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第一話 暗闇
暗闇の中、僕は一人立ち尽くしていた。何かが耳元で囁く。
「お前またやらかしたのかよ」「無能がいるぞ」
不快な笑い声が遠くから押し寄せてくる。喉がひりついて、言葉が出せない。助けを求めようとしても、言葉にならない。
僕の周りには冷たい視線だけが突き刺さってくる。体が震え、全身が縛られているかのように一歩も進むことができない。
――逃げたい……
心の中では叫んでいるのに、僕の声はどこにも届かない。
「誰か……助けて……」
そう思った瞬間、全てが真っ黒になった……