ジャフ王」

「ありがたい。私もだ、ダイスの王、貴殿を我が宮殿に迎える日を楽しみにしている」


 ──大広間では相変わらず、楽隊の奏でる心地良い音楽が響き渡り続けていた。ときに軽快な調子で、ときに物悲しい調べで。このとき流れていた音楽は、奇しくも、運命の瞬間を思わせる劇的な旋律の一曲だった。





 媚薬とその副作用である熱のお陰で数刻寝込んだエマニュエルは、その深夜、いつもなら深く寝入っている時間であるにも関わらず、しっかりと目が覚めていた。

 マスキールに連れてこられた王宮の知らない一角で、エマニュエルは、厳しい表情をした警備の騎士達に囲まれた豪華な大部屋に通された。

 言われた通り、形ばかりの身体検査しか受けない。

 逆にマスキールの方が、あれやこれと身体を調べられ、護身用の剣を一時的に取り上げられていた。


「ご苦労であった。やれやれ、我が王の我侭にも困ったものです……と、失礼。これは他言無用で」

「構いません。それはこちらも同じこと」

「ふふ……そうですな」


 エマニュエル達を迎えたジャフ側の配下は、もう随分と年配で、マスキールと比べると親子のような歳の差だ。

 髪は白く、顔にはいくつもの深い皺が刻まれており、歳相応のふくよかな身体つきをしていた。

 しかし瞳だけは鷲のように鋭く、鈍い輝きを放っている。

 モルディハイのような狂王に長く仕えているともなれば、この男もかなりの切れ者か、裏を持った人物だろう。


「こちらが例の姫か……ふむ」

 男はエマニュエルを推し量るように眺め、そうつぶやいた。


「──可愛らしいお方だ」

「外相、お約束通り、私が彼女を引き渡したことは内密に──」

「分かっております、ええ、分かっておりますとも」


 彼らがやりとりをするあいだ、エマニュエルは一言も発さなかった。こんなときに言うべき言葉など見つからなかったし、張りつめた緊張が、喋りたいという欲求を簡単に飲み込んでしまう。


「では、取引は成立ですな。彼女はこちらでお預かりいたしましょう。貴方がそう長くここにいるのは、よくありますまい?」

「そうですね……」


 マスキールは一瞬だけ、エマニュエルの方を見た。

 エマニュエルも彼を見返す──が、そのときのマスキールの瞳は、生気のない硝子の玉のようだった。


 マスキールさん、と。声を掛けたかった。しかしマスキールはそれを待たずに踵を返すと、ジャフ側の警備の騎士達に連れられ、部屋を出て行った。


「あ…………」

 パタンと閉じられた扉を見ながら、エマニュエルが小さく声を洩らす。

 置き去りにされた子供のように、不安な顔をしてたたずむエマニュエルを、ジャフの外相と呼ばれた初老の男が哀れみを含んだ目で眺める。


「お可哀想に。しかし、我が王は中々逞しい男性であらせられる。そう悲観ばかりなさることはない……こちらへ来なさい。寝室はこちらだ」


 初老の男はエマニュエルの腕を掴むと、豪華な客間の奥にまで彼女を引っ張った。

 そこには小さな扉があって、それがモルディハイの滞在する寝室へと繋がっているらしかった。


「陛下が戻るまで、ここで大人しく待つことです。なに、きっとすぐ戻ってこられる。今夜は可愛がっていただくとよい。逃げようとしても時間の無駄ですぞ。貴女のお目付け役とやらが、貴女を売ったのですからな」

「それは……」


 違う──と、エマニュエルは声を出しそうになった。

 しかしぐっと飲み込む。

 初老の男は、それをエマニュエルの悲壮な覚悟とでもとったのだろう。扉を開けると、エマニュエルを部屋に押し込め、そして素早く扉を閉じ鍵を閉めた



 その寝室は客間より暗く、目が慣れるまで数秒必要だった。

 明かりは、寝台の横に幾つか蝋燭がともっているだけで、それも薄暗い。

 わざとそうしているのだろうか。


 やっと慣れてきた目で部屋を見回すと、その部屋は思ったより狭く、窓が一つもなかった。なぜだろう……ジェレスマイアの寝室を見たことがないのでわからないが、それでも、今から自分がしろと言われていることを思えば、なんとなく理由は想像がつく。

 暗殺や襲撃を恐れてのことだろう。


(私…………)


 エマニュエルは、マスキールにはっきりとした返事はしなかったし、なんの約束も結ばなかった。

 が、彼はエマニュエルをここに送り出したのだ。もしエマニュエルが怖気づき、なにも出来なかった場合のことは考えなかったのだろうか。

 それともそれだけ、あの曖昧な預言を信じているということなのか──。


(これ……どうすれば……)

 あの短剣は腰の後ろに仕舞いこまれている。

 いくつかのリボンの間に挟まれていて、もし見つかっても、そのリボンの止め具か飾りにしか見えない仕組みだ。


(お父さん、お母さん……)


 この行為が、本当にダイスの救いに繋がるのだろうか。

 これで戦争が回避され、彼らが無事に暮らせる未来の礎石を、築くことができるのだろうか……?


 そしてなによりも、ジェレスマイアの願いを、叶えることができるのか。


 ──なんて不可思議で、そしてなんて……。


(話をしなくちゃ……駄目でもいいから、一度でも……)


 なぜか、時間が過ぎるのを早く感じた。

 焦りのせいかもしれない。


 とにかく、モルディハイがエマニュエルの待つ寝室に姿を現したのは、それから一刻もしない頃だった──



 カチャリと音を立てて扉が開くと、蝋燭が増えたわけでもないのに、その場がぱっと燃えるように明るくなった。

 ──それがエマニュエルの、モルディハイに対する印象だ。


「お前がジェレスマイアの寵姫か。名はなんといったか……まぁ、そんなことはどうでもよい。重要なのは、あの男が苦しむことだからな」


 そう微笑しながら、モルディハイは外套を脱ぎ捨てると、壁に背を向け立っていたエマニュエルに近付いてゆく。

 エマニュエルはわずかに後退したが、狭い部屋だ。そうそう逃げ場はなく、距離はすぐに縮まった。

 ただ無言で、モルディハイをキッと睨むように見つめる。


「ふん、口が利けぬか? 今夜は泣き叫んでもらうぞ。今から始めても大差あるまい?」

「…………」

「あの男より私の方がずっと優れている……王としても、男としても……。違うか」


 モルディハイの右手がエマニュエルの顔の前に伸び、くいっとエマニュエルの細い顎を持った。


「そうだろう? 言ってみろ、娘」

「……モルディハイさん」


 顔を近づけてくるモルディハイに、エマニュエルはやっと口を開いた。

 『モルディハイさん』──今まで、こんな呼び方をされたことは一度もなかっただろう。モルディハイは面白そうに口の端を上げた。


「なんだ」

「聞いてください、お話があります……ダイスと、戦争をしないで欲しいの……」

 挑むような瞳に、震える声の不均衡──モルディハイはさらに興味深そうに鼻を鳴らした。


「ふん?」

「そうすれば皆、幸せでしょう? ジェレスマイアさんは貴方の国に悪いことはしません。モルディハイさんの国に食べ物が必要なら、力を合わせて皆で作ればいいじゃないですか……ジェレスマイアさんは優しいから、お願いすればきっと協力してくれます」

「……ほう?」

「そうすれば……それだけで……皆、」


 そこまで言うと── 一筋の涙が、エマニュエルの頬を濡らした。


「どうして……駄目なの? モルディハイさん、大きい国の王様なんでしょう? ふ……っ」

 ──そのエマニュエルの泣き方が少し子供じみていて、モルディハイは苛立ち気味に顔をしかめた。


「なんの道化だ……己の立場を分かっているのか」

「分かってますっ! でもモルディハイさんもジェレスマイアさんも、二人とも王様のくせに、私なんかに頼って……馬鹿みたいです!」

「なんだと」

「殺したければ殺してください、そうしたらきっと、ジェレスマイアさんの願いが叶っちゃうんだから!」

「なにを……小娘!」

「きゃっ」


 モルディハイは声を荒げると、エマニュエルの身体をベッドへ放り投げた。

 幸い最高級品のそれは、エマニュエルを傷つけることなく柔らかく受け止める。モルディハイはそんなエマニュエルの上に、これ以上ないほど不機嫌な顔で、馬乗りになった。


「お前はジェレスマイアの女だ……少しは敬意を示してやろうと思ったところを……訳のわからぬことをぺらぺらと」


 上下に重なった二人が、お互い苛立った顔で、睨み合う。

 エマニュエルはキッとした表情を崩さなかった。


「あなたたち、ふ、ふたりとも同じくらい馬鹿みたいなことをしています……でも、貴方の方がもっとひどい」

「褒め言葉だ」

「褒めてなんか……」

「いや、ジェレスマイアより私の方がと──いうなら、それがなんだろうとすべて素晴らしい」

「な……」


 エマニュエルの瞳が見開かれる。モルディハイは、そんなエマニュエルの表情の変化を楽しんでいた。くっと笑いを洩らしながら唇の端を上げ、エマニュエルの両方の二の腕を強く掴むと、細く白い首元に唇を寄せた。


「きゃっ、なに……や……っ!」

 恐怖で、声が裏返る。しかし、そんなことでモルディハイが動きを止めることはない。


「放し……て……!」

 エマニュエルの手の先は自由だ──

 二の腕は掴まれたままだが、エマニュエルはなんとか腰元まで指を這わすと、マスキールに託された短剣に手を伸ばした。素早く鞘から身を抜き、柄を握ると構える。

 しかし──

 モルディハイの手が目にも留まらぬ速さでエマニュエルの手首まで滑り、そこを握り上げた。


「こんなもので私が殺れると思うか……小娘が!」

「あぅっ!」

 手首を強くひねられた痛みに、エマニュエルが顔を歪めた。

 短剣はいともあっけなく、音を立てて床に落ちていった。


(なにが――)


 絶望と呼ぶものを、そのとき感じた。

 身体を這うモルディハイの手。押さえつけられた手首。ねっとりとした熱い吐息が肌にかかる──悪寒。


「嫌、いや……止めて」


 なに、を。

 されようとしているのだろう──

 エマニュエルには分からなかった。でも、魂の奥の本能が悲鳴を上げている。


 ──ちがう。これはあのひとに、だけ。

 あ の ひ と と し か、 だ め な の。


「可愛がってやろう……最後には、私の方があの男より素晴らしかったと鳴くだろう……」

「や……」

 エマニュエルは悪寒の走る背筋に力を入れ、短く息を吸うと、声を絞り叫んだ。


「いやー! ジェレスマイアさん!!」



 そのとき──

「陛下、陛下! モルディハイ様、大変です、出てきて下さいませ!」

 扉をドンドンと何度も叩く音と、若い男の声がけたたましく響いた──エマニュエルが叫びを上げて、すぐだった。


「なんだと! 誰も邪魔するなと言ったはずだ、今すぐ首を切り落としてくれる!」

「し、しかし、仕方がないのです……今、ダイス王がここにいらして、すごい形相で……モルディハイ様に謁見しなければならぬと……」


 扉の外から聞こえる声は、男のものだが、気の毒なほどに震えていた。

 当然だ。

 モルディハイは気に入らない者を簡単に切り捨てるという話を、知らない者はいない。しかし今、その恐怖さえをも殺してしまう別の恐怖が、扉の外で待ち構えているのだ──多分に。


「お、お待ち下さい、モルディハイ様は今すぐ出ていらっしゃいます。いくら貴方様とはいえ、寝室までは──」

 気の毒な男が、なおも気の毒な調子で、外に向かって喋っているのが聞こえた。


「え…………」

 エマニュエルは自由になる顔だけをなんとか回転させて、扉の方を見た。

 まだ、男たちが言い争う声が、厚い扉を通して聞こえてくる。内容までは聞こえないが、誰かが誰かを厳しく叱責しているような、荒い口調だ。


「ジェレスマイアめ──」

 のそりと身体を起こしながら、モルディハイは唸った。鈍い歯軋りが、エマニュエルにまで聞こえる。

 モルディハイは、敵に向かって吠える野獣のように醜く顔を歪めると、エマニュエルを乱暴に放し、立ち上がった。


(あ……)


 エマニュエルも急いで上半身を起こした。

 乱れてしまったドレスの襟元を慌てて元に戻そうとする──そのとき扉はすでに開け放たれ、二人の王が対峙していた。

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